書籍

February 11, 2019

相続道の歩き方 / 中村 真 (著)



漫画入りblogでお馴染み(?)の,中村"マコツ"真先生の一冊(ちなみにご自身の宣伝エントリはこちら)。箇条書きで感想をメモ。

  • 先のエントリで紹介した,相続事件の21のメソッドが,実務的に悩みがちな点を事例に基づき解説している感じなのに対し,本著では,相続実務について,相続前でできることから初めて,遺言相続の場合と法定相続の場合に分けて,時系列に沿う形で,平易に解説してくれている。その意味では,2冊のうち,こちらから読んだほうが良かったかな,と感じたところ。(内容的に込み入っている遺留分周りの話は必ずしもわかり易くなかったが,制度そのものに起因する話だと思う)。
  • 手続き的な事項(例えば公正証書遺言作成時に必要な書類とか)についても,一定程度カバーされているので,実務的にも便利そう。
  • blog同様のノリではあるものの,解説の丁寧さは,前に書かれた法律相談本と同じ感じ。
  • 原稿の遅れのために,相続法改正が成立したことをうけ,改正法についての解説もある。これはこれで,個人的には助かる。
  • 漫画も上手いと思うけど,絵のセンスは古めかもしれない。
  • 相続実務の入門書,という立ち位置のようなのに,参考文献というか,further readingsについての記載が無いのもいまいち。
  • 実務家及びその予備軍が想定読者層の割に,判例とかの出典の明示が必ずしも十分でないように思われるところがあるのは残念。索引も欲しいところ。
  • 個人的な好みの問題だが,この字組は,紙面がうるさく感じられて,必ずしも読みやすくないように感じた。


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dtk1970 at 23:00|PermalinkComments(0)

February 03, 2019

こんなところでつまずかない! 相続事件21のメソッド/ 東京弁護士会親和全期会 (著)



この歳になると,相続事件について友人知人関係からいつ訊かれてもおかしくないので,購入。新人・若手弁護士向けに,この種の事件の悩みどころ等について,経験談を踏まえて解説した本。

相続事件は,同年代の話を聞いていても,ある種身近に感じられるようになってきたものの,司法試験とかで親族相続法についてそれほど真面目にやったわけでもないのと,何より,制度が複雑(しかも最近法改正もあったし…)ということもあり,とっつきにくい感もないではない。とはいえ,諸先輩の,いかにもありそうな体験談に基づく解説は,紙面がよく整理されていることもあって,非常に読みやすく,学ぶところも多かった。

もちろん,これだけ読んだだけで,すぐに何かができるようになるわけではないが,不安が和らぐことも事実なので,このシリーズは他のものについても,時期を見て,目を通しておきたいところ。業務としてやる・やらないと関係なく,ある種の基礎教養という意味で。





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dtk1970 at 22:32|PermalinkComments(0)

January 25, 2019

法務担当者による米国民事訴訟対応マニュアル /三輪 泰右 (著), 池田 俊二 (著), 三橋 克矢 (著)



出版時に確保していたものの,長らく積読だった一冊。もっと早く読んでおくべきだった…。
財閥系大手電機メーカー法務部の方々の手によるもので,米国で民事訴訟の相手方とされた際の対応についての解説。日本企業が被告等になった場合の対応について解説したものなので,こちらから提訴する場合における特有の問題,たとえば,どこで提訴するかのフォーラムショッピングや,弁護士選びのいわゆるビューティーコンテストのような事柄についての解説はない。とはいえ,そういう事例よりも巻き込まれる事例のほうが多いだろう。訴訟の進行に応じ,各段階ごとにすべきことについて,平易にかつ簡潔にまとめられているので,有用だと思う。対応の詳細については現地弁護士と相談することが必要になるので,相談の前提となる知識及び「中の人」のすべきことについての解説という意味では,詳細になりすぎず,手頃な分量にまとめられている点も良いと感じる。

従前のエントリでネタにした関戸先生たちの本が,あくまでも,外部弁護士側の視点で書かれているのに対し,会社の法務という「中の人」の立場から書かれている。訴訟費用の予算取りとか,和解受け入れについての社内調整といった,「中の人」にとっては通常必要となるプロセスについての,経験に基づく解説が興味深かった。 先に挙げた関戸先生たちの本と共に読むことで,いかなる対応が必要になるかという点がより立体的に理解可能となると思う。事実,参考文献で,先に挙げた本の元の本も挙げられている。なので,両者併読を推奨。

この他個人的に印象に残った点をいくつかメモ
  • 個々の議論の根拠となる法令または判例・裁判例について脚注で言及があるのは,ネタ元にあたりやすいという面で良い。 
  • 先の関戸先生以下の本についての感想の中で書いたことと関連するが,様々な申立のサンプルが含まれているのは有用で良いと思った。訴訟の内容に関する部分の記載が省略されているものの,どういう感じの書面になるのかのイメージは相対的にはしやすくなるので。 
  • トライアルそのものについての対応よりも,そもそも如何にトライアルに至らずに済ませるかということに関しての解説が多かったのも印象的。解説にあるようにトライアルまで行ってしまうとどうなるか読みにくいし費用もかさむから当たり前なのだが。 
  • 正直,管轄周りの議論がわかりにくかった。解説は極力平易にしようとされているので,もともとわかりにくいということの反映と思われる。 
  • 訴訟ホールドについては,こちらで前にエントリにしたように,四半期に一度程度の周期で繰り返すことが重要と思われる所,その辺りの記載があまりなかったのがやや残念。一度出して終わりではないはずなので。


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dtk1970 at 23:30|PermalinkComments(0)

はじめての著作権法 (日経文庫) /池村 聡 (著)



この分野に詳しいが故に点が辛い(と思われる)戦士さんが,比較的高評価(と,僕は理解した)をされていたことなどもあり,買って読んでみて,雑駁な感想をメモ。そういう次第なので,まともな紹介は先にリンクした戦士さんのエントリを参照のこと。

個人的には,パーソナルな事柄(黒歴史に属すると思われるものも含め)や世間の耳目を集めた事柄を素材に,正確さよりもわかりやすさ優先で,初心者向けに著作権法を読みやすい形で解説した良著,という印象。戦士さんが,書かれているように,マニアックな話も含まれていて,そこは,初心者向けとしてどうなのかというところはないではないけど,多少はマニアックな話があったほうが,初心者をマニアに誘ううえでは適切なのだろうと思うので,個人的には特に気にならなかった。
こちらは,冒頭に出てくる,著作権オタクとしてイニシャルのあがっている3名の方についても,最後の1人は皆目検討もつかない(最初のお二方は,見当がつくけど)程度の人間なのだが…。

類書という意味では福井先生の本が想定可能なのだけど,福井先生の本と違うのは,発売時期と若者向けに限っていない点と,文化庁の「中の人」をやられていた際の経験談及び経験を踏まえてのコメントがある点だろう。どちらも良い本だと思う。

この手の本は時事ネタを使っている分,風化しやすいし,時事ネタは,知らない世代にとっては,却ってわかりにくいと思われるので,適宜のタイミングでの内容のupdateを期待したいところ。



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dtk1970 at 00:48|PermalinkComments(0)

January 05, 2019

BLJのブックガイド(2019年2月号)特集の感想



遅ればせながら,毎年恒例のブックガイドの感想をメモしてみる。
まずは,どう考えても手間暇の膨大なこの特集が続いているのは,凄いと思うので,編集部及び関与された執筆者他の皆様に,経緯を表する次第。

といいつつ,全体的な印象としては,なんだか発散気味な印象。純然たる法務分野以外の本への言及が多くなったから,そう感じてしまったのだが。

確かに,純然たる法律または法務業務に関する本だけ読んでいればよいというものでもないし,特に後者については,そもそもその外延が明確とは言えないから,多少は広めに紹介の範囲に入れるという選択肢も理解はできる。しかし,今回は,外延部分又はその外に属するものが多すぎると感じたし,肝心の中心的部分についての紹介が薄くなってしまった感があって,その点,個人的には違和感が残った。
もちろん,外延又はその外に属する部分についても,取り上げられたのが,旬の分野であるともいえることから,取り上げたことが無意味ということはなく,相応の意義はあると思う。しかし,読者層にばらつきがあることを考えると,これで良かったのか,という疑問は残った。長年読んでいるような人間には,こういう回があっても悪くないのだけれど,はじめての読者にとってこれでよかったのか,というと個人的にはやや疑問。

個人的には定番本についての,より突っ込んだ議論(もはや古すぎて役に立たないというような意見が出る余地のあるものもあったので)を見たかったという気がした。
また,個々の執筆者が紹介されていた本の中では,これから刊行予定ではあるものの,アルプスの方の「米国法適用下における商取引契約書」が気になったので,見つけ次第確保しようと思っている。

最後に,一番のお楽しみ?の座談会については,議論のかみ合わせが難しかったのかもしれないという印象。どういうメンバーなのかは,必ずしも定かではないが*,ある程度議論が進むような事前のお膳立てが必要だったのかもしれない。
*昨年の某やり取りを思い出したが,詳細は略

座談会で印象に残ったのは,債権法改正絡みで,某誕生本への言及がなかったのが残念(切られた?)だった反面,Aさんご指摘の京大系の学者の意見の相対化についての記載が興味深かったのと,内田講演録が読みたくなった(単なる野次馬根性)ことと,Bさんの某革命本と某戦略と法律本への辛辣なコメントのあたり。

…色々書いたけど,2020年版ではどういう形で特集が組まれるか,既に今から楽しみにしている。




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December 29, 2018

英文契約書レビューに役立つ アメリカ契約実務の基礎 /石原 坦 (編著)



買う・読む機会を逃していたのだが,先日ブックオフで見つけて捕獲して読んだもの。僕は,レクシスネクシス版を購入したが,今では第一法規で出版されているので,上記のリンクは第一法規の方に張ってある(なお,第一法規版との内容の差異は確認していない)。

英文契約書が,いわゆるグローバルスタンダードとなっているのは否定しがたいので,英文契約についての書籍が,その前提,つまり,特定の法域での法適用を必ずしも前提とせずに書かれることもあるが,本書はそれとは異なり,アメリカ法の下での英文契約の検討の実務に資する法律の解説をしている。USでLLMを修了された先生方のコラムも,実務の参考になるとともに,同様のコースを目指す方の参考になるだろう(個人的には,NY州の資格を取るためのプロセスの情報について,僕の頃よりも遥かに手間がかかる形になっている点が印象的だった)。

コンパクトな分量で,上記の範囲で,重要度の高い点を解説した本であり,網羅的ではないものの,出てくる頻度の多い点の解説になっているので,アメリカ法下での英文契約の検討をする上では,手元にあると有用と感じた。元はデータベース上の連載ということもあって,個々の章は読みやすくまとまっている。UCCの条文の摘示や,判例(裁判例)の摘示が細かくなされていて,必要に応じて原典まで辿りやすいことも有用度を上げていると思う。

個人的に一番印象に残ったのは,best efffortについてのNY州法下での規律についての解説。具体的基準がないと,best effort義務の違反を問えないことがある(むしろ問えるほうが例外的)というのを不勉強で知らなかったので(まあNY州法を準拠法とする契約を厳密にレビューした経験自体が多くないけど:勤めていたUS企業はNY州法ベースで雛形作っていなかったし(汗)),なるほど,と思った次第。
(解説の直接の題材はこちら,だが基準を明確に要求しているのは,こちらで,先の裁判例でも引かれてている)

もう一つ印象に残ったのは,FCPA違反防止のための契約上の手当てについての解説。FCPAの概要のまとめがコンパクトでわかりやすかったのと,手当として書かれているものが,勤めていたUSの企業で講じられていたのと方向性として同じだったので,なるほど,と思ったのだった。

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dtk1970 at 23:59|PermalinkComments(0)

December 28, 2018

わかりやすい米国民事訴訟の実務 / 関戸 麦 (著), 高宮 雄介 (著), 森田 茉莉子 (著), 片桐 大 (著)



日本企業のための米国民事訴訟対策 」のupdate版,という感じの本。タイトルは変わっているものの,章立ては同じ。他方で,関戸先生単著だったのが,同じ事務所内で米国での訴訟に関与する先生が増えたこともあり,共著にしたとのこと(「はしがき」による)。

訴訟が提起されてから,トライアルまでのやり取り,トライアルを経て判決,上訴に至るまでの流れに沿う形で解説がなされていて,前著の読みやすさを維持しつつ,内容が更新されているのが良い。また,訴訟ありき,ではなく,訴訟の回避方法について,従前同様に相応の言及があるのも,好ましい。これらの意味で,米国での訴訟の可能性がある日本企業の法務部門では,手元においておくべき一冊ではないかと感じるところ。

再読(という言い方が適切かどうかはさておき)してみると,こちらの知識が増えたこともあり,なるほど,と思うことが増えた。特にこちらの日本の民事訴訟法の理解がました分,日本の訴訟法との比較での解説のわかりやすさがより良く実感できた気がした(特に当事者主義の徹底のあたりとか)。

解説としてはこれ以上は望みにくい気がしたが,いくつか,個人的に物足りなく感じたところなどをメモしてみる。
  • 前著への感想でも書いたが,個人的には要所要所での書式例がついているとなお良いのではないかと感じた。特にdiscovery前提のため,discvoery前の訴状段階では,主張が抽象的にとどまる反面,漏れがあると困る(放棄と取られる危険がある)ということから,広めの主張がなされるとのことだが,どの程度書かれるのか,というところが気になった。
  • eDiscoveryとの関係では,AIを使って費用削減を図る例が出てきているものと考えているが,その当たりの言及がもう少しあっても良かったのではなかろうか。費用削減は,当事者にとっては大きな問題なので。
  • 秘匿特権のところで,秘匿特権の放棄(waiver)と結論付けられた場合に,秘匿が認められなくなる(開示をせざるを得なくなる)範囲が今ひとつ実感できなかった。具体的なケースでの実例の紹介があったら良かったのではないかと感じた。




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dtk1970 at 23:00|PermalinkComments(0)

ここしばらくの仕入れ

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 最近やってなかったので。一部ブックオフで買ったものも含む。 冬休みの自分に期待しすぎかもしれない…。 まりやさんのRCA時代のものは,そもそも持ってなかったし,聴いたこともなかったので揃える所存。今聴くと音作りに時代を感じたりする。

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dtk1970 at 19:38|PermalinkComments(0)

December 23, 2018

第2版 実務英文契約書文例集-サンプル書式ダウンロード特典付- / 黒河内 明子 (著), ムーン・キ・チャイ (著)




以前感想を書いた本
の,債権法改正を踏まえた改訂版について,目を通したので感想などをメモ。

手にとったきっかけは,毎度おなじみマンサバさんのブックガイド。内容については,昨年いささか意見を述べさせてもらったのと比して,概ね違和感はないものの,一つ違和感が大きかったのは,英文契約についての某書籍というか某辞典(敢えてリンクはしない)。かの本一冊を必携とするのは,ちょっと違わないか,と思った。内容的に有用なのは争わないにしても,高いし,重くてかさばって紐解きにくいので,必携と評価することには違和感があった。
(かの辞典については,増補版になって,CDROMがつかなくなり,文例のテキストデータが得られなくなったというご指摘も某先輩からいただいた。手でテキストを打つと,typoの危険もあるうえ,手間が面倒なので,この措置は改悪と思うので,余計に上記の違和感が加速された気がした)

とはいえ,じゃあ代わりは?と考えると,英文契約で一冊だけ,というと,なかなか思いつかない。個人的には一冊でなんとか,というのは不適切と思っているから。
敢えて一冊を選ぶなら?と考えてみると,おそらく一冊だけなら,きっと例文集が良いのだろうと考えるに至った。英文契約について悩むのは,自分でドラフトするとき,というのがもっともありそうな気がするし,その際は,例文があったほうが良いだろう。例文がしっかりしていないと,解説だけあっても,こと英文契約に関しては,結局どう書くの?というところははっきりしないかもしれない。逆にしっかりした例文があれば,記載の意味するところが不明瞭であってもそれを調べることは可能だろう。

そこで,値段,重さなどの点でお手頃で,広範な契約類型をカバーして,かつ,例文のしっかりしたもの,ということで考えてみると,今回ご紹介のこの一冊ということになろうと考えた次第(なので,その旨つぶやいた)。

USのローで教育を受けたUSの資格者で,USの法律事務所での実務後に日本の事務所で長く働かれている方(ゆえに日本の実務にも知悉していると考えられる)と,同じ事務所の日本人の日本資格者の方が共著の形で出来ている本書については,まず例文の質については安心して良いのだろう。
また,例文のワードデータをDL可能な点(初版ではCDROMだったが,最近はディスクドライブがない端末が多いので,二版ではDLの形にした,という対応の仕方も興味深い)も,本文を見て打ち込む手間及びその際にtypoの危険が少ないという点でも有用だろう。
さらに,書式例に修正を加える際に留意すべき点についても一定の記載があるのも間違いを減らす上では有用。
(なお,十分に明示的には語られていないようだが,書式例は,日系企業と外資との間の契約で,日系企業側に有利になるように起案されているものと思われる。読者層を考えれば当然のことだが,その点は明記すべきだったと思う。そういう前提で作られているのであれば,相手方側の立場でこの書式例を使う場合は,調整すべき点があるということになるわけで,その種の事態は,日本語の文例集でもあてはまるので,ことさらに言うほどのことではないのかもしれない。しかし,読者の文例の使い方が様々なものであることが想定される以上,念のために,注意喚起しても良かったのではないか*1)。

これらの点だけで,同様の条項に対する文例のバリエーションがあまり多くないという問題点を差し引いても,手元に置くべき一冊としての資格を満たしていると考えるところ。
なお,文例集なので,個々の文例についての解説はあっさりめ。ある程度英文契約について理解していないと,使いこなせないと思われる。*2

…というだけで終わってもよいのだけど,以下,気づいた点を箇条書きでメモ。前記の個人的な評価を左右するものではないが…。
  • 一般条項に関しての解説が,通知条項から始まるというのは,法的効果が通知によって生じることが多いことに鑑みてのことだろうけど,なかなか類書ではないのではないか。
  • 準拠法・紛争解決機関についての条項は,仲裁に付す前に課した相互交渉について,両当事者によって有効的に解決できないときには仲裁に付す,とあるものの,両当事者によって有効的に解決できないとまではいえない,と争うことで,仲裁に入るのを防ぐという攻撃防御が生じるような気がした。機械的に日数制限(起算点も規定した上で)で切る形を取るほうが無難なのではないか。
  • NDAの非保証条項の解説のところ及びその他のところで全部大文字にしている部分に関しては,そのような措置の淵源の一つとして,UCC2-316への言及程度はあってよいのではないか。
  • 売買基本契約のところで,USの再輸出規制との関係で条項を設ける場合について言及があるが,その場合のサンプルがあってもよいかもしれない。実例を見たことがないと分かりづらいので。もっとも,そういうのはUSの会社が当事者のときで,そっちが用意するから要らないという割り切りかもしれないし,それであれば,一応理解可能ではあるが。
  • サービス契約書とかでcommercially reasonable effortが出てくるけど,誤解しやすいところだと思うので,マンサバさんのいつぞやの記事にあったような,意味合いの説明とかはしておくべきではないか。
  • サービス契約とコンサルティング契約で業務内容の別紙の例もあるのは一応評価すべきか。実務レベルで評価できるほどの出来かどうかは疑義がのこるとしても,何も参考になるものが無いよりはマシなので。
  • 共同研究開発契約については,新しく発明が生じた場合の措置として両者持ち分均等で共有となっていて,ある種玉虫色なドラフトにも見える。しかし,それだと,両者の意思が一致しないと処分などはできないということになりかねないので,そういうドラフトでも良いのか,正直よく分からなかった。技術ライセンス契約については,ライセンシー側でライセンス技術を元に改良発明が生じた場合の扱いが規定されていないように見えたけど,規定しなくても大丈夫なのだろうか・・・いずれの点も,こちらの経験不足で判断がしにくい。
  • 製造物供給契約は,第二版で追加。確かに請負系の契約類型の文案があるのは重要。
  • 契約の付属的な文書ともいうべき,催告書,変更契約書,及び,解約合意書についての文例があるのも,有用と感じる。いざ作ろうと思うと迷う時があるので。





*1:日本語・英語に関わらず,契約書の実例または書式を見る際には,前提となっている当事者の素性,力関係等をふまえて見ないと,参考になりにくいと思っている。その意味で,その辺りの文脈なしに,条項だけ見て,議論することには,あまり意味がないのではないかと,個人的には思っている。
*2:なお,英文契約についての一番最初に読む本という意味では,いろんな本があるが,個人的には,僕自身も最初に読んだ,英文契約書の基礎知識,及び,英文契約ドラフティングハンドブック(2册セットで読むのが良い)がオススメと考えている。



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December 10, 2018

新・実践刑事弁護——昇平弁護士奮闘記 / 東京弁護士会刑事弁護委員会 (編集)

二回試験結果発表直前で落ち着かないけど,積読の解消をしたので感想をメモ…
(読んでいる間に新版が出た…orz)

刑事弁護に将来的に関与するかどうか自体,必ずしも明確ではないが,受任した場合には,時間制限の厳しい中で対応すべき部分があり,事案によっては洒落にならんので,今のうちに予習(?)しようと思った。刑事弁護については,既に手元に諸々の書籍はあるのだけど,時系列にそって,何をどうしたらいいのか,順を追って解説してくれる本がほしいと思ったので,この本を購入した次第。東京地裁及び東弁での実務を前提にしているので,それ以外のところでは適宜補正が必要かもしれない。

慣れてしまえば,大したことではないのかもしれないが,慣れるまでは不安が残るわけで,そういうときに手元にこういう本があって,常に紐解けるという状態にあるのは,安心材料の一つになり得るし,それが,結果的には単純ミスの危険を減らす要因になるものと考えるところ。
叙述は端的だし,全体の分量はコンパクトなので,とっさのときでも紐解きやすそうに見える。個人的には,接見時に持参すべきもののリスト(リスト化されていると出かける前とかにチェックするのにも使いやすそう)や,手土産の扱いというあたりが,興味深かった。

国選弁護をする新人弁護士向けのようで,取り上げられている事案も,否認事件ではなく,相対的にはやることの少ない事件のようなのだが,それでも結構大変そうに見える。もっとも,大変そうに見えたうち,相当数が法テラスへの手続まわりなので,この辺がもう少し何とかならないのかと思わないでもない。




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November 28, 2018

法律事務の手引き 全訂第9版

今から思えば,実務修習中に読むべきだったのに,読まなかったので,読んだ一冊。別にこの本,という意味ではなく,弁護修習中に,事務員さんが何をしているのか,もっと見ておけば,もっと知っておけばよかったと後から感じたので,今更ながらではあるが,事務員さん向けの本を読もうと思って,弁護士会館の地下の本屋で色々見比べて最終的に買ったのがこの本

さすがにそれ相応の年数企業で働いていたので,今更ビジネスマナーめいたところに記述が割かれている本を買う気はなく,弁護士事務所特有の事務について,詳しめに書かれている本がほしいと思って,見比べてこの本にした。大阪弁護士会制作の本なので,他のエリアでは異なる実務があるのかもしれないが,別に自分が事務員をするという趣旨で買っているわけではないので,その点が大きな問題になるとは感じていない。

そういう理由で買った本なので,弁護士事務所特有かつ事務員の方がするであろう事務について,丁寧に説明があるのが良い。法律知識が十分ではないかもしれない事務の方も想定読者に入っていることと,執行保全分野では事務員の方が担う作業が多いことから,執行保全周りの解説が丁寧にされているのが良い。民事弁護の予習の副教材にこの手の本を使うのはありかもしれない(実際そういうことをしている方を見たし)。

判型が大きいので正直邪魔なのだが,豊富な書式例を4 in 1で紹介するという荒業のためのようなので,まあ仕方ないかと思うことにする。CDROMで書式データがついているのも,気分的には心強い。





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November 25, 2018

武器としての情報公開: 権力の「手の内」を見抜く (ちくま新書) /日下部 聡 (著)

「仕入れ」エントリにするまでもなく(追記:と,いいつつ,先日の「仕入れ」エントリに追記した),買って即日読み終わった一冊。

誰でも使える情報公開制度の使い方,を朝日新聞の記者の著者が,自分が使った経験及び英国での公開制度との比較も混じえて解説している。
末尾に,情報公開制度の一覧が出ているのが有益。
また,実際に著者が制度を利用した経験については,石原元都知事の接待の実態や海外出張の実態を追及した例や,特定秘密保護法案の裏側(法務省や警察庁から異論があったこと,内調も危うさを認識していたこと),憲法解釈変更の検討記録がないことの解明,英国での体験談が記されており,特定秘密保護法案の話と憲法解釈変更の話が個人的には特に興味深かった。

情報公開というと,修習との関係で山中弁護士が活用されているのを思い出すのだけど,山中先生にも,活用方法とかを語っていただきたいところ。

一点違和感が残ったのは,刑事記録について,他の国では,墨塗りなしでアクセス可能であることから,日本でも同様にすべきとの意見。現状の日本社会を前提にすれば,被害者・加害者への二次被害を生む危険がある(マスコミがそれに加担しかねないのはいうまでもない)ので,おそらく無理だろうと思うし,そうすべきでもないと思ったのでありました。



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November 22, 2018

最近の仕入れ(2018年11月下旬)

二回試験は終わりました。疲れました。そのネタは追ってメモをするかもしれませんが,それとは別に…。
(2018/11/26 追記あり)

White Albumは,ボーナスディスクにつられて一番大きいのを買ってしまった次第。
最所さんの本は,先日のものとセットで読むのが良さそう。
百間の本はもってなかったので。ビールなどについての独自の決めごとが如何にもという感じ。
ウエーバーは,政治のほうを読むつもりで買ってみた。

米国訴訟の本は,関戸先生の前著のアップデート版という感じなので,買ってみた。
ローマ法は,気の迷いで(汗)。


Dsmt68AVsAAlZp3続きを読む

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October 28, 2018

最近の仕入れ(2018年10月末)

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1枚目(左)は,ここしばらくのもの。下の2冊は,家事周りの選択修習を取るので買った。東京家裁の実務についての本はよく参照したけど,もう片方はまだ先の話なので,ほとんど見なかった。 上の遠藤先生の本は,二回試験後に読むつもりで買ってみた。ビジネス法務での先生の連載は拝読していたので,そのまとめ,と思いきや,まえがきを見るとそうでもないので,改めて読ませてもらおうかと。 もう一冊は,20年くらい聴いているバンドの30周年の本。寡黙なギタリストの西村さんの話とかもあり,興味深い。

2枚め(右)は,本日神保町のお祭りで買ったもの。ろけっとぽっぽーさんのバッチは100円のガチャで引いたもの。もう一冊は半額だったのと,租税法周りは,納税者としても,ある程度理解しておきたいと感じたので。続きを読む

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October 18, 2018

民法7 親族・相続 第5版 (有斐閣アルマ Specialized) /高橋 朋子 (著), 床谷 文雄 (著), 棚村 政行 (著)

選択修習で親族・相続周りのコースを取るので,予習のために一読した。

もともと,司法試験の対策の際にも,親族相続は,正直重要視されているという感じがなかったので,基本書もロクに読まずに,結果的に何とかしてしまった。可処分時間が少なかったから,まあ,仕方ないと割り切っていた。ところが,このトシなので,実際問題として,カジュアルに同世代から相続周りの質問などは来ることは容易に想定可能。そうなると,流石に,このまま修習を終えるのもまずいから,選択修習である程度しっかりやろうと思い,その予習用に買った次第。某司法試験予備校の某講師も推していたので,この本にした。

負担にならない分量でコンパクトに纏まっているというのが良いと感じた。事例を使った解説や図表も適宜織り込まれていて,個人的には,総じて理解しやすかった。他方で,共著ということもあり,文章の読みやすさについては,著者ごとのばらつきがあるようにも感じたが,まあ,その点は仕方がないのだろう。

企業の法務においても,親族相続が問題になる事案に遭遇することはないではない。債権回収で相手方の債務者側で相続が起きるとか,企業買収の買収先の経営者一族で相続が起きるとか。そういう場合に適切に対応するうえでも,企業法務の担当者であっても,基礎的なところは抑えておくほうがよくて(他のものとの間で優先順位はあるだろうが),そういう目的でも,コンパクトなこの本は有用だろうと感じる次第。

第5版は2017年に出たものだが,今般,相続法の改正があり,この本では,その中間試案の部分まではフォローしているが,実際の成案については,カバーしきれていない。なので,遠からず何らかのさらなる改訂がなされるものと思う。




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September 15, 2018

最近の仕入れ(2018年9月半ば)

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一冊は先にエントリをした,しばけん先生の本(サイン入り)。 英文契約の某書籍は,今読んでいる場合ではないのだろうが,衝動買い。修習では英文契約とか読むはずもないので,二回試験が終わったらリハビリを要するところだろうから,その一助に。 破産法と民事再生法は,選択修習でこのエリアのプログラムを受けるので,その予習ということで…。

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中小企業買収の法務 / 柴田堅太郎 (著)

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いつもお世話になっている柴田先生の単著を,遅ればせながら拝読したので,感想をばメモ。

読み終わるより先に,サインをいただいてしまいました(汗) 。
*二枚目の写真は,某先輩が撮られていたのを借用させていただきました。

柴田先生が,専門のM&Aについて,特に中小企業のM&Aに特化して書かれた本。そして,中小企業と行っても,事業承継型のM&AとベンチャーのM&Aとは,大規模なM&Aとは異なる部分があって,共通する部分もあるものの,異なることもあるということで,それぞれについて分けて解説されている。

既に各所で絶賛されていて,その点については,僕も同意。
個人的には,事業承継型のM&A(のPMI)にしか関与したことがなく,ベンチャーのM&Aについては,関与したことがないのだけど,前半については,如何にもありそうな事例がふんだんに使われていて,「あるある」だなあ,とニヤニヤしながら読んだのでありました。

M&Aにおいては,諸般の制約条件があり,その中には,法律的な問題ではなく,感情論の部分も含まれているけれども,そういう制約条件から生じる諸問題について,完全な解決策が見つからない場合であっても,如何にして,リスクを許容可能な範囲に抑え込むか,安易に破談にならないよう,どうすべきか,ご経験に基づく知恵の一端が開陳されている。書かれている解決策の案の中には,ややリスクの残る場合もあり,そこのあたりをどう考えるかは,個人差があるだろうから,ここまで踏み込めるのは,単著ならではなのかなということも感じた。

また,文章自体の読みやすさ,事例によるわかりやすさに加え,参照文献へのリンクの豊富さも特筆に値するかと思う。巻末にまとめるのではなく,都度,脚注でリンク(URLも含め)されているのも参照しやすさという意味では,大変良いと思います。この本を起点として,更に調べて行くということも容易になるので。

とはいえ,M&Aの「基本形」からは,中小企業ということでの,「捻り」が入っているという側面もあるので,この本をM&Aを学ぶ最初の一冊とするのは,おそらく不適切で,冒頭の参考文献に書かれている二冊(これこれ)あたりを読んでから,本著を読んだほうが,この本の素晴らしさがよりよく堪能できると思う。

あと,僭越ながら,一点だけコメントするなら,諸般の事情で,DDが不十分な範囲でしか行えないということは,ままあるので,その場合,クロージング後PMIの過程で,かつ,最終契約上でクレーム可能な期間がある場合には,その範囲内で,再度DD類似の行為を行って,きちんと調べるよう,弁護士さんたちも,アドバイスされたほうが良いのではないかと思う。慣れていないと,クロージングしてやれやれと思って,その実,DDでの調査が不十分で,相当後になってから…ということも経験したことがないではないので…。PMI周りまではなかなか対応し難いところはあるのでしょうが,その程度のアドバイスはあって然る可きかと…



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August 29, 2018

最近の仕入れ(2018年8月末)

DlxJkrmVAAAvOzS 大島本は,結局見るのは要件事実のところ(事実認定とかのところは,いわゆるジレカンなどで対応する)なので,レベル分けしている最新のものよりも,要件事実だけが一冊にまとまっている旧版の方が,修習生にとっては使いやすいということで,購入。修習も二回試験のプレッシャーを感じる段階になってきて,今更感はあるが,こちらの現状では必要と判断した次第(汗)。30講とかだと,学者の先生方の議論で寝るのと小さい文字のところが年齢的に厳しいし(滝汗),O口本(類型別)だと,さすがに二回試験対策には足らない(問題集は逆に過剰っぽい)ので,結局この本かなという印象。 CDについては,Live音源欲しさということで(汗)。

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August 13, 2018

基礎からわかる民事執行法・民事保全法 第2版/和田 吉弘 (著)

積読だったのを解消したので感想をメモ。執行・保全についての,最初の一冊として最適と感じたもの。

執行・保全については,紛争の入口または出口という感じではあるが,今までの企業法務の業務の中では,経験業種・職務との兼ね合いもあり,保全の一部にしか接する機会がなかった。なので,手薄感があった。他方で,修習では民事弁護の起案などで問われることもあり,何らかのテコ入れが必要と感じていた。もちろん,執行・保全それぞれの白表紙はある。それぞれ書式や関連情報も豊富で良いのだが,無味乾燥っぽくて,一読はしたものの頭に残らない感じで,この2冊だけで何とか,というのは僕には厳しいと感じた。そこで,この本を手にとった次第。

著者の民事訴訟法のテキストで司法試験合格まで来たこともあり,事例,図表での解説が同様に豊富に使われている本書も,僕にとってはとっつきやすく,途中で挫折せずに一読できた。この分野の入門書という意味では,中野先生の本もあるのだけど,文字ばかりで,どうも内容がイメージしづらく,あえなく挫折したので,余計にそのありがたさを実感する。

もちろん入門書なので,これだけで対応可能な範囲は狭い。特に保全については,全体で250p弱のうち30p程度なので,その先の書籍が実務を睨むと必要なのは間違いない。そこは,定評ある平野執行保全が何故か手元にあるので,必要に応じて紐解きたいと思っている。






 

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July 28, 2018

憲法で読むアメリカ現代史 / 阿川 尚之 (著)

こちらの連載につき大幅加筆して,トランプ政権下での出来事まで記載して書籍化されていた。出たら読もうと思っていたが,見落としていてようやく目を通した。
憲法で読むアメリカ史憲法改正とは何か,とあわせ,アメリカ憲法とアメリカ社会との関わり合いを理解するのに有用なうえ,USLLMでのアメリカ法入門の副読本としても有用。
 
憲法で読むアメリカ史の続編で,レーガン政権からトランプ政権までの時期につき,判事の任免・重要な判決,裁判所と政権の関係と言った連邦最高裁の動きを通じて,アメリカの現代史をみるもの。憲法で読むアメリカ史よりも,論述が分厚くなっている(結果的に分量も多くなっている)のは,時代が下って資料の入手が容易になっていることと,何よりも,著者自身がJDの学生になった時期以降の叙述であって,同時代を生きたから,という側面もあるのかもしれない,と勝手に感じた。

前記書籍でも感じたことだが,アメリカという国での,最高裁判所と政権との緊張関係は,連邦憲法上,一定程度予定されていたことであって,興味深い。また,その関係自体を崩そうとした試みが結局なされずにここまで来ていること,政権側も憲法をきちんと理解し尊重していることが,特に昨今の本邦でのあれこれを見ていると印象深い。




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July 23, 2018

最近の仕入れ(2018年7月下旬)

Dion-X9U8AEhMqw お手軽な更新ですいません(謎)。 阿川さんのものは,前にエントリで書いた連載の書籍化で,待ち望んでいたはずなのに,見落としていて今更購入。 ざっくりの本は,同じ著者のエクセルを使った本は,LLMでコーポレート・ファイナンスを学んだ際に大変お世話になった。ファイナンスの基礎的なことをおさらいする手始めには良さげ。 語源の本はBLJでの連載の書籍化。連載であまり真面目に読まなかったけど…。

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dtk1970 at 22:39|PermalinkComments(0)

July 10, 2018

要件事実入門(初級編・紛争類型別編)/岡口基一


ツイッターはアカウントが凍結された結果,FBのみになられたようだけど,ネットでお馴染み?の岡口Jの要件事実解説本2冊が出たので,まとめて一読したので感想をメモ。

前者が予備試験対策,後者が司法試験対策を主目的としているようである。僕自身は,司法試験までに合格するまでには要件事実論にまで手が回りきらず,新問題研究を何度か通読したのがせいぜい(岡口Jの最初の入門(今の2冊とは内容を異にする部分があるようだ)は一度通読はしたが,繰り返すところまではできなかった)で,合格までにこれら書籍を使いこなしたわけではないので,軽率なことは言いにくい。とはいえ,解説のみならず,初級者編では予備試験の問題,紛争類型別編では司法試験の問題(全部ではないが)について,それぞれ問題の事案の要件事実的な整理が示されており,少なくとも事案の分析の仕方としては,確実に有益だと思う。答案にどのように書くかについては,時間の制約も考えると,更に考える必要があるとしても。

今回僕がこれら書籍を手にとったのは,実務修習も終わりが見えてきて,和光での集合修習や二回試験に対して不安が募ってきて,特に,民事での要件事実論が心配だったから。

修習での要件事実については,こちらの民裁教官とかは,新問題研究と紛争類型別を覚えろとか言ったりするんだけど,前者と後者とでは,説が異なる部分があるとか,そもそも後者は古い上に,こちらの実力不足もあってか,読み解くのが容易ではないとかで,正直気が重い。後者を読み解く上では,要件事実ノート(特に2)を手がかりにすると良いというアドバイスを70期の先輩からはもらったが,そもそも複数の書籍を紐解くのは手間。あと,二回試験後を考えると債権法改正も気になる。そんなこんなを考えると,岡口Jのこの2冊はお手頃にも思われる。それぞれの主たる用途との関係では,さすがに修習では,足りない部分が出てくるのだろうが,司法試験までで重要なところは,修習でも重要な筈なので,集合修習に向けての時期に紐解くには適切という側面もあろうかと思う。また,要件事実について,基礎ができていれば,紛争類型別編だけでも足りるから,ますますお手頃感が出てくると思う(もっとも,要件事実についての総論的な解説は,初級者編のみなので,そこについてだけは,目を通しておくべきかもしれない)

修習及び二回試験対策という意味では,要件事実30講や大島Jの本が比較対象になる。範囲を十分カバーしているという意味ではこれら二冊のほうが有用なのだろうが,重要度の高いとことを簡潔に分かりやすく示している点で,岡口類型別編の方が個人的には好みではある。要件事実について抽象的要件と具体的な例が併記してあるのはわかりやすいし,要件事実論自体,ある種の技術のようなので細かい理論的な話や網羅性よりも,技術の基本的なところをしっかり体得することに重点を置いた方がよさそうだし,そのためには繰り返しやすい方が,僕の現状には適していると感じる。

内容面では,岡口J独自説と思われる部分は排除し,研修所説に沿う形で解説はされているとのことである。とはいえ,それらの不合理な点(予備試験,司法試験の出題のおかしな点も)については批判がされていて,その部分は太字で書かれていて,地の文よりも視認性が高いので,研修所説よりも批判の方が頭に残る形になっていないか,というところが気になった。






 

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June 24, 2018

最近の仕入れ(2018年6月下旬)

DgbJeSqUEAEjPmZ 何でこういう組み合わせなのか,自分でもわけがわからん。 某用件で,要件事実について調べたいことがあったのと,そろそろ集合修習に備えないと,やばいのではないか,特に要件事実についてはまずいのではないかという危機意識から,上記のような組み合わせになったもの。O口Jの本も出たばかりなので。 今更増補版を基礎にすえるのもどうなんだろうというところではあるので,O口Jの本を中心に勉強することになるものと思われる。

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June 09, 2018

民法案内〈1〉私法の道しるべ /我妻 榮 (著), 遠藤 浩 川井 健(補訂)



各所で推奨されていたので,一通り目を通してみた。巨匠の手による(そしてその弟子が補訂),民法を学ぶための私法入門,というところ。民法を学ぶ上で必要となる私法領域の鳥瞰を広く行うとともに,民法の学び方についても平易に説くもの,という印象。読み返すたびに発見のありそうな,古典と呼ぶにふさわしいものなので,手元に置くべき一冊だろう。

専門分化(蛸壺化かもしれないけど)の進んだ現在では,ここまで周辺領域との接点について,明快に説ける学者が今誰かいるのか,という感もあり,これから同様の解説のある本が出てくるとはにわかには想像しづらいように思う。なので,直接のお弟子さんたちもすべて鬼籍に入られた(と思われる)ので,今後は孫弟子の方々あたりが,引き続き補訂していただき,読みつがれるべきなのではないかと思う。債権法改正部分のアップデートも必要だろうし,それ以外の部分,特に家族法周りの部分は,社会情勢の変化も踏まえ,相応の記載の見直しが必要なのではないかと感じた。

個人的には,現時点では,次の諸点が特に良いと感じた。いずれについても,あまり真面目に考える必要というか機会がなかったので,きちんと意識していなかったから,解説を読んで,なるほどと思ったところ。
  • 法律の不遡及の原則の適用のあり方,特に継続的法律関係がある場合の処理の仕方についての解説。
  • 日本に新領土が生じた場合に,現行の私法が適用になるか(過去に,台湾,樺太,朝鮮との関係でに実際に問題となったというのは知らなかった…)。
  • 取締法規違反の契約の有効・無効の判断基準についての考え方
  • 調停制度の公正さの保ち方についての考え方











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May 26, 2018

最近の仕入れから(2018年5月末)

今更ながら酒巻刑訴と家族法のアルマを。 刑訴は,受験の時には他の本を使っていた(通読用は小林充本だったが)ものの,イマイチだったが,買い換える気にならなかった。修習では,さすがに力弱かったので,今更ながら酒巻本にしてみた。辞書的に使用の予定。某件では早速活用した。 家族法は,正直そもそも手薄なのと,最近色々判例変更とかもあったので,お手頃な分量のアルマを。 DeHi_xxV0AEQoyr

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May 02, 2018

法学の誕生:近代日本にとって「法」とは何であったか / 内田 貴 (著)

著者が,某改正法案成立後,改正について沈黙を保っていた(一説には,某方面から箝口令が引かれていたという説もあったような)際に,基礎法分野で活動されているというような噂を聞いたけど,その成果なのか,こういう本が出た。きっと,某改正についての何らかの言い訳めいたものが書いてあるに違いないと邪推をしたので購入したのを,漸く一通り目を通したので,感想などをメモ。


書籍自体の内容としては,僕の理解できた限り,穂積兄弟(陳重,八束)に焦点をあてて,時代状況を踏まえて,如何にして日本において,法学が生まれたか,単なる学説継受の問題と言うよりは,学説継受を可能ならしめた背景について説明を試みたもの,という事になろうか。近代史の一定の知識がないとわかりにくそうなところはあるものの,文章自体は読みやすい。個人的には,興味のある時代の話なので,読んでいて面白かったのは事実。

で,先の邪推の件については,この種の事柄は,「あとがき」に記載があるだろうと,最初にあとがきから目を通したのだけど,学問的視点からの改正が受け入れられなかったと,いうようなことが書いてあった。それ以外の箇所においても,その種のルサンチマンが横溢していると読める箇所が散見された。まあ,穂積兄弟が時代の要請からそれぞれの法学を打ち立てた(兄弟間でも,それぞれの置かれた時代背景が異なっていて,その差異がもたらす学問へのアプローチの差異についての言及は興味深かった)のとは異なり,今回の改正の発端は,学者側の学問的視点による部分が大きかったようにも見えたのも事実。

とはいえ,学問的視点からの改正提案とはいっても,今回著者のやり方以外のアプローチの仕方もあったはずで,学問的視点からのアプローチ一般が否定されたというような読み方の出来る記載は,やや言いすぎなのではなかろうかとも感じた。要するに,受け入れられなかった内容の中に,やり方が異なれば通ったかもしれないのものもあったのではないか,とも感じるところであって,その辺りの峻別が出来ていない段階で,どうなんだろうという気がする。その辺りの批判的検証がないと,また別の文脈で同じような結果に終わると思うのだけど。まあ,そういうことを当の当事者たる著者に望むのは酷なことなのかもしれないから,下の世代の先生方に担っていただくべき課題なのかもしれない。

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April 26, 2018

最近の仕入れ(2018年4月下旬)

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第2クールが終わる頃に読む本なのかという意見もありそうな2冊。執行保全は,中野入門がどうも頭に入ってこないので,こちらを探したのだけど,改訂にかかっているらしく見つからず,やむなくAmazon経由で調達と相成った。もう片方は某件のために買ったが…(以下略)。

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April 22, 2018

おそろしいビッグデータ 超類型化AI社会のリスク (朝日新書) /山本 龍彦 (著)

AI化社会のリスクを憲法との緊張関係において説明している,という感じの本。憲法の一定の知識が無意識的に前提とされている感じなので,その点は注意が必要かも。Facebookのデータ流出の騒ぎとかを見つつ読むと,指摘されているリスクの現実性がより認識しやすいのではなかろうか。

憲法,特に13条がAIによる類型化の弊害に対する最後の砦となるというのは,理論的には理解はできるものの,腑に落ちない点もある。

憲法が最後と砦となるとすると,寧ろ,憲法の議論に辿り着かないことのほうが重要なのではないか。憲法が倒されてしまったらどうするのか,何も身を護るものがない状態になるのは,いくらなんでも好ましくないのではないか。

他方で,憲法判断回避原則みたいなものがあることを考えると,結局,砦として存在しても実効的権利救済に憲法がどこまで寄与できるのか,疑問にも感じるところ。AIによる権利侵害の事実が一旦ネット上に拡散されると,その除去が困難と予想されるから,憲法論での議論にたどり着くまでのハードルをくぐるまでの間に実害が生じてしまい,結局,実効的な救済ができないのではないか。

上記の2点は,結局個人情報保護法など憲法典以外の個別法に基づく救済の道を確保する以外にないのだろう。その意味では,欧米の議論を参照する価値はあるのだろう(もちろん,彼我の差,特に,権利保護についての意識の差異などを踏まえずに猿真似をしてもかえって有害だろうけど)。

最後に記載のある,個人側の「個人主義」の強化,という辺りは,まあ,そうなるよね,とは思うけど,正直一旦ネット上に出した情報については,コントロール仕切れないと言わざるを得ないだろう。どういう風に扱われるか,仮に情報が開示されても,いちいち追いきれないし,開示された情報通りに扱われているのか,裏でなにか異なることをしていないかを確定的に確認するのは,個人レベルではおそらく不可能だろう。寧ろ情報をネット上に晒さない,ということが,個人レベルで最も簡便かつ確実な自衛策であり続けるのだろう。金銭の支出時に現金主義で行くことなど,不用意にネットに繋がる家電を家に入れないこともそのうちの一つになり得るだろう。

関連して感じたのは,最後の点は,個人情報以外についても同様のことが当てはまるのではないかということ。ネット上の情報としてアクセス可能にしてしまったものは,アクセスした相手がどういう風に使うか,100%確実に追いかけることはおそらく不可能だろう。それは利用規約に何かを書くとかいう話で対応できるのか疑問。となると,結局は,その種のサービスは使わないという選択肢以外は,ユーザー側としては取り得ないという結論になるのではないかろうか。


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April 11, 2018

刑事法廷弁護技術 / 高野 隆 (著, 編集), 河津 博史 (著, 編集)

某刑弁教官(声が高い)が,白表紙は古いからこちらを読めと言ったとか言わなかったとかいう話が某所から聞こえてきたので,買って読んでみた。現時点においても,読んでおいて損のない一冊であるとは感じるところ。

刑事弁護のベテランの先生方が書いているだけあって,個々の説明は,具体的で分かりやすい。設定された一つの事案に基づき,手続の流れに沿う形で,この場面ではこういうことを言う,という内容例があるので,個々の場面で何故これを言うべきなのか,こういう行動を取るべきなのか,ということは理解しやすかった(理解出来た気がするだけで,自分が実際にそういう行動ができるかはまた別の話だろうだけど)。

といいつつ,疑問または違和感を覚えた点もある。
  • 全体のノリが使命感に燃えたアジビラ風というか,このノリにはついていけない感じがした(なので,一旦読むのを中断した)。
  • 証拠周りのところで外国法,特に,母法とされるアメリカ法などへの言及があるのだけど,外国法での議論に基づく議論を日本の法廷でした場合の有効性がよく分からなかった。
  • 使命感に燃え,一生懸命弁護をするのを否定する気はないものの,弁護士としては,自分だけでできることに限りがあることも考えると,弁護過誤または懲戒請求を受ける危険への対応も居るのではないかという気もする。そういった観点からの対処,残念ながらこちらの弁論が奏功しなかった可能性が高いと判断した場合にどうするか,みたいなことは書かれていない。一生懸命やれば,後から懲戒請求はされないというような理解の仕方で良いのだろうか。最初から後ろ向きならやるなと言われそうだけど…。


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April 10, 2018

最近の仕入れ(2018年4月上旬)

てなわけで,半ば恒例化しつつあるエントリをば。

潮見不法行為は,またもや前半の改訂版を買ったのと,若干修習との関係で見たいところがあったので,買ってみた。通読はしないけど。 債権法改正がらみは一問一答を買わないとと思いつつ,読まないよなあと思って手が出ない。調べないといけない案件に出くわしていないので…(汗)。

某たかし君の本は,例の件の言い訳めいたことがきっと書いてあると思って買ったのだが,あとがきにそれらしき記載があって(以下略)

しらさぎ会のログは,面白い試みなので,支援の意味と,内容への興味とで手を出してみたが,すでに後悔している…(汗)。

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April 06, 2018

難しい依頼者と出会った法律家へ -パーソナリティ障害の理解と支援/2018/3/7 岡田 裕子 (編集)

TL上,弁護士の先生方の評判は見たものの,修習生の身分で読んでもなあ,と思っていたところ,パブリック系の事務所で弁護修習をしている同じクラスの方からも勧められたので購入して読んでみた。

弁護士に限らず,士業でも,依頼者は様々だし,その中には,ちょっと対応に困る方というのもいることは想像に難くないところ。こちらの今までの体験の範囲内でも,訴訟の相手方の個人が,代理人を振り回しているのが見て取れることもあったし。 そういう状況でどのように振る舞うべきか,特に,依頼者にパーソナリティ障害がある場合に,どうすべきか,を第二部でケーススタディで解説している。やや,後知恵じみたコメントが気になったが,指摘自体は納得できるものであった。頭から順に読んだけど,冒頭の総論は,前提知識がないと分かりづらいのでまずはそこから読むのが分かりやすいかも知れない。最後にまとめ的な記載が精神科医の方がされているのも,その手前を一通り読んだ後だと分かりやすい。 この種の問題の存在自体を認知していたとしても,弁護士として,そのような問題のある依頼者にどのよう対応すべきか,という話に落とし込む形で,弁護士と臨床心理士双方の経験のある方が書いた本というのは,他にないと思うので,有用だと思う。少なくとも問題の所在と対応の方向性を把握できているだけでも,精神的な余裕が出来ると思うから。弁護士さん,その他の士業だけでなく,企業法務の担当者にとっても同様に有用だろう。依頼者ではないとしても,相手方という形でこの種の問題を抱えた方と対峙することは考えられるから。


有用と思う反面,気になった点が2つほど。
1つ目は,この問題がクローズアップされるようになった背景に弁護士増員があるとしている点。以前から問題はあったのではないかと思うけど,寧ろパーソナリティ障害と名前がついたことにより,取り上げて議論がしやすくなったことが背景にあるのではないかと思う。 2つ目は,すでにTL上もコメントが出ていたが,対処法を身につけてビジネス拡大を,みたいなのは,きっと無理がある。対処法があっても,正直対処する側には手間暇のかかる話なので,そう簡単にはいかないだろうと思う。

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March 31, 2018

最近の仕入れ(2018年3月末)

upし忘れたので,バックデートで失礼。

白石先生の講義は,以前のものよりスリム化しているようだが,まえがきによれば事例集と体系書との振り分けの成果らしい。司法試験以来,独禁法に殆ど触れておらず,リハビリがてら買ってみた次第。事例集とかも読みたいが,どうなることやら。

行政学の本は,昨今の諸々を見て買ってみようと思い立ったもの。行政学自体は学部以来のことなので,約四半世紀ぶりか。

某英語試験も5年弱受けていないし…

最後の一冊はTL上でも話題だし,他の修習生で読まれている方が居たこともあり購入してみた。修習生の目で見ても,依頼者には色々な方がおられるので,こういう知見も重要と感じることはある。

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March 24, 2018

先を見通す捜査弁護術 / 服部 啓一郎 (著),‎ 深澤 諭史 (著),‎ 淺井 健人 (著),‎ 髙木 小太郎 (著),‎ 後藤 晃輔 (著),‎ 菱沼 秀樹(著)

仕入れたものが積読になりがちなところ,珍しく(汗),早め(本人比)に読み終わったので感想などをメモ。まあ,こういう本を読むべきクールに居るうちに読んでおくに越したことはないわけで…(汗)。

研修所の教官になるような大御所クラスではなく,比較的若手の世代で,かつ,経験豊富な実務家の先生方が,捜査段階での弁護の実務的な諸々の事柄について書かれたもの。

こちらのような実務家以前の修習生が読んでも,こちらの経験不足故にイメージのしにくい部分は残るものの,捜査弁護の実際について,如何にもありそうな事柄について,丁寧に解説してくれているので,内容自体興味深いし,刑事弁護の基礎知識の次に読むと,捜査弁護についての理解が深まる感じがした。まあ,ほぼゼロからのスタートで理解が深まっただけ,という話ではあるが…。この本の真価を実感できるのはこれから後のことなのだろう。


僭越ながら,特に良いと,こちらが感じたのは次の諸点。
  • 要所要所で,関係各所に出すべき書類の例がついているところ。こういう時点ではこういう行動をこういう相手に対してするということがイメージしやすかった。
  • 手続に要する時間等について,ある程度の相場観,のようなものを示そうとされているところ。事案を見ないとわからないところが残るのは間違いないし,それ故に確定的なことは言うべきではないのだけど,他方で,先行きが見えないと,何をどうするということについての見通しもしにくいだろうから,こういう形で示していただけるだけでも有用なのだろうと思う。
  • 捜査を受ける以前での,自首をするかどうかについても書かれているのは興味深かった。自首のメリット・デメリットなんて意識すらしたことがなかったので(汗)。




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March 21, 2018

最近の仕入れ(2018年3月中旬)

半定期エントリ(謎)。

こういうものを読むべきクールにいるということで。

赤っぽいカバーの方は,某教官(声が高い)が,古くなっている白表紙よりこっちを読めと言ったという話が聞こえてきたので,買ってみたが,文体が何だか性に合わず,放置気味。白っぽいカバーの方も,読んでいる途中だが,実務的な話が興味深い。先に感想を書いた「基礎知識」を読んだ後なので,話にも何とかついて行ける感じ。

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March 19, 2018

刑事弁護の基礎知識/岡 慎一 (著),‎ 神山 啓史 (著)

今度は修習生モードで,読んだ本の感想を手短にメモ。修習同期に勧められて読んだのだが,一口でいうと,刑事弁護実務関係の本で最初に読むべき一冊として推奨,というところ。

司法試験合格までに,刑事弁護関係では,刑事弁護ビギナーズ(ver.2)などを使っていて,ビギナーズも,書式とかまで載っていて,手元に置いて,必要に応じて紐解くべき良い本だとは思う。でも,実務1年目とかの方向けに,一通り何でも書いてある・載っているという本であり,読みこなすためには一定の知識があったほうが良さそうで,その知識を備える上には,この本を先に読んだほうが良いという気がした。色々細かい話(それはそれで実務で関係があるときには重要なはずだが)に入る前の基礎的なところに重点をおいて書かれている感じで,細かい話は,基礎を踏まえた上で読むべきだろうから,メリハリという意味で,この本の方を先に読むべきと感じた次第。

個人的によかったと思う点をメモしておく。
  • ケースセオリーや尋問の例が複数あったのが有用で,それらをまとめて読んでみることで,ケースセオリーや尋問のイメージがつかめた気がした。
  • 弁護活動の限界についても記載があるのがよかった。時に難しい判断を迫られることがあると思われるので,その際に考える材料として有用と感じた(ホントにそうなのかは今後検証されることになろうが)。


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March 17, 2018

現役法務と顧問弁護士が書いた 契約実務ハンドブック / 長瀨 佑志 (著),‎ 長瀨 威志 (著)

ご縁があって出版社の某氏からいただいたもののうちの一冊の感想をば。修習生モードに頭がなっているので,たまには企業法務モードに切り替えて,読んでみて気づいたことを書いてみる(といいつつ,書いてからupするまでに時間が空いてしまった…)。

債権法改正も視野に入れつつ,今時の契約法務周りの実務を幅広に鳥瞰する本という感じの本。契約準備,契約交渉,ドラフティング,トラブル発生,解決方法(解決方法で執行・保全まで触れているのは有用という気がした),という時間軸,及び,売買契約,金銭消費貸借契約,不動産売買・賃貸借契約,ソフトウエア開発委託契約(業務委託契約),労働契約という類型別,にそって,契約書の雛形及び周辺的な事柄について実務的な点を整理,解説している。目次部分にマトリクスでこれらの項目が整理されているので,一覧性があって,検索もし易い。

また,それぞれのセクションごとに法務担当者と外部弁護士との役割の差異についての記載があったり,企業側が弁護士事務所とどのように関わっていくかという点についての記載もあり,後者については相談メモや意見書の例もあるところは,特徴的といえるかもしれない。

そんなこんなを考えると,契約法務(機関法務あたりと対地する感じか)の担当者の最初の一冊としては適当なのではないかと感じるところ。特にリスクについて,取ってはいけないリスクと,取った上でコントロールするリスクとを明確に区別して論じているのは,むやみにリスク回避的になるのを戒める意味でもよいと思われる。

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March 04, 2018

最近の仕入れ(2018年3月上旬)

回を追うごとに仕入れ量が減っているのは,積ん読が解消しないからです(汗)。

「日本語の作文技術」は,高校生の頃に読んだ記憶があるのだが,実際に文章を書くのに参照したことはないので,手元に置いて使ってみようかと思い立った次第。

山本龍彦教授の本は,本屋で衝動買い。ビッグデータ対プライバシー,ということなんだろう。

刑事弁護の本は,修習生には良いという評判なので買ってみたもの。

移動中に音楽を聴くためのイヤホンについて,iPadにDLした音源を聴くのにイヤホンをつなぐのも面倒になってきたので,ワイヤレスにしようと思って,ワイヤレスのイヤホンを買おうかと思ったが,おもったよりも高かったことなどから,手持ちのイヤホンと繋いで同等の機能を現出するものを購入した。さてどうなるやら。


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February 18, 2018

新・国際売買契約ハンドブック / 住友商事株式会社法務部 (編集),‎ 三井物産株式会社法務部 (編集),‎ 三菱商事株式会社法務部(編集)

約四半世紀の時を超え,名著と評判の高かった書籍の新版が出た。一通り目を通してみたので感想などをメモしてみる。財閥系総合商社3社の法務部の方々が集って作ったものの新版であり,創業商社というだけでひれ伏したりしないものの,新刊予告を発見した時点で,前著は読んだことがなかったものの,期待はしていたので,書店で見つけてその時点で捕獲,もとい,確保した。結論からいえば,国境を越えて物の売買をする契約を取り扱うのであれば,座右において,適宜紐解くに値する本ではあるかと思う。

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dtk1970 at 10:42|PermalinkComments(0)

February 17, 2018

ライブ講義弁護士実務の最前線Vol.1 /東京弁護士会法友全期会 (著)

至誠堂書店のMLか呟きかで見て,衝動買いして,読んだので感想をメモ。

若手の弁護士さん向けに,最先端の実務について,短期間で学習してもらえるように,というコンセプトでまとめるもののようなので,いずれについても,一定の知識は前提としつつも,読みやすくまとめられていると感じた。 通勤途中に読むのもこれであれば苦にならないだろう。


第1講は,亀石先生のGPS訴訟の件。理論的なことというよりも,弁護士側の活動状況についての話なのだが,活動経緯等がコンパクトにまとめられている。また,弁護団の編成の仕方についてのコメントのうち,チームの作り方とか,刑事弁護専門の先生でない先生に入ってもらった理由,入ってもらった場合の配慮の仕方,それから,リーダーとして何をすべきかという当たりのコメントが興味深かった。

第2講は,竹花先生のメンタルヘルス×労働審判への対応,ということで,メンタルヘルス事案への対処の仕方と,問題が労働審判の場に持ち込まれた場合の実務的な対応策についての解説。平時の対応と有事の労働審判での対応について,それぞれの段階ごとに,実務的な点に至るまで解説がされていて,実務的な対処の部分については,なるほどと思うことが多く,得るものが多いと感じた。特に,前者については就業規則上の必要な手当の仕方の例があるところ,後者については,和解条項での交渉の余地についての考え方,が有用と感じた。

第3講は,深山先生による会社法H26改正と最近のガバナンス回りの議論状況のまとめ。これまたコンパクトに纏まっていて,読みやすい。株式保有要件との関係で多重代表訴訟は,中小企業でしか起こらないのではないかというご指摘は,そうなのかな?と思ったけど,このあたりは,まだよくわからないのかもしれない。

第4講は,伊藤雅浩先生のシステム開発紛争の取扱いについて。これまた,簡潔に要点がまとめられていて,よいと感じた。関連判例のまとめがポイントを端的に抜き出されているのは,さすが,というところなのだろう。個人的にはイントロで語られる自己紹介のところが興味深かった。

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February 14, 2018

最近の仕入れ(2018年2月半ば)

IMG_0010 こういうのシリーズ化してもいいかもしれない,と思って,こりずに写真を貼ってみる。 書籍については,黒い本以外はそれぞれ特定の用事があって(あると思われたので)買ってみた。さてどうなるか。黒い本は,昨夜ツイッターで出ていたので,買ってみた。冒頭の亀石先生のお話だけでも買った価値はあったかな,と感じているところ。 CDは,前回買おうと思っていた,Sing like talkingの新譜。さてさてどうなっているやら。

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dtk1970 at 23:44|PermalinkComments(0)

February 12, 2018

プレップ労働法 第5版 (プレップシリーズ) /森戸 英幸 (著)

先のエントリに続いて,仕入れた本の感想のメモ。

実務に出るとすぐに直面することが予想されることもあって,労働法と倒産法は修習中に,最低限の手がかりを自分の中に築いて置かないと,という問題意識もあり,知識の更新も兼ねて,2版,3版と読んだこの本を。まあ,この一冊だけでは不足なので,もうちょっと何かをする必要があるけど。

5版を重ねても,(少なくとも)見た目上は,それほど肥大化もせず,読みやすさ,とっつきやすさも変わらないので,広大な労働法の分野に足を踏み入れる際の最初の一冊としては,引き続き有用だろうと思う。細かく仕込まれているネタに笑わされるのも相変わらずだし(もっとも,そろそろ風化しているのではないかと思われるネタもあるので,次の改訂では,そのあたりの更新も必要かもしれない)。

今までは気にならなかったものの,今回始めて疑問に思った点を一点メモしておく(単にこちらの不勉強ゆえのことかもしれないが…)。

労働法分野における,通達とかの重要性,役目とかについても一言言及があってもよかったのではないかという点が気になった。まあ,通達なので,外部的な拘束力はないはずだが,ある意味行政の規制の及ぶ分野で,行政庁による規制行為には及ぶわけだし,解釈例規についても,外部にも事実上その効力が及ぶものであるわけで,しかもそのあたりについても言及があるわけだから,何故そういう話になるのかについても何らかの説明があったほうが良かったのではないかと感じた次第。


dtk1970 at 12:56|PermalinkComments(0)

February 11, 2018

裁判の原点:社会を動かす法学入門 /大屋雄裕

先日仕入れた諸々の書籍の中からこの一冊を読んだので感想などをメモ  。

ネット上でのご発言を折に触れて拝見している大屋先生の本ということで,本屋で衝動買いしたもの。法哲学の目からみて,裁判というのは,何ができて何ができないと予定されている制度なのか,そして,その予定されている部分と現実との間での齟齬はどのように理解すべきか,というあたりを素描というか概観したという感じがした本。 もっとも,冷静な視点で分析をしているのみで,現下問題と理解されている現象に対しての処方箋めいたものは明示的には示されていない感じなので,そういうものを期待して読むべき本ではないのだろう。別にだから何だという話ではあるけれど。

某所で,地に足の着いた感じがするという趣旨のコメントをされていたのを見た記憶があるが,確かにそんな感じがする。無駄に衒学的でもないし,世上よく目にするような裁判例・時事ネタ等を使って,実定法の知識も交えて論じてくれているので,空中戦をしている感じがしないのは,よいと思った。 一般向けの色合いの強い本(それはそれで大事…でもなんで大屋先生がこの手の本を書いたのかは謎)だし,紙幅の制限もあるので,個別の論証については,疑問の残るところもあった。一例としては,日本での司法消極主義の傾向の指摘に対して,積極主義的な事例をいくつか上げられているけれども,個別の事例をいくつ挙げたところで,全体的な傾向についての議論とは十分噛み合わないのではないかと感じた次第。

ともあれ,日本の裁判という制度についての理解を深める意味では,読んでおいて損はないという気がした。

dtk1970 at 16:34|PermalinkComments(0)

February 03, 2018

今週の仕入れ

このネタ一度やってみたかったので(謎)。

PHSでどこまで行けるか,というところを頑張りたかったが,さすがにいくつか細かい不具合が出たのと,移行するなら諸々の時間のある今のほうが良いだろうという判断で,今更ながらsoftbank経由でiPhone7にし,併せて保護フィルム等も購入。ついでに,自宅のネット環境も一部変更(実際の変更は入れ替える機器があるので,それが来てからとなる)。仕組みが複雑怪奇で,訳がわからなかった。

それとは別に山達氏のSSB特集の雑誌とか,いくつか法律書も入手。要件事実入門は,試験合格時に諸々処分した際に処分してしまったのだが,やはり手元に欲しくなったので,再度購入。プレップ労働法と個人情報の知識は,旧版を処分したのと知識のupdateとのため購入。執行保全は,白表紙だけだとどうも頭に入らないので購入。某商社の方々の本は,殆ど伝説化していた本のupdateで内容に期待。もう一冊は衝動買い。ツイッターで拝見する著者の様子から,衝動買いしたけどどうだろうか。

CDについては,他のものを購入するつもりだったが,なく,bootleg?を購入。TOTOの方は演奏は勢いにあってよいが,音質は?バランスも?だし。まあ,実にbootっぽい。Beatlesの方は追って聴いてみよう。
 IMG_0735

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dtk1970 at 19:28|PermalinkComments(0)

January 28, 2018

分かりやすい公用文の書き方 改訂版 /礒崎 陽輔 (著)

別に役所(P/J含め)に就職しようとか考えているわけではないが,起案で文章を書く時に参考になりそうなので,一通り目を通してみた。著者は,以前,政治家として物議を醸したことがあったが,この本は政治家転身前に官僚の立場で書いたものなので,当該問題とは関係なく読むべきだろう。

表題のとおり,公用文をいかにわかりやすく書くかという観点から,公用文独自のルールをまとめたもの。ルールの中には,漢字の使用範囲(常用漢字表)も含まれる。ルールといっても,根拠があるものから,単に慣例的なものまであるが,この本自体にある程度権威が認められるようなので,迷ったらこの本の記載にしたがっておけば良いということになるのだろう。

民間人(という言い方がいいのか不明だけど,要するに役人でない人)の立場からすれば,所詮お役所ルールでしかないので,従う必要は必ずしもない。しかし,弁護士,修習生または企業法務担当者など,役人の方々を読み手として想定すべき文書を作成する場合には,特段の事情がないときには,それらの方々への読みやすさを向上させる意味で,これに依ることも一案だろう。もちろん,中にある記載の中には,汎用的な文書の書き方のルールもあるので,それに従うことで,文章自体が誰にとっても分かりやすいものになるという利点もあると思われる。 民間人でも参考になると思われる記載としては,僕の見る限り,例えば,次のような箇所があった。
  • 主語と述語の一致
  • 項目番号の付け方(これについては,司法試験受験時に,この形で答案を書くようにしていたので,個人的には新しいものではないが)
  • 名詞の限定列挙・非限定列挙のルール
  • 「その他」「その他の」の使い分け(個人的には,本書の記載でようやく違いをはっきり認識できた)
  • 外来語の表記(日本語での代替的表記の記載が興味深かかった)
  • 差別用語・不快用語(代替的な用語の記載が興味深かった)
いずれにしても,読むだけでなく,折に触れて参照しながら,文章を書くことで,記載のルールに慣れていき,文章の分かりやすさを向上させることが重要なのは間違いない。

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December 18, 2017

裁判官! 当職そこが知りたかったのです。 -民事訴訟がはかどる本- /岡口 基一 (著),‎ 中村 真 (著)

ブリーフ裁判官とブロガー弁護士さん(という言い方がいいのかな?)との民事訴訟に関する対談本。ブリーフ裁判官さんが研修所的に受けが良くないようにも見えたので,研修所の本屋で購入可能なのかなと思ったけど,購入自体は問題なくできた。

一修習生の立場では,正直,書かれている内容の妙味みたいなものがどこまでわかったか定かではないものの,ブリーフ裁判官かどうかはともかく,東京高裁の裁判官が率直に民事訴訟の実務について,弁護士さんの質問に答えているというのは,それ自体そうそうあることではないのではないかと思うし,そのことだけからも実務家の先生方にとっては読む価値があるのではないだろうか。企業の法務の担当者としても,訴訟対応を弁護士さんにお願いする時の視点を得る上でも有用だろうと感じた。

個人的に印象に残った点をいくつかメモしておく。
  • ブリーフ判事の和解率の高さとそのコツについての記載。判決についての心証開示の使い方とか,なるほど,と思うところだったし,和解率が高いからこそ,判決を書かなくても良い分,書籍執筆とかに時間が振り向けられるのかもしれない。
  • 原告にとって訴状段階で如何に裁判所の心証をこちらに有利にするか,という点の指摘は,興味深かった。同趣旨のことは修習でも指摘があったけど,確かに,被告側の反論を受けることなく好き放題に裁判所にインプットできる時期なんだから,その時期を如何に有利に使うかが,重要でないはずがない。
  • 控訴の趣旨は,大概間違っているという指摘,とあるべき内容についての説明も興味深かった。


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December 03, 2017

新しい債権法を読みとく山野目 章夫

今更ながら,一応簡単に感想をメモ。


メインの改正内容の解説部分は,NBLでの連載が基になっている。途中までは,フォローしていたのだが,試験との関係で,フォローしきれなくなり,挫折したので,まとめて読めたのは,良かった。ところどころ読者に語りかけてくるのが,独特の味わいという感じがして,個人的には嫌いではない。解説内容については,経過措置の言及につき,思いの外多くの箇所で丁寧だったという印象。引き合いに出す例えも秀逸でわかりやすい。うまい喩えを出すのは難しいから。とはいえどこまで理解できたかは心もとない。これはひとえにこちらの民法の勉強不足ゆえのこと(汗)。


プロローグとエピローグのやり取りも,不要かなとも思ったが,読み終わってみると悪くないかも,という気がした。質疑応答のうちの最後の問いは確かに難しい。なんとなく,あの問いは,某元参与等改正の旗振り役への控えめな疑問の提示と言うか,異議申立てだったのではないかという気がした。一体民法をいじくり回してどうしたいのか,という。


中間試案が刺激的過ぎて,反動が来て,相対的には無難な,裏を返せば,控えめな改正で終わったという評価もあり得るし,ある意味政治的な決着で,今回の案になったけど,そこからは,前記の問に対する答えが明確には読み取れない。単に改正したという事実以外に何があるのか,よくわからない,そういう点を著者は問題にしているのかもしれない,こちらの勘ぐり過ぎかもしれないけど。そう感じた。


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October 30, 2017

これからの内部通報システム /中原 健夫 (著), 結城 大輔 (著), 横瀬 大輝 (著)

著者のお一人の結城先生に頂戴した(*)ので、感想をメモ。 内容としては、帯の記載よりも、アマゾンの内容紹介のほうが分かりやすいと思う。
*先生には、色々とお世話になっているので、そういう意味ではステマかもしれない。
「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」を詳細に解説。
通報窓口を受託している民間事業者や先進的企業の取組も紹介し、これからの内部通報システムの在り方を提言。
改正ガイドライン自体の解説も、改正経緯から書かれていて、僕のように制度が出来た当初から後の状況のupdateを十分追いかけきれていない人も親切であるうえに、個々の解説も、ガイドライン自体がかなり詳細にわたっているのに、更に補足があって有用ではなかろうか。

また、有識者に聴く、のところでは、このテーマでは第一人者ともいえる山口先生や、このテーマを追っているジャーナリストの方の話が出ていて、その前の章での全体像の解説とは別に個別の論点(法改正を含む)について、最新の状況などについての話が個人的には興味深かった。民間事業者の取り組みとして、通報窓口の受託業者の方や、内部通報制度を導入した企業の話もあるのも同様に興味深かった。

これらを受けて、著者たちの提言があり、改正ガイドラインの下での現状の見直し、内部通報についての社内規定の見直し等が提唱されている。

個人的には、改正ガイドラインでの個々の条文の位置づけ(「必要」「重要」「適当」等)の一覧表と、内部通報制度に関する裁判例の一覧が、特に興味深かった。条文ごとの位置づけを踏まえて、見直しの優先順位付けもしやすくなるし、裁判例がまとめられていると、社内で内部統制制度の導入・拡充を進める際や研修の際の材料として有用だと思う。


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October 19, 2017

企業法務のための 民事訴訟の実務解説 / 圓道 至剛 (著)

読もうと思っていたものの、読むのが遅れたものの、一通り拝読したので感想をメモ。

民事訴訟実務の「暗黙知」を明文化して解説するという、前著のコンセプトを踏襲しつつ、企業法務担当者向けに、実務家が知っておくべき民事訴訟の実務の知識と留意点を解説してくれている。540pと分厚いようにも見えるが、1/3は書式例(これも、例外的なものも含めて拾ってくれていて、有用と思う。)であり、文章も読みやすいので、一読するのもそれほど大変ではない。訴訟前から、1審、2審、上告審と、手続きの流れに沿ってなされる個別の説明はわかりやすく、かつ、行き届いている。ただし、冒頭にあるとおり、一定程度の民事訴訟法の知識を前提にしているので、場合によっては、読む側で適宜補う必要が生じることもあるだろう。

こちらも、企業の法務の担当者として、訴訟対応も職掌に入っているものの、実際に訴訟になった場合の手続きについては、それなりの先生にお願いしてきたこともあって、正直、先生方にお任せ(汗)、という感じだったので、こういう形で「暗黙知」の明文化を拝見すると、なるほど、と思うと同時に、今更ながらに自らの不勉強ぶりに焦るばかり。

また、コンセプトとしては、企業法務の担当者向け、ということにはなっているものの、この解説は企業法務を扱われる新人弁護士さん及び企業法務分野を志望される修習生の方にも参考になるというか、こういう方々にとっても、企業法務の担当者にとってと同様に必携の一冊になると思う。


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October 14, 2017

いちばんやさしい人工知能ビジネスの教本 人気講師が教える AI・機械学習の事業化 (「いちばんやさしい教本」) /二木 康晴 (著), 塩野 誠 (著)

この種の話題についての本も、たくさん出ていて、どこから読めばよいのか、よくわからないので、マンサバ砲の対象となっていたこの本を読んで見ることにした。

とりあえず、制作時点における、この分野についての、法務的な観点も踏まえたスナップショットとしては、秀逸なんだろう、とは感じた。分野ごとに、その分野の技術についての概要、その技術を使ったビジネス戦略、及び法的論点が紹介されている。それぞれについては具体例を提示しつつ、素人にわかるレベルで平易に紹介されているので、読みやすい。

上記の意味で良い本だとは思うが、贅沢を言えば次の点は、不満。
  • 判型が半端で、有り体に言えば本棚で邪魔(だったらkindle版で買えと言われそうだが…)。
  • 法令については該当法令の条項の摘示までしてほしかった。
  • 動きの早い分野なので、今後の動きを見ていく上で、チェックしておくべきサイト等のお薦めがあると嬉しかった。

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October 05, 2017

民法の基礎から学ぶ 民法改正 / 山本 敬三

雨後の筍という表現がふさわしい債権法改正本の嵐。次から次へと本が出る。色々買っても読み切れない…そんな中、この本には注目していたので、出たところで購入したし、短いので読み終えることもできた。注目した理由は何よりも、岩波が出すというところ。岩波は法律書は多くは手がけないものの、出るものについては、まともなものが多いという印象なので、競争の激しいこのテーマで来るからには、それなりのものが来るだろうと思った次第。それと著者が京大の山本教授という点も注目したところ。今回の改正についての法制審議会の幹事。立案過程も十分踏まえての本になるだろうとも思った次第。

一般向けの講義を元にしており、全体でも200p未満なので、改正の全体的な概観は望むべくもない。しかし、民法入門から初めて(40pちょっとで、財産法の概要、民法の歴史、今回の改正の経緯をまとめているところも要を得て簡潔)、100pちょっとでの今回の改正の特徴の紹介、及び、今後の展望というところまで触れているのは民法学者の面目躍如というところか。また、付録の改正箇所(改正案が出たけど最終案からはおちた箇所)の星取表は、プロ向けにも有用ではなかろうか。

改正の特徴の紹介についても、個々の分野ごとに改正法を紹介するのではなく、改正のされ方(民法の透明化としての改正か、民法の現代化としての改正か)という切り口から紹介しているのも、一般向けであって、網羅性を捨てているのであれば、納得というところか。図表とか例を使っての説明が秀逸でわかりやすいので、改正について内部研修とかをする際のネタ元としても「使える」本になっていると思う。

他方、改正されなかった項目についての記載や一部の改正項目に対する不満というか恨み節については、この期に及んで…という気がしないでもなかったけど、まあ、学者の方々にとってはそうなんだろうな、と…(苦笑)。もっとも企業側からすれば(以下自粛)。

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