dtk's blog (ver.3)

カテゴリ:法務・法律問題 > リスク管理


はっしーさんかたさんと同じく、編著者の事務所のY先生からご恵贈いただいたのだが、こちらが読むのが遅く、エントリにするのが遅くなってしまった。 Y先生ありがとうございます。

いただいた、ということによるバイアスの可能性は排除できないとしても、企業法務の担当者の手元にあって損のない一冊だと思う。手元にあるだけでも有用だけど、できれば、事前に一読しておくと、とっさのときの使い勝手が増すと思う。

何らかの事態に巻き込まれた際に初動で間違うと、その後のリカバリーに費用と手間がかかるとか、そもそもリカバリーが不能というケースもある。そういう意味での初動対応の重要性は今更言うまでもないと思うけれど、そこに重点を置いて、広範にカバーした書籍というのは、寡聞にも聞いたことがなかったように思うので、その意味で画期的なのではなかろうか。既に上記のお二方のエントリでもコメントがあったけど、広範に、問題になりそうな事態が拾ってあるので、網羅性も高そうに見受けられる。

重要だと思うのは、もちろん、然るべき弁護士さんに相談する、だけど、それまでの間にどうするか、ということと、弁護士さんにつなぐ際にどういう情報を持って相談に行くべきかについてのアドバイスがあることだと思う。最初の相談に行ったときに、いろいろ質問されて、それについてそこから調べているのでは、時間もかかるし、それ自体初動対応としてはもう手遅れということにもなりかねない。そういう意味で、こういう本に従って、即時に資料を集め、相談に行く際には、その種の資料を携えて(個人的には行く前に電子データで送っておくけど)行くのが望ましいのだろう。

そんなこんなでお手元にあっても有用なのではないかと思う次第。願わくは定期的にupdateされ続けること。こういうものでも、法令改廃・判例の進展なども反映すべきなので。

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ビジネス法務の部屋、の山口先生の著書。読み始めたら、ご病気ということで、blogも一時更新が止まっていたのだけど、ご快癒されたようで何よりです。

本書の意図するところについては、「はしがき」に次のとおり書かれている。
 
本書は、経営者がアクセルを目いっぱい踏んで事業経営を行うことを念頭に置いている。経営者が全速力で走るなかで、走りながら考えるべき不正リスク管理について、「不祥事は御社でも起きる」という発想を基に、平時の対応および有事の対応について検討した。また、経営者の方だけでなく、経営者を支える幹部の方々、リスク管理に携わる社員の方々にも参考になるように、なるべく平易な文章を心がけて書いたつもりである。

一通り読んだ感想としてはこの意図通りの本になっていて、上記記載の方々にお薦めできる本になっていると思う。特に、
「100点満点のコンプライアンス経営というよりも、会社にとって大きな損失が生じることを防ぐためのコンプライアンス、つまり、合格最低点(60点)を目指すために経営者ができることを中心に述べている」

という点が好ましく感じられた。コンプライアンス(法令遵守にとどまらず、「社会の要請への適切な対応」まで含むものとしての)が「お題目」に終わらないよう、中身のあるものとするために、経営者が持つべき視座というものを提示しているように思う。最近の情勢や法改正、海外動向(独禁法、FCPAとかの話も含め)まで含めて、配慮すべき事柄全てに配慮が行き届いているのは面目躍如というところであろうか。

経営者向きなので、細かな現場レベルでどうするかは記載していないが、本を読みやすい分量に留めて、経営者に読んでもらうには(これでも分量が多いということはあるかもしれないけど)必要なことなのだろう。

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こちらのネットへのアクセスが限定的ということもあり、反応が遅れたのだが、某所で見かけた、プラットフォーム上での契約書の締結交渉、というアイデアについて、考えたことを五月雨式でメモしてみる。メモの内容が長くなったので、こちらで失礼する次第。


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しばらく前に読み終わっていたけど、書き忘れていたのでメモ。

リスクマネジメントに長けた弁護士さんの手による本。「最強」とはまた大きく出たなと思ったが、読んでみると、確かに内容が優れていると思うので、そこまで謳うのもあながち誇張とまでは言い切れないのではないかと思う。実例も(おおむね特定はされていないが、一定の知識があれば特定は可能なはず)交えて、簡潔かつ実践的に書かれていて、とりあえずこの分野で何か一冊というのであれば、手に取って読むに足りる一冊ではないかと思う。各節ごとにまとめのチェックポイントが付されていて、内容が頭に残りやすいというのも好ましい。

個人的に特に印象に残った点を順不同でメモすると次のとおり。
  • 不祥事対応の研修をすることそれ自体が取締役の善管注意義務の履行等として評価される対象になる。「研修はトップを救う」「研修は組織を救う」というのは確かにそういうことなのだろう。あわせて、その目的を達成するための記録のマネジメントの重要性も指摘されている。 
  • 内部監査と監査役監査の違いの説明。前者で監査すべき内容が「現場の運営は、社長が決定した方針とルールに合致しているか」であり、後者が「取締役の行為は法令定款に合致しているか」。 当たり前なのかもしれないが…。
  • リスク管理マニュアルについての種々の指摘が有用。特に、現場での判断の余地のないものにすべきという点や、マニュアルの遵守の徹底、といったあたりは、そうしないと何が起こりうるかの指摘も含めて、うなづけるところ。


某所で激賞されていたので、買ってみる。組織崩壊の前兆について、事例を交えてわかりやすく説明するとともに、そういう前兆に遭遇した場合の対応方法についても論じている。

事例も設例というよりは、実際にあったケースを固有名詞を伏せつつ適宜修正したという感じで、僕ですら「これって、あの話だよね」と思い当たるものがあったので、識者の皆様におかれては全部お見通しなのかもしれない。そういう不穏な楽しみ方も出来てしまう。 

書かれているような事例に遭遇しないにこしたことはないが、遭遇した場合に、書かれているようなことが頭の隅にあるだけでも多少は違うと思う。そういう意味で、企業で働かれている方すべてが読んでおいて損のない本かもしれない。文章は読みやすいので、読むのにそれほど時間はかからないから。 



図書館で借りてみた。会話形式で、ありそうな従業員による不正、それが起こった原因、防げなかった要因を解説し、その防止策としてのセグリゲーションを提示し、その重要性を説く本。内容としては重いはずなんだけど軽めの筆致で書かれていて、読むのも負担にならなくて良い。

ITを駆使した効率化の結果として、一人の人間に複数の権能が集中して、それを監視する目が行き届かなくなると不正のリスクが生じやすくなっている状況を受け、セグレゲーションとして、職能の分割と複数の目にさらすことによる不正防止を解いている。読者として中小企業を想定しているのか、具体的な方法についても、(一番最初に思いつきそうで、それでいて実際に実施するのは難しい)管理部門の人員増員とかではなく、顧問税理士の活用、稟議や棚卸といった既に存在している社内の制度の活用、というような実施可能に見える解決策が提案されているのが好ましい。

僕自身の今の勤務先では、外資ということでこの辺は、既に徹底されていて、正直面倒と思うこともあるのだが、それでも、中で出てくる実例とかを見ると、その重要性を改めて認識する次第。企業の法務の担当者としても、リスク管理のセンスを養う意味でも、読んでおいて損はないのではないだろうか。




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