書籍
February 19, 2013
不動産のリスクに関する書籍2冊
メーカーで国内に製造拠点があるところにいるので、製造拠点という不動産の管理に関する話が時折来る。個別の論点ごとについては都度調べているのだけど、施設管理に関する全般的なリスク管理についての情報を頭にいれておきたくて、その道に詳しい某先輩にお薦めの本を教えていただいて入手したもの。製造拠点の操業にまつわるリスクに関する話は当然含まれていないが、それでも、こういう形で、全体像を頭にいれておくのは十分有用だと思う。
某先輩、ありがとうございましたm(__)m。
後者は、「わかっている人」向けに、情報をコンパクトに凝縮していて、持ち歩きには便利そう(活字が小さめで目には厳しいかも)だが、前者はやや古いものの、より入門的。僕みたいな用途では前者だけでもよかったかもしれない(後者の方が新しい分、updateとしての情報入手の役には立った)。
前者は2006年と古いし(法務的なところで言えば、土壌汚染対策法の記載はその後の改正があったことには留意が必要)、不動産投資についての話は、個人的にはあまり用事はなかったものの、「欠陥・瑕疵に関するリスクと対応策」「ビル機能・周辺環境の変化に関するリスクと対応策」及び「事故・災害のリスクと対応策」のとこ ろは、平易な文章でわかりやすくリスクのありようとそれへの対応策が書かれているので、メーカーの法務の人にとっては、それだけでも十分、目を通す価値はあると思う。個人的にはアスベスト(古い施設ではアスベストが使われているケースがまだあるので)を取り巻く実務や制度の解説、それと、耐震補強に関する解説が興味深かった。
出来れば、東日本大震災以後の事情も盛り込んだ改訂版が欲しいのだが...。
dtk1970 at 21:34|Permalink│Comments(0)
February 16, 2013
updateの仕方
リークエの2版(そういえば買おうと思いつつ、買っていない...orz)の補遺が出ている。今回の会社法改正要綱を受けての補遺とのこと。
ついで?ではないけど、前にネタにした大内先生の共著の「法と経済で読み解く 雇用の世界」についても、昨今の諸々の労働法制の動きに応じ、同様に補論が出ていた。
updateは重要なんだけど、いちいちそのたびに改版というのでは、読者としてはシンドイところが有ると思う。フトコロ面とか置く場所の面とか、そもそもどこが変わったのかわかりやすくないとか...。そういう意味で、こういう形でのupdateは歓迎されてよいのではないだろうか。
ついで?ではないけど、前にネタにした大内先生の共著の「法と経済で読み解く 雇用の世界」についても、昨今の諸々の労働法制の動きに応じ、同様に補論が出ていた。
updateは重要なんだけど、いちいちそのたびに改版というのでは、読者としてはシンドイところが有ると思う。フトコロ面とか置く場所の面とか、そもそもどこが変わったのかわかりやすくないとか...。そういう意味で、こういう形でのupdateは歓迎されてよいのではないだろうか。
dtk1970 at 21:30|Permalink│Comments(0)
February 02, 2013
スキルアップのための 企業法務のセオリー /瀧川 英雄 (著)
企業法務のOJTのテキストに有用な一冊。企業法務の実務を行ううえで必要な知識面ではなく、法務担当者としての頭と身体の動かし方についての部分に重点を置いているところが、新味というべきなんだろう。知識面とかでの本(それだって有用だけど)というなら、滝川先生の本や、日経文庫のやつ、さらには、一般には出回っていないが経営法友会のテキストとか、既に一定の本が出ているので。 また、最後に出ている典型案件への対応の仕方のセオリーも、当事者の利害という法的な観点を離れたところにも目配りをしつつ対応の仕方を解説をしていて、実務的でよいと思う。
図表の使い方やレイアウトの仕方で読みやすさが増しているけど、その辺はlexisの編集部のお手柄であろうか。続きを読む
dtk1970 at 17:39|Permalink│Comments(0)
January 29, 2013
法務担当者のための民事訴訟対応マニュアル /田路 至弘 (著)
BLJのBookガイドでも推奨されていたのと、最近訴訟案件に関与していなかったこともあって、知識の確認の意味で会社にあったものを読んでみた。
Bookガイドにあったように、法務着任者に最初に読んでもらう、のにふさわしい一冊というところか。
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dtk1970 at 23:45|Permalink│Comments(0)
January 21, 2013
民法はおもしろい (講談社現代新書) /池田 真朗 (著)
「スタートライン」シリーズ(債権法・民法総則)などにより民法の初学者向けの本の著者としても、また、専門家向けには債権譲渡に関する研究で知られる(らしい)池田教授の民法入門。もっとも、単なる民法入門ではなく、著者が本書に込めた意図は次のようなものとのこと。確かにそういう内容になっていると思う。
一般市民の目線に立って、民法という法律の輪郭をとらえ、それを歴史と市民文化の発展のプロセスのなかで理解しながら、その面白さを発見し、さらに現代の日本民法の持つ問題を共に考えようとするものである前半部分も身近な事例を使って民法の輪郭を上手く描写しているという感じがするが、一定の知識のある方々にとっての読みどころは、寧ろ、後ろの方にある今回の「債権法改正」に関する著者からの問題提起ではないかと思う。
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dtk1970 at 23:13|Permalink│Comments(0)
January 12, 2013
セグリゲーションのすすめ /根本俊一 (著), 西澤拓哉 (著)
図書館で借りてみた。会話形式で、ありそうな従業員による不正、それが起こった原因、防げなかった要因を解説し、その防止策としてのセグリゲーションを提示し、その重要性を説く本。内容としては重いはずなんだけど軽めの筆致で書かれていて、読むのも負担にならなくて良い。
ITを駆使した効率化の結果として、一人の人間に複数の権能が集中して、それを監視する目が行き届かなくなると不正のリスクが生じやすくなっている状況を受け、セグレゲーションとして、職能の分割と複数の目にさらすことによる不正防止を解いている。読者として中小企業を想定しているのか、具体的な方法についても、(一番最初に思いつきそうで、それでいて実際に実施するのは難しい)管理部門の人員増員とかではなく、顧問税理士の活用、稟議や棚卸といった既に存在している社内の制度の活用、というような実施可能に見える解決策が提案されているのが好ましい。
僕自身の今の勤務先では、外資ということでこの辺は、既に徹底されていて、正直面倒と思うこともあるのだが、それでも、中で出てくる実例とかを見ると、その重要性を改めて認識する次第。企業の法務の担当者としても、リスク管理のセンスを養う意味でも、読んでおいて損はないのではないだろうか。
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dtk1970 at 21:07|Permalink│Comments(0)
January 09, 2013
はじめてのアメリカ法 /樋口 範雄 (著)
気にかかっていた本だけど、買うところまで思いきれず、近所の図書館で借りて読んでみた (どうでもよいが、電子書籍版もあるとのこと)。
アメリカ法入門というと、結局イギリスまで法制史を遡って行って、そもそも、から説き起こすというようなパターンが多く、そういう必然性があるものの、その辺りは、特に関心がない限りは退屈になりがちなのだが、この本ではその辺はばっさり端折って、現代的な事例に基づき、日本法との比較も交えながら、入門の入門、というような解説をしてくれている。退屈にならないように工夫がなされているので、分量も多くないので、USのLLMに行く人が行く前に、というのにも良いだろうし、それに限らず、企業法務の人が英文契約を扱う際に前提となる知識(例えばcommon lawとequityの区別とか)を得るために読むというのにも良いのではないだろうか。
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dtk1970 at 23:43|Permalink│Comments(0)