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債権法改正は、雑誌の記事を読む程度だし、そもそも改正が本当に要るのだろうか、という思いはあるのだけど、とはいえ、さすがにもうちょっと全体像を抑えておいたほうがいいような気がしたこともあり、内田参与の本を読んでみた。

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はっしーさん
伊藤先生のご紹介を見て、買って読んでみたもの。幅広くトピックを拾い上げ、それぞれについて、簡潔にポイントがまとまっていて、IT系以外の会社の法務にもあったほうがよさげな一冊。こちらの業務においても有用そうな感じ。SNSでの誹謗中傷とか漏洩とか、クラウドの利用とかそういう話は、非IT系の会社でも対応が必要になることがあるわけで、普段こういう分野について縁がなくても、何かあったときに、とりあえずまず紐解く一冊として、手元においておけば、便利でよいのではなかろうか。その裏返しとして個別の話についての解説は、抑え目だけど、書いてあることよりも突っ込んだことを調べたいときに参考になるような情報への橋渡しについても、目配りが十分されているので、調べもののとっかかりに使うという目的でも有用そう。この種の話題についてはググっても何らかの情報は出てくるだろうけど、IT系企業のインハウスやその分野で活躍されている弁護士さん、研究者さんという錚々たる面々が執筆しており、内容も正確で、いつの時点でupdateされているのかも明確という点で、こういう本の形で手元においておいたほうが簡便だろう。既に1度updateされているので、今後もこまめなupdateを期待したいところ。


気になっていたので、他の本と一緒に丸沼で買って、一気に読んだ。企業法務の方々であれば読んでおいて損のない一冊ではなかろうか。

労務系の法務は、企業内部では法務というよりも人事のマターで、法務がなかなか関与しにくいというのが個人的な印象。それは情報管理上の制約とか、他の従業員とのバランス面での考慮(よって他の社員の待遇を知らないと対応は無理だが、それを知っているのは人事のみというのが通常だろう)とかゆえのことと感じていて、やむをえないところだろうと思っている。転職して、外資系企業に来て、今までよりはその種の案件に関与する(それでも関与の仕方は受身的なところが強いが)ようになったものの、人事との距離感はつかみにくいし、人事という部署がどういうことを考えているのか良くわからないような気がしている。
 
この本を読むと、企業側の人事を取り巻く状況の変化(働き方の多様化とか、いわゆる「グローバル化」への対応とか、高齢化とか…)や、それに対する人事側の対応の考え方、みたいなものの一端を伺うことができて、検証が出来ているわけではないものの、多少なりとも人事側の視点を理解しやすくなるのではないか、という気がした。

個別の内容について、個人的に特に印象に残ったところをいくつかあげると次のようなところ。
  • 組合が協調路線を取りすぎて、戦闘的になりたくてもなれなくなっているし、企業人事側も、戦闘的な組合の姿勢を受けて立つ経験がなく、そういうのに対応するノウハウがないために、新しいタイプの労働問題への対応や海外での組合対応がうまくできていないというのは、納得。
  • 産業医さんとの鼎談では、産業医さんとお話をする機会が今のところないこともあり、産業医さんが労使関係も踏まえて、どういう話のもって行き方をして、会社の労務環境を改善するか、という視点が新鮮だった。
  • コマツの方との鼎談では、人事のグローバル化と、ローカル化の棲み分けについての考え方が興味深かった。
 



年末に買うなよ、と突っ込まれそうですが、なんとなく、年末近辺に買ってしまうのが六法なのでした。法務を名乗る以上手元に最新のものがないのもどうかと思っているので、毎年買うようにはしています。

判例六法はプロフェッショナル版もいいのですが、そもそもあまり六法を引かないというか、引くときはweb上で引くことが多いのでした。また、むしろマイナーな法令を検索することの方がが多く、そういうものは、どのみちプロフェッショナル版でも掲載されていないので、むしろ1冊にまとまっていることのメリットを選んでこちらにしています。

今回は他のついでに丸沼書店で買いました。続きを読む



出遅れたが、例によって、気になったものについてのみ、感想などをメモ。

ブックガイドの最初の座談会。定例のものではあるが…箇条書きしてみる。
  • 発言者の特定を試みることに重点を置いてしまうのはさておき、内容は相変わらず面白い。マンネリ化を避ける編集部の努力と、特にAさんとBさんの鋭さには感服します。
  • 債権法改正の分野については、まあ、いろいろ思うところがあるけど、紹介されている後ろ2冊はチェックしようと思う。約款による契約論は、買ったけど読めていないので、読まないと…。
  • 会社法・金商法のところは、あまり今のポジションだと関係ないのだが、ゼミナール金融商品取引法は気になっていたので、これも内容を手にとって見てみたいと思った。
  • アジア系は今の職場では用事がないのでスルー。
  • 知財のところは、著作権周りは話が時々来るので、田村先生の本の新刊が出たら抑えておけるとよいのだが…。
  • IT関連のところは、なるほど、というところ。共通番号法については気になるのだが、Aさんが指摘されているように、個人情報保護法自体の改正があるのであれば、今すぐ何かするのは、手間が割に合わないかもしれない(岡村先生の本は買ってはあるが…)。
  • 競争法については、Aさんのコメントにある「当局か長澤先生が書いたものを読んでおけば間違いはないでしょうね」という趣旨のコメントに同意。
  • 人事労務は、大内先生の新刊が気になっているので、やはり読まないと、と思う。
  • 訴訟/執行・保全については、圓道弁護士の本と執行保全の本はチェックしておきたいと思った。
  • リスク管理などの分野については、堀江さんの本に対する、Aさんの評価に納得。僕は共感できたこともあり、自分としては高い評価なのだが、そうでない人もいるだろうし。
担当者・弁護士の方々がリストされている中で個人的に気になったのは、次のとおり。表記は略式で失礼。今回は、座談会で俎上に上がっているものと比べると、取り上げられている本が重なっている度合いが高いというのが直感的な印象。:
  • 佐々淳行 完本危機管理のノウハウ
  • ジュリアーニ リーダーシップ
  • ホペンカンプ 米国競争政策の展望
  • 菅久ほか 独占禁止法
  • 杉浦ほか 英文契約書の法実務(一度借りて読んだのだが、買おうかと思う)
  • 井原 国際ジョイントベンチャー契約
特集の後ろに書籍の広告があるのも、今までとは違う印象。p57については、なぜB&Mの特定の弁護士さんの名前が出ているのか、わかりにくいかも。おそらく担当Pという意味でしょうけど。書籍の広告で思い出したが、北島・淵辺本はどうなったんだ(定期ポスト)。


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#予約投稿機能を使って事前に仕込んでおります。

昨年に引き続き、BLJの出る時期に日本にいない予定なので、あらかじめこの企画を仕込んでおきたく。
(どうでもいいけど、こういう定期エントリ系は楽といえば楽だよね。ネタを考えなくてもいいから。中身は考えないといけないけど)。

2012年12月からの1年間を対象に、ということで、読んでエントリにした本の中から、特に良かったと感じたもので、冬休みにお薦めのものをもう一度ご紹介。やや手抜きですいません。今回は、諸般の事情で読んだ冊数が昨年よりも少ないのだけど、まあ、そこはご容赦ください。


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本屋で最初見たときに、表紙の色遣いからなんとなく手に取るのを躊躇ったのだけど、はっしーさんのエントリ(及びそこで引用されている伊藤先生のエントリとhitorihoumuさんのエントリ)を見て、買ってみた。法務の人というよりも開発現場にいる人に契約についてのリテラシーを高めてもらうことを念頭に書かれた本だけど、法務の人にとっても、読んでおいて良い一冊だろうと思う。IT契約については、どんな企業も発注者側になることが想定されるので、別にIT系企業の法務の人に限らず、ということになると思う。

買ったきっかけは、はっしーさんのエントリにあった、瑕疵担保についての解説がわかりやすいというコメントで、そこに限らず全般的にわかりやすい。開発現場での経験を積まれてから弁護士になられ、弁護士としても開発がもめた案件を担当されている著者が、IT系の雑誌に連載した内容が元になっているのだから、当然なのだろうけれど、はっしーさんの指摘にあるように、法務担当者でも理解しているとは限らないし、わかり易いのだから、理解に自信がなければ読んでおいて損はないと思う。僕自身も、幸い今まで瑕疵担保責任についての法的な性質などについて議論をする場面に行き当たったことがないこともあり、理解に危ういところがあったのも事実で、読んでよかったと思う。

全般を通じて、ユーザーサイドにたって、「トンデモ」な契約をすることのないように、考え方を丁寧に説明してくれているのだけど、泥棒にも三分の理、ではないが、ベンダーがそういう「トンデモ」を言い出すのにも、なんらかの理由があるのかもしれないと思うし、ベンダーとユーザーの間での相互理解がまだまだ足りていないから、「トンデモ」契約を結ぼうと画策したり、結んだ結果トラブルになる、ということなのではなかろうかと思う。もちろん、それについては、ユーザー側の無理解や不勉強ということもあるだろうが。いずれにしても、相手のことも理解したうえで、リスクは十分認識したうえで、契約にいたれるよう、率直に話をすることが重要なのではなかろうか、という印象を受けた。

ちなみに、はっしーさんの今回のエントリで言及されている前のエントリも読んで、もう一つ思ったのは、この本でも書かれているように、商行為である請負についての瑕疵担保期間について、商法526条がデフォルトルールとして適用されるべき、というのは、確かに?な話だと思う。とはいうものの、請負と売買の区別が常に明らかとも限らないこともあり、かつ、請負か売買かで瑕疵担保期間に差異が出ることも違和感があるということから、民法に従った1年の瑕疵担保期間が長すぎるのであれば、商法526条の内容を踏まえて、瑕疵担保期間を半年にしてほしいという交渉はやはりするだろうなあ、と思うのでありました。前記の違和感そのものはそれなりに理解できると思いますし。ただ、論理構成というか、交渉の仕方という意味ではむしろビジネス判断に基づくものになるのですが…。



JR某駅構内の本屋で購入。一気に読んだ。「何じゃこりゃ(松田優作風)」と思って手にとったのがきっかけなのだが、読みながら「ヲタをこじらせるとは…こういうことだ(ちゅどーん)(ランバ・ラル風)」と思ったのでありました。 何を言っているのか自分でも良くわかりませんが(滝汗)、要するに面白かったということです。鉄道についても、法律についても、それほど詳しいわけもないですが、それでも、楽しめましたから。

鉄道と刑法という演習を学部でもロースクールでもやってしまう(実施できたということはそれなりに学生が集まったということなのだろうか)というのもすごいけど、出てくる事件などもきちんと鉄道に関連していて、ヲタらしく鉄な目での事案の解説も周到で、それでいて刑法の目から見ても論じるに足りる(ように見える)事件であり、内容面でもバラエティに富んでいて、確かにこれなら「法鉄学」の演習がなりたつだろうな、と納得する。マイナーに見える罪とかも結構幅広く出てくるので、具体的な事案とともに見ることで、刑法の理解にも資するのではなかろうか。一方変わった刑法入門という使い方もありそう。  

個人的に印象に残った点は次の2つ。
  • 巻末の索引が、駅名索引だったこと。鉄方面の索引だけだと「法鉄学」という意味ではバランスが悪い?のではないかと思うから、条文索引もあわせてつけてほしかった。
  • 自動改札を使ったキセル乗車の取り扱いについて、詐欺罪ではなく電子計算機使用詐欺罪とみるべきという指摘に対して、鉄道営業法の不正乗車罪とみるべきとの指摘。この当否を判断できる能力は僕にはないが、興味深く感じたのは確か。

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漸く一通り目を通し終わった。メーカー法務OBの手によるもので、グローバル化の中で、英米以外の国の人が英語を使って契約書などの法律文書を作成し、それを運用する際の注意事項の解説が興味深い。
いろいろ細かいところで気になるところはあるものの、ある程度書物も読んで、英語の法律文書を読み書きするのに心理的抵抗がなくなって、一定程度の文書が読み書きできると思えるようになったという感覚があるレベルより上のレベルの人が、さらに一歩前に、レベルを上げるうえで有用な本、というところだろう。ある程度英文での契約書その他の法律文書を読み書きできるようになった人向けという印象で、ある程度実務経験がないと読んでも理解しにくいのではなかろうか。早稲田の法学部での授業でのテキストに基づいているようだけど、内容はすばらしい反面、ビジネス経験のない学生さんにこの内容がどこまで伝わるのかはやや疑問。
その一方で、僕にはよさげ、というか読みながら勉強不足が刺さる感じ。ベテランの引き出しの多さを堪能するというか、教えを乞う感覚で読むのが良いのではないかと思う。

参考になった指摘をいくつかメモ(一方でlaw of conflict of lawsをめぐる一連の話は正直難しくてついてゆききれなかった。無念。)
  • 日本語ー英語間でも似たような英語がある際に、厳密にいうとあるはずの差異を無視していると落とし穴にはまる危険があることも示唆も有益かと。消滅時効とstatute of limitationとか相殺とset-offとか…。
  • 日本の調停とアメリカのmediationの違い:前者は合意がまとまれば民事調停法により合意書面に執行力があるが、後者はそういうものがない、というのは、意識したことがなかった。
  • p128に、ユニドロア国際商事契約原則をそのまま準拠法として指定すると、オレゴン州ではそれが認められるとのこと。こちらをみると確かにそうなりそう...。
  • ネットでの通信などの発達により裁判管轄が不明瞭になり、契約にどういう法律が適用されるか予想しにくいからこそ、適用された法律により契約の各条項が無効とされたときに備える意味で分離条項は有用との指摘(p145)。
  • 米国企業相手に米語で交渉するときには、法律・契約用語にこだわり過ぎないほうがよい場合もある(p177)。程度問題はあるにしても、別に米国企業に限った話ではないような。専門用語を使わなくても済むときは使わずに済ませるのもひとつの手というのはどこでも一緒のような気がするけど。
  • 第2編の用語集も、似たような用語との異同・差異の説明が興味深い。best effortsについて英国・豪州と米国などの解説はへーって感じなのだが、判例とかを踏まえてのコメントの場合はその辺の出所を示してくれるとなお良かったかもしれない。optionとdiscretionは、選択してもしなくてもよい場合はdiscretionの方が良い、とかの指摘も興味深かった。

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しばらく前に読み終わっていたけど、書き忘れていたのでメモ。

リスクマネジメントに長けた弁護士さんの手による本。「最強」とはまた大きく出たなと思ったが、読んでみると、確かに内容が優れていると思うので、そこまで謳うのもあながち誇張とまでは言い切れないのではないかと思う。実例も(おおむね特定はされていないが、一定の知識があれば特定は可能なはず)交えて、簡潔かつ実践的に書かれていて、とりあえずこの分野で何か一冊というのであれば、手に取って読むに足りる一冊ではないかと思う。各節ごとにまとめのチェックポイントが付されていて、内容が頭に残りやすいというのも好ましい。

個人的に特に印象に残った点を順不同でメモすると次のとおり。
  • 不祥事対応の研修をすることそれ自体が取締役の善管注意義務の履行等として評価される対象になる。「研修はトップを救う」「研修は組織を救う」というのは確かにそういうことなのだろう。あわせて、その目的を達成するための記録のマネジメントの重要性も指摘されている。 
  • 内部監査と監査役監査の違いの説明。前者で監査すべき内容が「現場の運営は、社長が決定した方針とルールに合致しているか」であり、後者が「取締役の行為は法令定款に合致しているか」。 当たり前なのかもしれないが…。
  • リスク管理マニュアルについての種々の指摘が有用。特に、現場での判断の余地のないものにすべきという点や、マニュアルの遵守の徹底、といったあたりは、そうしないと何が起こりうるかの指摘も含めて、うなづけるところ。



本屋で見つけてその場で買ったのだが、読むのが遅くなった。一言で言うと「企業経営におけるゼニの増やし方」、とまえがきにあるとおり、そのための戦略に焦点を当てつつ、会計とファイナンスの基本(どちらかというとファイナンスがメインという印象)がわかりやすく説かれている本。別に経理とか財務とか経営企画とかにいなくても、法務であっても読んでおいて損のない本だと思う。

どこまで理解しているのかはさておくとして、会計についてもファイナンスについてもある程度は勉強したので、内容についてまったく未知という部分はそれほどなかったけれども、面倒な計算式とが出てくるのを最小限に抑えつつ、図解をうまく使って直感的な理解ができるようにしているところや、身近な企業の実例やゲームをうまく用いて、説明しようとしている内容の重要性を理解しやすくしているところは、プレゼンテーション能力の高さという意味でも素晴らしいと感心した次第。

会計やファイナンスの知識は、一ビジネスマンとしても、法務の業務をするうえでも、一定程度(それがどれくらいなのかは、個別の状況に応じて異なると思うけれど)は押さえておくべきと思うところだが、それを抑えるうえでの最初の一冊としては適切な一冊だと思う。法務の業務という意味では会計についての話は更に補足が必要だという気がするが、その部分についても、今後のbook guideがついているので、そちらが参考になると思う。


出版記念?の編著者のうちのお一方により経営法友会でのセミナーに出た際に会場で割引販売していて、買ったのだが、ようやく目を通したので感想をメモ。件のセミナーは内容は興味深かったのだけど、ここでネタにしていいのかためらうところがあったので、メモしていなかったのだった。

労務系の実務に関する書籍は、いろいろなところから、一通りの内容をカバーする10冊くらいのシリーズで出ている。どうやら商事法務もそれに伍してシリーズ化する気なのか、 「企業のための労働実務ガイド1」と銘打たれている。解雇・退職に関する部分についてその他のシリーズのものも読んだことがあるけれども、それと比較して、特徴的と思ったのは次の3点。文章も読みやすいので、これらの点について重要と思われる方にとっては良い本なのではないかと思う。
  • 個々の問題への対応に際して必要な書式例まで書かれていること。アドバイスだけで具体的な行動が見えにくいというケースには有用なのではなかろうか。
  • 各章ごとに冒頭に「まとめ」があり、まず全体像をつかんで、それから個別具体的な話に入っていく形になっていること。 その部分(紙の色が異なっていて、区別しやすい)だけを読んで大枠だけをさっと理解するという使い方も出来そう。
  • 外資系事務所の先生方の手によるということもあり、渉外要素のある労働契約への対応などについて言及があること。労働契約上で別の合意をしても、日本での裁判管轄が強制される場合があるのは、不勉強で知らなかった。


遅くなったが読み終わったので感想などをメモ。
一言で言うと、事業会社でM&Aに関わる法務担当者にとってはおそらく必読(メーカーであれば間違いなく必須)の一冊。もっとも、一定の知識があることを前提にしているので、いきなり読むのはシンドイだろうが...。(*)

日産で200件以上のM&A案件(ほとんどがクロスオーバー案件)に関わられた著者がM&Aに関する要所について解説するもの。守秘義務の問題があり、具体的な案件に関わる記載は出てこないものの、企業の中でM&Aを取り仕切っていないとかけないような実務上のポイントについての解説が有用。法務、財務、税務、人事、知財、環境などなどの個別の分野に断片化されず、統合的に俯瞰するような形での解説及び外部専門家の起用の仕方についての説明は、おそらく「中の人」でないと書けないであろう。続きを読む


某所で激賞されていたので、買ってみる。組織崩壊の前兆について、事例を交えてわかりやすく説明するとともに、そういう前兆に遭遇した場合の対応方法についても論じている。

事例も設例というよりは、実際にあったケースを固有名詞を伏せつつ適宜修正したという感じで、僕ですら「これって、あの話だよね」と思い当たるものがあったので、識者の皆様におかれては全部お見通しなのかもしれない。そういう不穏な楽しみ方も出来てしまう。 

書かれているような事例に遭遇しないにこしたことはないが、遭遇した場合に、書かれているようなことが頭の隅にあるだけでも多少は違うと思う。そういう意味で、企業で働かれている方すべてが読んでおいて損のない本かもしれない。文章は読みやすいので、読むのにそれほど時間はかからないから。 


きわめて個性的で、問題をはらんだ本なので、紹介しにくいのだが、それでいて、個人的には是非紹介したい本なので、紹介、というか感想をメモ。

司法書士資格を取った後に、法務職で、国内企業、外資系企業を含め数度の転職を経験した著者が経験に基づき企業法務部門のあり方について、語る本というところが、大まかな紹介だろう。生々しい経験談が面白いのだが、守秘義務などの点で問題はないのか、という疑問もあるし、また、既にはっしーさんやその他の方がTL上で指摘されているような問題点を含んでいるのも事実。そこのところを軽んじるつもりはない。

しかしながら…、と思う。


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成田で購入して、機内で2冊とも読み終わった本。暴排条例の制定を受けての暴力団をめぐる現状をわかりやすく、読みやすい形で記載したもので、update版の続編を合わせて読んだ方が良いと思う。暴排条例対応をしている人は特に。 個人的に、暴排条例については、正直疑問が多かったのだが、感じていた疑問(違和感も含め)について、納得のいく説明があり、内容の当否については確認できるだけの情報はないものの、有用と感じた。 暴力団の存在自体を法的に認知していることがそもそも問題という指摘もそうだと思うし、暴対法・暴排条例があるにも拘らず暴力団自体がなくならない理由についての指摘も、もともと僕自身も警察としてはなくなると困るから、結局は何らかの形で彼らと実態としては共存する形になっているのではないかという程度の推測はできていたが、その根拠を示しての指摘は、なるほど、というところが多かった。市民を暴力団排除の前面に出すことで市民を危険にさらしている、という意味でも暴排条例には問題があるとしても、それでも暴力団を経済面で追いつめる機能は果たしているので、残すべきという主張は、暴排条例について疑問に思っている人も(僕もその一人だが)、耳を傾ける価値があると思った。

ビジネス法務の部屋のtoshi先生の3冊目の著書。前2冊も拝読したこともあり(謎)、出た直後に買ったものの、漸く一通り目を通せたので感想をばメモ。

法務系の方々にとっても、会計とか内部統制の分野は、ある意味「ご近所」の分野でもあり、不祥事対応においては共同で動くことも想定されるわけだから、そういう「ご近所」の分野の専門家の方々にとってのモノの見え方、行動の背後にある考え方についての理解を深めるうえでも、例え即効性のご利益はないとしても、読んでおいて損はないと思うし、会社法法務の分野をされている方々にとっては必読なんだろうと思う(僕自身が今はそういう立場ではないので、必ずしも保証しきれないところがあるが)。 

blogでもそうであるように文章が平易だし、専門用語についてもそれなりに解説がついていて、読みやすいはずなのだけど、7章の会計基準の位置づけに関する辺りは正直歯が立たずに、目を通し終わるのに時間がかかる一因になった。ともあれ、僕自身はどちらかといえば、法律よりの立場にいるはずで、そういう立場からすると、ここの部分は、会計側に感じる「?」と思う部分の一部分が解消されたような気にはなった。ホントにどこまで理解できているのか不明だけど…。その部分より後ろの不正会計については、その分、楽しんで(そういう言い方は適切ではないけど)読むことが出来た。
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「キヨミズ准教授の法学入門」で言及されていた「次回作」が出たので買って読んでみた。時事ネタを使った憲法入門という感じ。 新宿紀伊国屋で買ったのだが、店内アナウンスでも宣伝していて、ちょっとびっくり。 一般向けの憲法入門書ということになっており、確かに憲法の知識はなくても読めるとは思うけど、前提としている一般的な教養レベルは高いような気がするので、注意が必要かもしれない。

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はっしーさんの時宜を得たエントリを見て、便乗(はっしーさん、すいません)。

僕自身ははっしーさんが挙げている中で読んだのは、セオリー田路先生の本だけだけど、残りの本についても、読んではいないものの納得するところ。六法は分冊になるのは好みではないので、判例六法を使っているけど(どのみちプロフェッショナルになっても、使う法令で載っていないものはあるので…)。

個人的に気になったのは、業務で使いそうな法令についてある程度カバーするような基礎的な知識の本が載っていないこと。おそらく推薦冊数が多くなることもあり、かつ、そういう話は本でなくてOJTとかでカバーされるという前提で、はっしーさんは意図的に外されたものではないかと思う。

とはいうものの、状況によっては、その辺について自分で補充が必要になるケースもあると思うので、補足、ではないけど一冊お薦めしてみたいと思う。企業法務の入門みたいな書籍もそれなりにあるのだけど、法務の実務をされている方々が書かれていて、ある程度定評がある本で、手に入れやすいものというと、次の2冊のいずれか、ということになるのではないか。
会社法務入門<第4版> (日経文庫) / 堀 龍兒 (著), 淵邊 善彦 (著)
実践 企業法務入門―契約交渉の実際から債権回収まで /滝川 宜信 (著)
(ホントはもう一冊経営法友会で出している「企業活動の法律知識」をあげるべきだが、手に入れやすくないのでここでは挙げない)


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いつもお世話になっている、はっしーさんと@kataxさんが雨宮弁護士と共著を出す、しかも内容が利用規約の作り方についての本、ということで、著者経由で入手の上、拝読してみた。
 (以下、ステマとまでは行かないと思うものの、自分のことのようにうれしいので、身びいきというか、ややバイアスがかかった記載になっているかもしれない。いつもはこういうことは生じないように気をつけているのだが、念のため付言する)

純粋な法律書ではなく、どちらかというと現場の担当者向けの本で、押さえるべきところをしっかり押さえるだけではなく、説明の仕方、噛み砕き方及び図解の仕方もこなれていて、法務担当者が読んでもわかりやすいし、現場で担当している法務以外の人でも十二分に読める仕上がりになっていると思う。参照文献リストや雛形類(英語版まで!)ついていて、有用度が高いのではないかと思う。あとがきにも法務担当者と弁護士さんの本音がにじみ出ているのもいいし、装丁やレイアウトも良い感じ。
(ついでに、作成過程での共同作業の仕方についての、はっしーさんのエントリも興味深い)

 内容を見ると、一部ははっしーさんや@kataxさんのblogや利用規約ナイトでの発言と重なっているところもあり、それを思い返しつつ、読むのもまた一興かもしれない。もちろん、そういう野暮なことをするまでもなく、読みやすいし、読んで役に立つ内容だと思う(実際、一部は僕自身の業務でも役に立っている…)。

 細かいことを言えば、特に現場の人向けということからすれば、法律用語の説明の不足はあると思うけど、それらについては、別途はっしーさんたちに既に別途お伝えしてみたので、今後折を見て改訂していただければと思う次第。とりあえず、例の債権法改正との関係では、約款規制の規定を受けたupdateを期待したいところ。続きを読む


米国での訴訟における提訴後・トライアル前のディスカバリ手続き全体について書かれた本。特許訴訟への対応を想定して書かれている部分もあるけど、それ以外の訴訟との関係でも有用なのではないかと思う。資料で関連用語の説明や、適用条文の原文、サンプルフォーム(英語)がついているのも理解を助けてくれると思う。続きを読む


メーカーで国内に製造拠点があるところにいるので、製造拠点という不動産の管理に関する話が時折来る。個別の論点ごとについては都度調べているのだけど、施設管理に関する全般的なリスク管理についての情報を頭にいれておきたくて、その道に詳しい某先輩にお薦めの本を教えていただいて入手したもの。製造拠点の操業にまつわるリスクに関する話は当然含まれていないが、それでも、こういう形で、全体像を頭にいれておくのは十分有用だと思う。
某先輩、ありがとうございましたm(__)m。

後者は、「わかっている人」向けに、情報をコンパクトに凝縮していて、持ち歩きには便利そう(活字が小さめで目には厳しいかも)だが、前者はやや古いものの、より入門的。僕みたいな用途では前者だけでもよかったかもしれない(後者の方が新しい分、updateとしての情報入手の役には立った)。

前者は2006年と古いし(法務的なところで言えば、土壌汚染対策法の記載はその後の改正があったことには留意が必要)、不動産投資についての話は、個人的にはあまり用事はなかったものの、「欠陥・瑕疵に関するリスクと対応策」「ビル機能・周辺環境の変化に関するリスクと対応策」及び「事故・災害のリスクと対応策」のとこ ろは、平易な文章でわかりやすくリスクのありようとそれへの対応策が書かれているので、メーカーの法務の人にとっては、それだけでも十分、目を通す価値はあると思う。個人的にはアスベスト(古い施設ではアスベストが使われているケースがまだあるので)を取り巻く実務や制度の解説、それと、耐震補強に関する解説が興味深かった。

出来れば、東日本大震災以後の事情も盛り込んだ改訂版が欲しいのだが...。

リークエの2版(そういえば買おうと思いつつ、買っていない...orz)の補遺が出ている。今回の会社法改正要綱を受けての補遺とのこと。

ついで?ではないけど、前にネタにした大内先生の共著の「法と経済で読み解く 雇用の世界」についても、昨今の諸々の労働法制の動きに応じ、同様に補論が出ていた。

updateは重要なんだけど、いちいちそのたびに改版というのでは、読者としてはシンドイところが有ると思う。フトコロ面とか置く場所の面とか、そもそもどこが変わったのかわかりやすくないとか...。そういう意味で、こういう形でのupdateは歓迎されてよいのではないだろうか。


企業法務のOJTのテキストに有用な一冊。企業法務の実務を行ううえで必要な知識面ではなく、法務担当者としての頭と身体の動かし方についての部分に重点を置いているところが、新味というべきなんだろう。知識面とかでの本(それだって有用だけど)というなら、滝川先生の本や、日経文庫のやつ、さらには、一般には出回っていないが経営法友会のテキストとか、既に一定の本が出ているので。 また、最後に出ている典型案件への対応の仕方のセオリーも、当事者の利害という法的な観点を離れたところにも目配りをしつつ対応の仕方を解説をしていて、実務的でよいと思う。

図表の使い方やレイアウトの仕方で読みやすさが増しているけど、その辺はlexisの編集部のお手柄であろうか。続きを読む



BLJのBookガイドでも推奨されていたのと、最近訴訟案件に関与していなかったこともあって、知識の確認の意味で会社にあったものを読んでみた。
Bookガイドにあったように、法務着任者に最初に読んでもらう、のにふさわしい一冊というところか。


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「スタートライン」シリーズ(債権法・民法総則)などにより民法の初学者向けの本の著者としても、また、専門家向けには債権譲渡に関する研究で知られる(らしい)池田教授の民法入門。もっとも、単なる民法入門ではなく、著者が本書に込めた意図は次のようなものとのこと。確かにそういう内容になっていると思う。
一般市民の目線に立って、民法という法律の輪郭をとらえ、それを歴史と市民文化の発展のプロセスのなかで理解しながら、その面白さを発見し、さらに現代の日本民法の持つ問題を共に考えようとするものである
前半部分も身近な事例を使って民法の輪郭を上手く描写しているという感じがするが、一定の知識のある方々にとっての読みどころは、寧ろ、後ろの方にある今回の「債権法改正」に関する著者からの問題提起ではないかと思う。

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図書館で借りてみた。会話形式で、ありそうな従業員による不正、それが起こった原因、防げなかった要因を解説し、その防止策としてのセグリゲーションを提示し、その重要性を説く本。内容としては重いはずなんだけど軽めの筆致で書かれていて、読むのも負担にならなくて良い。

ITを駆使した効率化の結果として、一人の人間に複数の権能が集中して、それを監視する目が行き届かなくなると不正のリスクが生じやすくなっている状況を受け、セグレゲーションとして、職能の分割と複数の目にさらすことによる不正防止を解いている。読者として中小企業を想定しているのか、具体的な方法についても、(一番最初に思いつきそうで、それでいて実際に実施するのは難しい)管理部門の人員増員とかではなく、顧問税理士の活用、稟議や棚卸といった既に存在している社内の制度の活用、というような実施可能に見える解決策が提案されているのが好ましい。

僕自身の今の勤務先では、外資ということでこの辺は、既に徹底されていて、正直面倒と思うこともあるのだが、それでも、中で出てくる実例とかを見ると、その重要性を改めて認識する次第。企業の法務の担当者としても、リスク管理のセンスを養う意味でも、読んでおいて損はないのではないだろうか。




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気にかかっていた本だけど、買うところまで思いきれず、近所の図書館で借りて読んでみた (どうでもよいが、電子書籍版もあるとのこと)。

アメリカ法入門というと、結局イギリスまで法制史を遡って行って、そもそも、から説き起こすというようなパターンが多く、そういう必然性があるものの、その辺りは、特に関心がない限りは退屈になりがちなのだが、この本ではその辺はばっさり端折って、現代的な事例に基づき、日本法との比較も交えながら、入門の入門、というような解説をしてくれている。退屈にならないように工夫がなされているので、分量も多くないので、USのLLMに行く人が行く前に、というのにも良いだろうし、それに限らず、企業法務の人が英文契約を扱う際に前提となる知識(例えばcommon lawとequityの区別とか)を得るために読むというのにも良いのではないだろうか。


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