書籍

October 30, 2017

これからの内部通報システム /中原 健夫 (著), 結城 大輔 (著), 横瀬 大輝 (著)

著者のお一人の結城先生に頂戴した(*)ので、感想をメモ。 内容としては、帯の記載よりも、アマゾンの内容紹介のほうが分かりやすいと思う。
*先生には、色々とお世話になっているので、そういう意味ではステマかもしれない。
「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」を詳細に解説。
通報窓口を受託している民間事業者や先進的企業の取組も紹介し、これからの内部通報システムの在り方を提言。
改正ガイドライン自体の解説も、改正経緯から書かれていて、僕のように制度が出来た当初から後の状況のupdateを十分追いかけきれていない人も親切であるうえに、個々の解説も、ガイドライン自体がかなり詳細にわたっているのに、更に補足があって有用ではなかろうか。

また、有識者に聴く、のところでは、このテーマでは第一人者ともいえる山口先生や、このテーマを追っているジャーナリストの方の話が出ていて、その前の章での全体像の解説とは別に個別の論点(法改正を含む)について、最新の状況などについての話が個人的には興味深かった。民間事業者の取り組みとして、通報窓口の受託業者の方や、内部通報制度を導入した企業の話もあるのも同様に興味深かった。

これらを受けて、著者たちの提言があり、改正ガイドラインの下での現状の見直し、内部通報についての社内規定の見直し等が提唱されている。

個人的には、改正ガイドラインでの個々の条文の位置づけ(「必要」「重要」「適当」等)の一覧表と、内部通報制度に関する裁判例の一覧が、特に興味深かった。条文ごとの位置づけを踏まえて、見直しの優先順位付けもしやすくなるし、裁判例がまとめられていると、社内で内部統制制度の導入・拡充を進める際や研修の際の材料として有用だと思う。


dtk1970 at 19:29|PermalinkComments(0)

October 19, 2017

企業法務のための 民事訴訟の実務解説 / 圓道 至剛 (著)

読もうと思っていたものの、読むのが遅れたものの、一通り拝読したので感想をメモ。

民事訴訟実務の「暗黙知」を明文化して解説するという、前著のコンセプトを踏襲しつつ、企業法務担当者向けに、実務家が知っておくべき民事訴訟の実務の知識と留意点を解説してくれている。540pと分厚いようにも見えるが、1/3は書式例(これも、例外的なものも含めて拾ってくれていて、有用と思う。)であり、文章も読みやすいので、一読するのもそれほど大変ではない。訴訟前から、1審、2審、上告審と、手続きの流れに沿ってなされる個別の説明はわかりやすく、かつ、行き届いている。ただし、冒頭にあるとおり、一定程度の民事訴訟法の知識を前提にしているので、場合によっては、読む側で適宜補う必要が生じることもあるだろう。

こちらも、企業の法務の担当者として、訴訟対応も職掌に入っているものの、実際に訴訟になった場合の手続きについては、それなりの先生にお願いしてきたこともあって、正直、先生方にお任せ(汗)、という感じだったので、こういう形で「暗黙知」の明文化を拝見すると、なるほど、と思うと同時に、今更ながらに自らの不勉強ぶりに焦るばかり。

また、コンセプトとしては、企業法務の担当者向け、ということにはなっているものの、この解説は企業法務を扱われる新人弁護士さん及び企業法務分野を志望される修習生の方にも参考になるというか、こういう方々にとっても、企業法務の担当者にとってと同様に必携の一冊になると思う。


dtk1970 at 23:17|PermalinkComments(0)

October 14, 2017

いちばんやさしい人工知能ビジネスの教本 人気講師が教える AI・機械学習の事業化 (「いちばんやさしい教本」) /二木 康晴 (著), 塩野 誠 (著)

この種の話題についての本も、たくさん出ていて、どこから読めばよいのか、よくわからないので、マンサバ砲の対象となっていたこの本を読んで見ることにした。

とりあえず、制作時点における、この分野についての、法務的な観点も踏まえたスナップショットとしては、秀逸なんだろう、とは感じた。分野ごとに、その分野の技術についての概要、その技術を使ったビジネス戦略、及び法的論点が紹介されている。それぞれについては具体例を提示しつつ、素人にわかるレベルで平易に紹介されているので、読みやすい。

上記の意味で良い本だとは思うが、贅沢を言えば次の点は、不満。
  • 判型が半端で、有り体に言えば本棚で邪魔(だったらkindle版で買えと言われそうだが…)。
  • 法令については該当法令の条項の摘示までしてほしかった。
  • 動きの早い分野なので、今後の動きを見ていく上で、チェックしておくべきサイト等のお薦めがあると嬉しかった。

dtk1970 at 11:02|PermalinkComments(0)

October 05, 2017

民法の基礎から学ぶ 民法改正 / 山本 敬三

雨後の筍という表現がふさわしい債権法改正本の嵐。次から次へと本が出る。色々買っても読み切れない…そんな中、この本には注目していたので、出たところで購入したし、短いので読み終えることもできた。注目した理由は何よりも、岩波が出すというところ。岩波は法律書は多くは手がけないものの、出るものについては、まともなものが多いという印象なので、競争の激しいこのテーマで来るからには、それなりのものが来るだろうと思った次第。それと著者が京大の山本教授という点も注目したところ。今回の改正についての法制審議会の幹事。立案過程も十分踏まえての本になるだろうとも思った次第。

一般向けの講義を元にしており、全体でも200p未満なので、改正の全体的な概観は望むべくもない。しかし、民法入門から初めて(40pちょっとで、財産法の概要、民法の歴史、今回の改正の経緯をまとめているところも要を得て簡潔)、100pちょっとでの今回の改正の特徴の紹介、及び、今後の展望というところまで触れているのは民法学者の面目躍如というところか。また、付録の改正箇所(改正案が出たけど最終案からはおちた箇所)の星取表は、プロ向けにも有用ではなかろうか。

改正の特徴の紹介についても、個々の分野ごとに改正法を紹介するのではなく、改正のされ方(民法の透明化としての改正か、民法の現代化としての改正か)という切り口から紹介しているのも、一般向けであって、網羅性を捨てているのであれば、納得というところか。図表とか例を使っての説明が秀逸でわかりやすいので、改正について内部研修とかをする際のネタ元としても「使える」本になっていると思う。

他方、改正されなかった項目についての記載や一部の改正項目に対する不満というか恨み節については、この期に及んで…という気がしないでもなかったけど、まあ、学者の方々にとってはそうなんだろうな、と…(苦笑)。もっとも企業側からすれば(以下自粛)。

dtk1970 at 19:00|PermalinkComments(0)

July 14, 2017

国際交渉の法律英語 そのまま文書化できる戦略的表現 /中村 秀雄 (著), 野口ジュディー (その他)

夏バテぎみだが、いつもお世話になっているマンサバさんに振られたので、既につぶやいた内容(公開下書きモードとも言う)に基づき感想などを。

歴戦の勇士、という感のある著者が、英語nativeの英語教育の専門家の力を借りて、法律英語で使う基本的な英語の用語について、類ごとの差異・使い分けを解説しているというのが、メインの部分。詳細は目次を見ればわかるように、日本語としての意味に基づき分類し、解説するという形を取るのがメインの部分。
それとは別に、後ろの方に関係構築のための英語についての話もあって、それはそれで有用。


続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 22:14|PermalinkComments(0)

June 08, 2017

数字でわかる会社法 / 田中亘 編

会社法のうち、特にファイナンスに絡む部分の理解が深まれば、と思い、読んでみた。会社法を通しての法と経済学入門、という趣のある一冊(会計周りの話もあったりして、全部がそうだということではないけど)という印象。 数式とかにアレルギー?のある層を想定しているのか、簡単な例を用いて、極力数学的な要素を出さないようにしている章が大半なので、数式でめまいがして、読めないということはなかった。書かれている内容の基本的な考え方のようなものについて、つかめたような気にはなったが、気になっただけかもしれない。
ただし、最終章の実証分析のところは、それ以前ほどは配慮がないというか、より数学的であるがゆえに、配慮をしても…というところと思われ、正直しんどかった。

読んで興味深かった反面、読んでも、だから何だ、という感じが残ったのも事実。数字で語られるべきところについての理解が深まったというか、アレルギー感が減ったのは事実だけど、それ以上の何かが残ったという感じがしないのが一因かもしれない。

ある種、ローエコとかの入門書的な役割を果たすのに、この先に行くための読書案内はあってもよかったのかもしれない。参考文献は章ごとに書かれているけど、記載内容との関係で挙げられているだけだったし。


dtk1970 at 23:30|PermalinkComments(0)

March 31, 2017

法のデザイン—創造性とイノベーションは法によって加速する /水野祐



今更ながら、感想をメモ。

後半部分はBLJでの連載が基になっていて、当該連載を楽しみに読んでいた一人としては、書籍化は慶賀すべきところ。個別分野については、それぞれの分野の「中の人」の目から見ればいろいろありそうだし、事実、僕がかつて属していた業界に関するところは、?があったので、そこは直にコメントさせていただいたけど、こうやって、一定の視点から横ざしで書かれていること自体が有益と思う。特定時点のスナップショットを改変しにくい紙の形で固定化しておくことには意味があると思うので。 後半からみの活動の中から出てきたと思われる前半部分は、これも興味深く、総じて読んでおいて損のない一冊だと思う。そういう意味で、マンサパ砲をはじめとして、各所での称賛に価する一冊と思うのも事実。






続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 00:51|PermalinkComments(0)

July 27, 2016

憲法改正とは何か: アメリカ改憲史から考える (新潮選書) / 阿川 尚之 (著)



憲法で読むアメリカ史
の著者によるアメリカの改憲史についての著書。同書とともに読むと、USLLMで、アメリカ法入門のような講義につなげる意味では有用と思う。一般向けということもあって、憲法の難しい話に過度に深入りせず*1に、改憲についての通史的な解説を読みやすい形で提供してくれている。
なお、同書以降の現代史部分については、こちらに連載がある(書籍化はされないのだろうか…)。

もちろん、こういう時期に出された(2016年5月発行)ということからも推測可能なように、昨今の日本での改憲議論にも資するようにという意図はあるが、最終章以外にはその点に明示的に触れてはいないので、そういう問題に特に用事がなくても、そのほかのところは安心して読めると思う。最終章には今までの章の要約もついているので、極端に言えば、この章だけ読むのもアリかもしれない。





 続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 00:23|PermalinkComments(0)

July 22, 2016

某書籍についての感想

いろいろ悩んだが、こういう意見もあるということもメモしておくべきかと思ったのでメモ。全部目を通す気にならなかったので、一応書名は上げないけど、まあ、わかる人にはわかると思うので、よしとする。
わからない人向けのメモではないので、その点はご容赦ください。





 続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 20:33|PermalinkComments(0)

July 19, 2016

さようならをもう一度

以前こういうエントリを書いたが、またもや、という感がある話で。紀伊国屋の南口が、規模縮小ということで、個人的には、事実上閉店という感じ。この後行く機会もなさそうなので、出かけてみた。

DSCF4550


















でに多少は本が減っている感じだったが、一応まだ営業しているというところでもあり、いろいろ考えて2冊本を買ってみた(内容は内緒)。事実上の閉店とは関係なく、近隣の地図のカバーをしてくれるというので、記念でもないが、それにしてもらった。

DSCF4558




 













こちらは、本は極力リアルの書店で買うようにしているものの、買う量はたかが知れているわけで、こういうご時世になると、なかなかリアルの本屋は厳しいなあ、とため息をつくしかない。

こうなると、大きめの本屋として、新宿は、コクーンタワーのBook 1stと紀伊国屋本店ということになるが、2点とも無事でいてくれと思わざるを得ない。 

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 00:24|PermalinkComments(0)

May 23, 2016

若手法律家のための法律相談入門/中村 真 (著)


いつも愉快なblogを書かれている中村真先生が、法律相談の本を書かれたということで、とりあえず買ってみて、雑誌とか目を通すべきものはさておき、読んでみた。

もう若くない企業法務のオジサンにも何か役に立つか、さもなければ、ネタとして面白いのではないか、と思ったので、そのようにしたわけだけど、プロの弁護士の先生方のご意見は別途伺ってみたいと思うものの、素人が読む限り、リスクマネジメントという視点からも率直に書かれていて、迷わないで済むという意味で良い本なのではないかと感じました。
前向きの相談の本はそれはそれで重要なものの、リスク要因になりそうなところにどう向き合うかというのは、なかなかむずかしそう、かつ、そういうことが書かれている書籍はなかなかないのではないかと思うので(知らないけど)、その辺を固くならない感じで書かれている本書は、新人の弁護士さんにとっても、貴重な一冊になるのではないかと感じる次第です。

先生の絵も、某入門の時とは異なり、内容ときっちり咬み合っていて、それでいて、いつもの面白さも保たれているので、そういう意味(謎)でも良い感じでした。 
続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 23:55|PermalinkComments(0)

October 15, 2015

最近読んだ雑誌(2015年10月)

#upしそこねたので、backdateであげておく。

いつものメモ。ビジ法11月号が読み終わってない(ので次回に)…。
あとBLJも…


 続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 23:30|PermalinkComments(0)

August 12, 2015

ファイナンシャル ビジネス法務入門 /河村 寛治



本屋で何となく?買ったのだが、ようやく一通り目を通したので感想を、一応メモ。

「これからの法律屋は決算書が読めないと仕事になりません」という惹句にインパクトは感じるが、個人的には、事業会社の法務の場合は、決算書より先に税務の理解でないの?という気がしないでもない。商社出身の著者とは、見えているところが違うのかもしれない。

ともあれ、企業金融に関する事柄について、法律のバックグラウンドのある人向けに、概要を手際よく示すという意味では、悪い本ではないのではなかろうか。噛み砕き加減もそこそこ悪くない感じだし。あと、まあ、この著者にしては、文章も読みやすいと思う。 編集の方が頑張られたのだろう。
某所で称賛されていた某書とかは、文章が眠くて一通り目を通すだけでも厳しかったことを考えると余計にそう思う。

気になったのは、次の2点
  • 法務系の方向けという割に、条文の参照が少ない箇所があったところ。もうちょっと細かくあったほうがいいのではなかろうか。
  • 参考文献の紹介があまり充実していない。個々の分野についてはざっくりとした紹介なんだから、各章ごとにわけて、より詳細に、次の一歩を理解するための道案内たるべき書物(ネット上の情報も含め)の言及があってしかるべきだろう。


このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 23:30|PermalinkComments(0)

June 07, 2015

民法大改正で契約実務はこう変わる!/遠藤元一


遠藤先生
が書かれたということで、某所で関心がある旨お話したら、なんとご本人から一冊頂戴してしまった。すいませんです。頂いたものはISBNはついていないが今後付けられたうえで、書店などでも購入可能になるとのこと。

 追記:この冊子については、次の4か所で入手可能である旨、遠藤先生からご連絡をいただいた。
  (1)霞が関にある弁護士会館の地下の書店(弁護士会館ブックセンター)
  (2)大阪弁護士会館の書店(弁護士会館ブックセンター)
  (3)東京地裁・高裁の裁判所の建物の地下1階の書店(至誠堂)
  (4)千駄ヶ谷にある東京税理士会館内にある書店 

こちらの状況故にざっと目を通しただけでの感想でしかないけど、頂いたものであるということを割り引いても良い本だと思う。特に今まで債権法改正のフォローを十分にしていなかった僕のような、法務担当者にとっては。

一般向けに噛み砕いてあるのかと思いきや、思ったよりはしっかり書いてあって、それほど敷居は低くなく、法律のまったくの素人が読むのは大変かもしれない。

寧ろ、経験豊富な著者が、一人で全体をまとめて書いていて、統一感はあるし、実務家目線(学者の考える「実務」ではなく)でコメントしてくれているので、法務担当者にとっての使い勝手がいいのではないかと思う。そういう意味で企業法務の方がここから入るというのは十分、ありという気がする。個人的には、興味関心のあるところとそうでないところと、理解にムラがあるので、こういう形の情報を通じて、それほど手間がかからずに、そのムラの是正ができるのはありがたいと感じるところ。


FullSizeRender


このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 18:15|PermalinkComments(0)

February 24, 2015

18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書) /福井 健策 (著)



買った、読んだ、楽しかった。

・・・っていうだけではアレだが、内容についてはすでに戦士さんのところで適切に紹介されているので付け加えるようなことはないので手短に。

押えるべきところを押えて、わかりやすく、とっつきやすい形で解説がなされているのが素晴らしい。最新の諸々もふんだんに取り上げられており、それが敷居を低くするとともに、現状の最前線での状況の概観という意味でも良いのではなかろうか。そして何より、著者ご本人が楽しんで書かれていることも伝わってくるのも良い。

一点気になるのは、タイムリーな時事ネタについては、風化も早いので、ある程度経つと伝わらない部分が出てきそうなところ。この辺はネタのメンテナンスをこまめにしていただくしかないのだろう。

個人的に特に印象に残ったのは次の点。
  • JASRACについて何をするかの紹介についての最初の一言。ある意味端的すぎてぐうの音もでない。ぐう。
  • 事務所の若手の先生のつぶやきに対する突込み…。 
  • 二次的創作物の例を示すイラスト…orz.


このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 23:00|PermalinkComments(0)

February 17, 2015

下町M&A: 中小企業の生き残り戦略 (平凡社新書)/ 川原 愼一 (著)



@overbody_bizlaw先生のつぶやきで見て購入。平易な文章で新書版で長くないこともあって、すぐに読めた。

業績の厳しい中小企業の事業再生の手段としてのM&Aを物語仕立てで解説、というのがざっくりとした概要なんだろう。書いているのは、ご本人も経営していた会社がうまく行かなくなってそこから立ち直ってきたという経歴のコンサルタントの方。

M&Aというと華やかなイメージを持つ人も世の中には居るのかもしれないが、中小企業の場合、事業承継として行う場合にしても、こういう再建の一環として行う場合にしろ、華やかさとは縁遠く、シンドイところが多いのだけど、その一方でこういう局面が必要な企業は多いだろうから、そういう局面で何が重要になるか、を知っておいても損はないのではなかろうか。大手企業であっても買い手側で関わることもあるかもしれないわけで。題材となっている事例(架空だろうけど)は、いくつかの幸運が重なっていると思われるところもあるので、一般化がどこまで出来るのかはやや留保が必要かもしれないけど。

個人的に印象に残ったところを、ネタバレにならない範囲でメモしておくと次のあたりか。
  • まずは、メインバンクに話しをしておくということと、他の金融機関がメインバンクの対応を見ているという辺り。
  • 大口の得意先に、自社を買ってくれないかとダメ元で一度言ってみるという理由とその結果について爾後の交渉での使い方。
  • 債権回収を試みるサービサーとのやりとりのなかで、著者がこのサービサーとの特定調停が行けそう、と感じた瞬間とその理由。



このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 00:18|PermalinkComments(0)

February 10, 2015

訴訟の心得 / 中村直人 (著)



企業法務の訴訟において高名な中村弁護士が書かれたということで、川井先生がエントリにされているのを見るなどして購入。

200p弱と分量はないものの、読みごたえを感じる一冊。弁護士さんだけではなく企業法務の担当者にも読んでほしいとはしがきにあるけれど、文章自体が平易であっても、訴訟法とか訴訟実務について一定以上の知識と経験がないとおそらく手が出ないのではなかろうかと思う。そういうものを持っている層が読むことを前提に、知っていて当然のような事柄については、知っているのが前提という形で書かれているように思うので、その意味で取っ付き易い本ではないかもしれない。それでも読んでおくべき本ではないかと思う。



続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 23:39|PermalinkComments(2)

December 21, 2014

私家版Book Guide2014年冬版

*事前の仕込みのエントリになっております。

 
さてさて、いよいよ自分の番というわけです。Advent Calendar企画。しかもよせばいいのに(オイコラ)BookGuide企画ですよ、よりによって、BLJの発売日に。

ここ数年はこの日は日本におらずTL上とかでの盛り上がりに参加できない(?)ので、私家版のbookguideめいたことをしていたのでした。今年は、諸般の都合で日本にいるものの、いつもそれほど読む量が多いわけではないのに、例年に増して読めた本の量が少なく、その手のネタをしにくい逆境なわけですが、それでも、前回のこの種のエントリーを書いた以降に読んだ本の中から、冬休みに個人的におすすめする本、という観点から3冊を選んでみようかと。

なんだか期せずしてとっても高レベルになっているカレンダー企画なので、こんなのでいいのか、と思いつつも、@overbody_bizlaw先生からありのままでよいというお言葉なので、それに甘えることに。

…と前置きが長くなったので、本題は「続き」にて。 


続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 19:34|PermalinkComments(0)

December 15, 2014

企業法務のFirst Aid Kit 問題発生時の初動対応 First Aid Kit for Corp. Legal / 田辺総合法律事務所 (著)


はっしーさんかたさんと同じく、編著者の事務所のY先生からご恵贈いただいたのだが、こちらが読むのが遅く、エントリにするのが遅くなってしまった。 Y先生ありがとうございます。

いただいた、ということによるバイアスの可能性は排除できないとしても、企業法務の担当者の手元にあって損のない一冊だと思う。手元にあるだけでも有用だけど、できれば、事前に一読しておくと、とっさのときの使い勝手が増すと思う。

何らかの事態に巻き込まれた際に初動で間違うと、その後のリカバリーに費用と手間がかかるとか、そもそもリカバリーが不能というケースもある。そういう意味での初動対応の重要性は今更言うまでもないと思うけれど、そこに重点を置いて、広範にカバーした書籍というのは、寡聞にも聞いたことがなかったように思うので、その意味で画期的なのではなかろうか。既に上記のお二方のエントリでもコメントがあったけど、広範に、問題になりそうな事態が拾ってあるので、網羅性も高そうに見受けられる。

重要だと思うのは、もちろん、然るべき弁護士さんに相談する、だけど、それまでの間にどうするか、ということと、弁護士さんにつなぐ際にどういう情報を持って相談に行くべきかについてのアドバイスがあることだと思う。最初の相談に行ったときに、いろいろ質問されて、それについてそこから調べているのでは、時間もかかるし、それ自体初動対応としてはもう手遅れということにもなりかねない。そういう意味で、こういう本に従って、即時に資料を集め、相談に行く際には、その種の資料を携えて(個人的には行く前に電子データで送っておくけど)行くのが望ましいのだろう。

そんなこんなでお手元にあっても有用なのではないかと思う次第。願わくは定期的にupdateされ続けること。こういうものでも、法令改廃・判例の進展なども反映すべきなので。

続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 22:18|PermalinkComments(0)

November 18, 2014

法務部員のための 契約実務共有化マニュアル For Legal department Manual of contract business sharing / 河村 寛治 (著), 宮田 正樹 (著), 河西 潔 (著)



仕事の早いはっしーさんが早々に紹介されていたが、同時期に入手していたものの、遅ればせながら、一通り目を通した感想をメモ。

商社法務の経験者の先輩方が、契約法務に特に重点をおいて、営業マン向けに、彼らに関係のある法務的分野について書いた解説書、というところで、はしがきでも、法務担当者がまず読んで、営業マン向けの研修に使うことを想定して書いた、とある。

一読した印象では、そういう用途向きなんだろうな、というところ。営業マンに一から読んでもらうのは、法律関係の書籍としては薄めとはいえ、分量の面でも厳しいという気がする。内容面でも、表や図がうまく使われていて、文章も法律書にしては相当程度噛み砕いて、読みやすく書かれているけど、でも、まだ、難解と取られても不思議はないように見受けられる。そうだとすると、法務担当者が自社の状況に応じた調整も含め、補足説明をしながら、研修をする、という感じになるのだろう。 なお、渉外系のお話は明示的には含まれていないが、その辺の特殊要素は別途補えばいい話だし、基本は共通のはずだから、こういう書き方もあり、だろうと思うところ。

個人的には、寧ろ、いわゆるセオリー本と一緒に、初心者の法務担当が読むという使い方の方がいいのではないかという気がした。社内での契約書の取り扱い方とかも書かれているから、便利だし、法務担当者になろうという人間にとってで、あれば、ここまで噛み砕いてあれば、一人でも十分とっつきやすいだろう(これがダメならそもそも人選ミスと言えるくらいに)。まずは営業マン向けに最低限のアドバイスができるようになってもらうという感じか。もちろん法務担当者については、この範囲はあくまでも最初、であって、その先に行かないといけないのだが、手際よくまとめていただいているので、ここからスタートというのも悪い話ではないように思う。 そういう意味では一社に一冊あっても良いのではないだろうか。続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 18:47|PermalinkComments(0)

October 20, 2014

不正リスク管理・有事対応--経営戦略に活かすリスクマネジメント / 山口 利昭 (著)



ビジネス法務の部屋、の山口先生の著書。読み始めたら、ご病気ということで、blogも一時更新が止まっていたのだけど、ご快癒されたようで何よりです。

本書の意図するところについては、「はしがき」に次のとおり書かれている。
 
本書は、経営者がアクセルを目いっぱい踏んで事業経営を行うことを念頭に置いている。経営者が全速力で走るなかで、走りながら考えるべき不正リスク管理について、「不祥事は御社でも起きる」という発想を基に、平時の対応および有事の対応について検討した。また、経営者の方だけでなく、経営者を支える幹部の方々、リスク管理に携わる社員の方々にも参考になるように、なるべく平易な文章を心がけて書いたつもりである。

一通り読んだ感想としてはこの意図通りの本になっていて、上記記載の方々にお薦めできる本になっていると思う。特に、
「100点満点のコンプライアンス経営というよりも、会社にとって大きな損失が生じることを防ぐためのコンプライアンス、つまり、合格最低点(60点)を目指すために経営者ができることを中心に述べている」

という点が好ましく感じられた。コンプライアンス(法令遵守にとどまらず、「社会の要請への適切な対応」まで含むものとしての)が「お題目」に終わらないよう、中身のあるものとするために、経営者が持つべき視座というものを提示しているように思う。最近の情勢や法改正、海外動向(独禁法、FCPAとかの話も含め)まで含めて、配慮すべき事柄全てに配慮が行き届いているのは面目躍如というところであろうか。

経営者向きなので、細かな現場レベルでどうするかは記載していないが、本を読みやすい分量に留めて、経営者に読んでもらうには(これでも分量が多いということはあるかもしれないけど)必要なことなのだろう。

続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 18:42|PermalinkComments(0)

September 23, 2014

要件事実入門 / 岡口 基一 (著), 中村 真 (イラスト)



ガチムチ要件事実ANIKIとしてお馴染み(?)で、自由すぎる裁判官、岡口裁判官と、笑える漫画*1でこれまたお馴染み(?)の中村真弁護士のコラボということで、仕事ではまったく要件事実の必要性を感じたことがないものの、ネタをひろおうと思って、出版社サイトで予約購入した一冊。漸く一通り目を通したので、素人目線での感想をメモ。
例によって、まともな紹介はronnorさんのところなどで御覧あれ。  

上記の二人の濃厚な絡み(意味不明)を期待したのだけど、漫画はエピローグだけで、意味ありげには描かれているものの、個人的には特に何かが「せりあがる」ようなものを感じることはなかった(謎)。途中から取ってつけたような感じなので、そこはちょっと残念にも思われたけど、まあスケジュールの関係などで仕方ないのだろう。

その代わり、というわけではないだろうけど、随所に素人でもクスっと笑えるコネタ(例えば、岡口乙とか)が仕込んであるので、それを探すのも一興かもしれない。続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 18:07|PermalinkComments(0)

August 30, 2014

憲法主義:条文には書かれていない本質 /内山 奈月 (著), 南野 森 (著)



気の迷いでつい買ってみた一冊。AKB云々とあると、それだけでネガティブな印象というオッサンではあるが、ronnorさんのところとかの紹介を見て、買う気になったのでありました。

確かに、内山さんが相当きっちり学校で勉強されていたようで、語弊のある言い方を許してもらえば、話が結構高度になっても(憲法変遷の話とかまで付いていってるしねえ…)、きちんと話に付いて行っているのがすごいなと思う。自分が同年代のときにここまでの話についていくことはできなかったと思うから。
(一番ショックだったのは、大学の卒業年次が同じなので、近い年代と思われる南野先生が彼女のことを「お嬢さん」と評していたところ。確かにそういう年代なんだけどね…orz)

内容面でも確かにわかりやすいと思うし、読みやすい。

個人的になるほど、と思ったのは、
  • 硬性憲法と最高法規性の関係についての指摘
  • 違憲立法審査権の反民主的性格
という辺り。

 

 続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 00:59|PermalinkComments(0)

August 28, 2014

リーガルクエスト会社法 補遺(その2)

自分用のメモということで。

今回の会社法改正を受けての補遺が出た。改正の要綱案の時点でも補遺が出ていたので、補遺が出るのは2度めということになるはず。こうやって補遺がでるということは裏を返すと、第3版はまだ出ないということなんだろうか。まあ、施行規則とかが固まってからということの方がよいのかもしれない。

個人的には改正のまとめとしてもわかりやすいように思うので、重宝しそう。業務としても会社法周りの法務もやることになったので…。




このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 00:43|PermalinkComments(0)

March 26, 2014

超実践 債権保全・回収バイブル―基本のマインドと緊急時のアクション Debt Recovery Bible, Mindset and Emergency Actions / 北島 敬之 (著), 淵邊 善彦 (著)



一度予告記事がBLJに出てから、実際に出るまでに一年かかったけど、個人的には待望の一冊が出た。出版記念セミナーがあるということで、出席して一冊入手して早速目を通させていただいたので、感想をばメモ。

債権回収・保全系は、勤務先のビジネスモデルなどの関係から、今までのところ、個人的にはあまり縁のない分野なのだが、いつ何時必要になるかわからない分野なので気になっているのだけど、そういう会社においても、この本を手元においておくだけでも間違いなく有用。加えて、一読して、どこのあたりに何が書いてあるかを把握した上で、いざことが起こった時には、すぐに紐解けるようにしておくと更によいと思う。その意味で、ステマではないはずだが、帯にあるように、法務担当者一人につき一冊あってよいと思う。


続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 23:53|PermalinkComments(0)

March 20, 2014

憲法で読むアメリカ史(全) (学芸文庫) / 阿川 尚之 (著)



以前新書2冊本だったものが、加筆修正のうえ、1冊にまとまって文庫化されたもの。

アメリカ合衆国として今我々が知る形になるまでの間に、国の形に関して起きた問題が、国の形を定める憲法問題として裁判所で争われるのは当然と言えなくもないが、政治問題と司法との距離感が、日本と異なり密接というところにまず驚かされる。その中には、アメリカの陰の部分も当然含まれていて、人種問題や、南北の差異(格差といえるのかはわからないが)も出てきており、国としてまだ若いのだな、ということを感じた次第。

USのLLMに行く際には、アメリカ法入門という科目などを履修する際の副読本として必携という気がするのは間違いない。僕自身も事前に新書版を読み、持っていったから。帰国後に同様に留学する若手にあげて、新しく買いなおそうとしたら既に絶版になっており、今回新しく出たのはありがたい限り。上記のような用途に限らず、アメリカ法やアメリカを知るうえで、参考になるところの多い一冊だろうと思う。

惜しむらくは、新書版に含まれていた、ブッシュ対ゴアの一件についての章が削除され、結果的に記載がレンクイストコートの前で終わっているところだろうか。まだ言及するのは早い、ということのようだし(その旨の記載がある)、その点は理解できる一方で、レンクイストコートの時代も長かったから何らかの記載があっても良かったのではないかという気がする。それは今後の課題として、更なるupdateを期待したいと思う。

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 17:59|PermalinkComments(0)

February 26, 2014

私家版 国際契約を学ぶためのブックリスト

BUのLLMで一緒だった、某弁護士さんから、概略次のような質問をいただいた。
 
「法務部員が国際取引を学ぶ入門書的なものとしておすすめはありますが?それと法務部員として英文ドラフトを勉強するのにお勧めの勉強法とか」

で、コメントはさせていただいたのだが、ついでなので、適宜加筆しながらエントリにしてみる。洋書については、それほど知らないので、和書で自分で勉強しようというところを前提としてご紹介してみる。紹介した本について、こちらのblogで、ご紹介したものは、そのエントリを、そうでないものは、アマゾンまたはその他にリンクも張っておく。どこかのタイミングでこの手のエントリを書いてみようかと思っていたので、渡りに船、というところ。

なお、以下は、現時点での私見なので、そのつもりでお読みいただきたく。さらに、今まで書いたことの繰り返しなので、長らくご愛顧いただいておられる方々にとっては退屈かもしれません。
*現時点の私見なので、過去に書いたエントリの内容とは必ずしも整合していないかもしれません。あしからず。

 



続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 00:40|PermalinkComments(0)

February 19, 2014

改訂版 契約実務と法-リスク分析を通して- /河村寛治 (著)



はっしーさんが以前褒めていた本。僕自身にとっては、なんだか相性が悪いというか、理由はよくわからないものの、どうも読み通せずにいて、気になっていた。今回改訂版が出たということで買って、一気に読んでみた。 一通り読んでみると、僕自身の印象としては、もともとの用途*1もあって、法学部なり法科大学院を出た人が契約法務、特にドメスティックな契約法務*2の業務に就くに際して最初に紐解くべき一冊、のうちの一つ、として有用、というところ。

単に理論的なこと、文言についてのみ書かれているわけではなく、その背後にある考え方、不可抗力とか契約解除のような契約書の一般条項について、なぜこのような条項が要るのか、条項を書く際に、どういうことを考えて書かないといけないのか、などを丁寧に説明してあるうえに、文言以外に気を付けるべきところについての記載もあるので、OJTツールとしても使いやすいのではないだろうか。契約実務総論、という感じでこの本を読み、その後、それぞれの契約分野の詳細については、それぞれの分野ごとにもっと詳しく書かれた書物をこの後に紐解くなどしてゆけばよいのではなかろうかと思う。*3

今回、債権法改正の状況を受けてのコメントや反社排除条項についての記載も追加されたので、特に前者については、契約書の見直し等を考えるうえで、件の改正(昨年末時点での話ではあるが…)がどういう影響を及ぼし得るのか、考えるうえでは有用なのではなかろうか。*4
続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 00:15|PermalinkComments(0)

February 10, 2014

若手弁護士のための民事裁判実務の留意点 / 圓道 至剛 (著)

仕事の早いはっしーさんに出遅れたが、同じ本について感想をメモ。BLJのbook guideでも紹介されていたもの。若手弁護士さん向けの本だけど、弁護士ではない企業の法務の担当者としても一読し、手元においておいて損のない本だと思う。

弁護士経験の後、任官され、現在は再び弁護士をされている著者の手によるので、弁護士としてどうするという部分を丁寧に分かりやすく説明するだけではなく、ここのステップで、裁判所側が何をしているのかまで、説明があるので、訴訟全体の流れを俯瞰する形で、手続きを見ることができるので、企業法務の担当者として、書面の書き方(書式例もついている)、手続きの進め方を押さえておくうえでも有用だし、弁護士さんとのコミュニケーションをはかるうえでも有用なのではないかと思う。

続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 20:27|PermalinkComments(0)

January 24, 2014

民法改正のいま ―中間試案ガイド / 内田 貴 (著)


債権法改正は、雑誌の記事を読む程度だし、そもそも改正が本当に要るのだろうか、という思いはあるのだけど、とはいえ、さすがにもうちょっと全体像を抑えておいたほうがいいような気がしたこともあり、内田参与の本を読んでみた。

続きを読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 20:19|PermalinkComments(0)