企業法務/法律関係

December 30, 2012

譲渡禁止条項について

タイトルがこれでいいのか不明ですが…。

例によってCLEの講義を聞いているのですが(当たり外れが大きいような気がしてます。あわない講義だと意識がなくなるのはこちらの問題ですが…)、その中で契約書の文言(当然英文契約ですが)についての話が出てきて、なるほど、と思ったのでご紹介をしてみようかと。

具体的には、定型的な文言で入っている譲渡禁止の条項について、なんだけど…。
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December 29, 2012

An Essential Guide to Attorney-Client Privilege and Work Product for the In-House Practitioner

インハウス向けのprivilegeとwork productに関する記事。CLEの講義の中で出てきた事項について検索していたら見つけたもの。ミズーリ州法ベースの議論が一部あるが、参考になりそうなのでご紹介してみる。僕自身それほど詳しいわけではないので、どこまで一般的に役に立つ話なのかは必ずしも確かではないが…。

米国での訴訟への対応という意味ではまずは関戸先生の本が最初に読むべきだろうと思うけど、法務部の「中の人」としては、attorney-client privilegeとかwork productの扱い方については迷うことが多いのではないだろうか。事業部門の人から相談も受けるだろうし。これらの点については、関戸先生の本では紙幅の関係もあり、カバーしている部分は限定的で、補足するものがあった方が良いと思うが、この記事はその意味で参考になりそうな気がする(もちろん、訴訟となれば、弁護士事務所がつくのが普通なので、費用はかさむかもしれないがそこに質問するのが普通だし、そうするべきだろうと思うけど、何も知識がないのもどうなんだろうと思うので…)。
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December 27, 2012

The Overlooked Arbitration Clause: How to Draft Them So They Work/Eric Fishman

Pillsburyのlitigatorの書いたもので、litigatorの視点から仲裁条項についてのコメントがなされている。

思う所あって、ぼちぼちとCLEの講義をwebで聴いている。その中でこの著者の講義があって、その講義自体は仲裁条項も含む種々の契約条項について、いざ訴訟になったらどう裁判所が条項を見るか、ということを踏まえて、よくある条項の問題点と修正案(当然長くなるわけだが…)を解説していて、それ自体個人的には非常に興味深かったのだけど、その講義の資料の中に含まれていたのがこの記事。この記事だけでも読んでおくと有用なのではないかと思ったので、ご紹介する次第。
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December 26, 2012

最近見た雑誌から

たまにはこういうのも(謎)。

休み明けで、勤務先で購読している雑誌を一気に受け取り(郵送先が僕の名前になっている)、かつ、米国側が休みに入っているということで、そこそこ手が空いていたので、この2日で目を通した記事について、一部については既に呟いたけど簡単に感想を。ぽえさん(@h_canceller)みたいな的確なコメントはできないが、まあ感想ということで。なお、いちいち記事の正式タイトルを書くのは煩雑に思えるので、特定可能な程度の略記で失礼します。
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December 25, 2012

本棚の作り方について

毎年BLJではこの季節に出る号でブックガイドを出しているということで、こちらも便乗企画をさせてもらったが、同様に便乗企画をはっしーさんがされていて、かつ、TL上での指摘を受けて(こちらもいくつかコメントさせてもらったけど:はっしーさん、お手数をかけましたm(__)m)、改訂も既になされている。ともあれ、一連のやり取りを見ていて感じたことをメモしておく。話がそれるのでコメントにはしないという次第。

そもそも企業の法務の書棚に本をどういう風に揃えるかという点では、前の勤務先で、自分の退職直前に本を揃えたときに、色々考えたこともあり、その関係で興味関心が有るわけです。
(その時のメモがこちらこちら
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December 24, 2012

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2013年 02月号 [雑誌]


出遅れたが、例によって気になった記事の感想をば。今回は何と言っても、年に一度のブックガイドでしょう。

BLJのブックガイドで、地味だけど便利だと思うのは、インデックスがついて、紹介されている文献の入手方法(サイトも含めて)が丹念に拾ってあるところ。結構大変な作業だと思う。

大手事務所の図書室の比較は面白いが、大手だからあれだけ揃える(本だけではなく、スペースや本棚、事務方、システムも含め)ことが正当化可能ということはあるし、というか、あれだけの費用がクライアントから取れるという見方をすると(以下略)。

個人的にはもっと中規模、小規模の事務所の本棚も見たかった(例えば高橋雄一郎先生や川井先生のところとか)かも。
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December 23, 2012

労働事件審理ノート〔第3版〕 / 山口 幸雄;三代川 三千代;難波 孝一 (編集)

#例によって事前の仕込み原稿ですいません。

労務系では評判が高い本、ということで、勢いで買っては見たもののしばらく積ん読だったのにようやく一通り目を通した。

労働事件の審理のあり方について裁判官が解説しているもので、要件事実論を踏まえて書かれているので、その辺に馴染みがない僕には正直とっつきにくかった(だから積ん読になっていた)し、特にそのあたりはどこまで理解できたのやら、という気がした。この本をもっと噛み砕いたような形の本がこちらの本ということのようなので、こちらから入ると多少はとっつきやすくなるのかもしれない。

ともあれ、それぞれの訴訟類型ごとに裁判官が何をポイントと見ているのか、何を早期に確認し、証拠として当事者に提出を求めるべきと考えているかがわかるので、それを押さえておくと会社側の初期対応には良いのではないかという気がした(よく考えると基本的なところばかりという気もするのだが、それでも抜け・漏れが出る可能性はあるので、チェックリスト的なものがある方が安心)。
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December 21, 2012

私家版法律実務書大賞2012?

#例によって逃亡中につき、仕込みエントリですいません。

BLJが出るはずですが、出先なので読めません。ブックガイドを楽しみにしているのに、とは思いますが、仕方がないですな。

代わりに、というと怒られますが、ひとつ開き直ってみることにしようと思い立って、11月までの間で読んで、特に印象に残って、かつ、こちらをお読み頂いている奇特な(謎)皆様に改めてお勧めしたいな、と思ったものを再度ご紹介という格好にしてみようかと。僕が読んだもの、という母集団の作られ方で既に偏っていますが、ともあれ、3冊選んでみました。基準は、有用なだけではなく、読んで面白く、個性的であるかどうか、という辺り、でしょうか(それ故に特に印象に残ったわけで)。時節柄、冬休みのお供にもお勧め、かもしれませぬ。

詳細は「追記」にて。
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December 17, 2012

環境法入門 第2版 (有斐閣アルマ) /交告 尚史 (著), 臼杵 知史 (著), 前田 陽一 (著), 黒川 哲志 (著)


行きの移動中に読み始めて、ようやく一通り目を通したので、雑駁だけど感想をば。

環境法という分野の全体像を要領よくまとめた本、ということになるのだろうか。学際的な要素があることもあって、一人の著者が無理に全部書くよりも、複数の著者がそれぞれの専門性を活かして書くことが上手く作用したのではないだろうか。一人で全部について説明をするにはあまりにも内容が広範過ぎると思われるので。
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December 16, 2012

選挙とか審査とか…

こちらは既に南の島(要するにハワイですが)で遊んでいるのだが、日本は選挙投票日。期日前投票は済ませてきたのだが、どういう結果になることやら…。

それともう一つ重要なのが最高裁の裁判官の国民審査。とりあえず全員×というアプローチもありだが(理由付けは色々あろう。個人的にはそのアプローチだが)、企業法務戦士さんのところで、対象者の判断事例についてまとめておられるので今更ながらご紹介

せっかくの意思表示のチャンスなのだから、まだの読者諸兄におかれては急いで行使されることを、僭越ながらおすすめする次第。

一つ気になったことをメモしておく。空港でNHKの番組で報じている中で言っていたのだが、昭和基地におられる方々については国政選挙についてはファクシミリでの投票は可能であるものの、最高裁裁判官の審査については、投票できるようになっていないらしい(こちらにもそういう記載がある)。何か理由があるのだろうか?技術的な理由はなさそうに見えるので奇異に思うのである。ご存知の方が居られればご教示いただけると幸甚ですm(__)m。


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December 15, 2012

プレップ環境法〈第2版〉/ 北村 喜宣 (著)

#事前の仕込みですいません。


製造現場のあるメーカーにいるので、環境に関する法令(個人的には一番縁があるのは土壌汚染対策法だけど)については、まったく知らぬ存ぜぬというわけにはいかない。で、用事のある都度実務書とか法令とかを見て何とか対応してきたのだが、正直あまり面白くない。

そこで、もうちょっとアカデミックなアプローチはないものだろうかという風に思い至って、とりあえず安価なこの本を買ってみた。司法試験の選択科目で環境法を選択した人向けなのだが。同じプレップ法学シリーズでも労働法のアレとは異なりスリムな本だし、実例を用いて噛み砕いて書いてくれているので、読みやすい。
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December 13, 2012

FCPAについてのメモ(2)

調べ物のついでに見つけたもののご紹介。前にご紹介したものの続き。アメリカ企業の日本現地法人にいて、FCPAの適用を受ける可能性がないとは言えないので、一応調べたりはしているわけです。
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December 12, 2012

最近の何だか(2012年12月半ば)

一部の人に何故か受けているこのシリーズ。実は結構書くのが難しいので、頻度も落とすようにしているのだが…。気を使いつつ、書けそうなことだけ箇条書きで書いてみる。
  • 某案件で翻訳(英語からの和訳)のチェックの依頼が来た。webベースの翻訳ツールをつかって英日を比較しながら訳のチェック。ツールの使い方がわからないと言いつつ、何とか片を付ける。、原文の旧版については、和訳があったため、旧版から修正した箇所の翻訳のチェックだけのはずなのだが、それほど時間がかからないだろうと思ったら、予想よりは時間がかかってしまった。
  • 某案件で久しぶりに朝から電話会議。最後の方で同じ話がぐるぐる回っていたあたりで意識不明になる。
  • いくつかの案件で具体的な進展を見るが、詳細は略。年明けから僕のところでの作業が適宜出てくる見込み。
  • 某取引において日本で使っている契約書の雛形の差し替えのリクエストが来た。内容を見て不明点の問い合わせをする。






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December 11, 2012

英文契約書の法実務-ドラフティング技法と解説- /杉浦 保友 (著), 菅原 貴与志 (著), 松嶋 隆弘 (著)


勤務先の近所の図書館で借りてみた。ページの見た目(版組み)が読みにくいような気がするものの、僭越ながら良い本だと思いました。CISGやユニドロワ国際商事契約原則まで視野にいれて、英文で契約書を取り交わす際に(別に英語圏とは限らず)気をつける点について、典型的な契約類型ごとに実務的な解説、特にそれぞれの契約や個々の条項の機能についての実務的な解説があるのと、解説対象の英文契約書それ自体も、いかにも教室設例的ではなく、実際に使われそうなものになっているのが良いところではないかと思う。
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December 09, 2012

労働紛争解決とADR (日弁連ADRセンター双書) / 日本弁護士連合会ADRセンター (編集)


こちらのblogの今年における顕著な特徴の一つは、労務系の紛争が多いとされる外資系に転職したことに伴い、労務系の本の紹介が増えたことにあるだろう。そういう流れの中でのこの一冊。労働紛争においては労働審判をはじめとするいわゆるADRが多種多様な形で用意されているが、多すぎてそれぞれの立ち位置とかの違いがよくわからないというところだが、この本ではその点について、裁判官(労働審判について)、行政官(あっせんなどの行政によるADRについて)、弁護士(労働者側・使用者側双方の弁護士)がそれぞれの手続きについてポイントを解説している一冊。資料も含めてそれほど分量はないものの、企業の担当者を含め、この種の案件に関係する機会のある方々にとっては非常に有用な一冊なのではないかという気がした。
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December 07, 2012

Revisit猿払?

で、それどこ?(謎)。こういうところらしい。

この辺りのエントリ等で話題になっている件が次の話。判断が出たばかりなので報道から。

共産党の機関紙を配ったとして国家公務員法違反(政治的行為の制限)罪でそれぞれ起訴され、二審で逆転無罪とされた元社会保険庁職員と、一、二審で有罪とされた元厚生労働省課長補佐に対する2件の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は7日、検察側、被告側の上告をいずれも棄却した。元職員の無罪と、元課長補佐の罰金10万円の有罪が確定する。
 同小法廷は、国公法の政治活動の制限規定を合憲とした上で、制限の範囲を「政治的中立性を損なう恐れが実質的に認められる行為に限られる」と初判断した。国家公務員の政治活動を広範囲に制限した同法の規定をめぐり、最高裁で無罪判決が出されたのは初めて。
(dtk注:中略)
 判決は、表現の自由の重要性を踏まえると、政治活動の制限は、行政の中立的運営のためにやむを得ない範囲でのみ許されると指摘。中立性を損なうかどうかは、管理職の地位にあるか、勤務時間内かどうか、職場の施設を利用したかなどを総合的に判断すべきだとした。


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December 04, 2012

キヨミズ准教授の法学入門 (星海社新書) /木村 草太 (著), 石黒 正数 (イラスト)

まだリハビリモードということもあって、気軽に読めたこの一冊をご紹介。でも、お薦めします。


拝読している、アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常紹介されていたこともあり、購入、一気に読み終わった。内容の紹介はronnorさんが的確にされているので、こちらで付け加えることはない。
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November 30, 2012

不正会計―早期発見の視点と実務対応 /宇澤 亜弓 (著)



#11月中の私的課題図書だったので、upが遅れたがここに挙げる。

企業の不正会計にどう対応していくか、ということについて、会計士で、捜査側に従事されていた著者(ちなみに、オジサンです)が、事例に基づき、その理論的枠組み、原因と予防策、早期発見とその対応、市場側の起立強化の取り組みなどを熱く熱く語っている本。某所で直にお話をお伺いする機会もあり、買ったものの、お話を聴くまでには読み終わらず、結構情けない気がした(そのくせサインはいただいてしまった...orz)。

豊富に事例(公表事例)を引いて手口や、その見つけ方、対処の仕方を論じており、個人的には興味深かったのだけど、ここの読者層の多くを占める法務の方々におすすめするには、ちょっとハードルが高いかもしれないと思ったりする。なくても大丈夫なように配慮はされているものの、一定の会計知識があるのが前提である(主たる読者として想定されているのはおそらく会計士さんだろうし)ので…。そういうところを理解したうえで読むというのであれば、特に管理部門系であればおすすめです。この手の問題は、コーポレート・ガバナンスや内部統制等の議論からすれば、法務の人も無縁では済まない話でしょうから。
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November 29, 2012

「疑わしきは被告人の利益に」ということ/後藤昭

Twitter上に流れていたので、あまり関係はなさそうだと思いつつも読んでみた。一橋論叢に収められていて、新入生向けの法学入門というような位置づけで書かれている。

内容は表題の格言の基本的な意味と根拠を説明しながら、法学の入門を行うという形になっているのだけど、個人的には、日頃あまり意識しなかった「疑わしきは被告人の利益に」という格言と「疑わしきは罰せず」「無罪推定」などとの意味合いの違いについての説明がわかりやすかった。大学の新入生向けということもあって、丁寧にわかりやすく説明されていることにちょっと感動。どなたがなされていたのか思い出せないのだが、TL上で推薦されているのも納得。


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November 28, 2012

川井先生のセミナーに出た。

川井先生のセミナーに出た。会社法・金商法重要判例総ざらえという内容。判例の整理の仕方が分かり易いだけでなく、要所に挟まれるオフレココメントや私見も秀逸でした。毎年同形式のセミナーの継続も検討されているとのことなので、継続を期待というところ。

終了後に知り合いの方々で自然発生的に飲み会となる。一部の方とは、昨日のBLJの読者懇親会から引き続きだが、中々有意義な一時になる。

関係者の皆様、川井先生ありがとうございました。
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November 24, 2012

契約書の日付について

先日TL上での数名の方々(いちいちお名前は挙げませんが、勝手にネタにしたことについては、ご海容を賜りたく)との会話させてもらったことのまとめ。自分用の備忘録ということで。記憶で書いているので、間違っていたらご指摘いただきたく。
  • 契約書にいつ実際にサイン(以下、押印も含む)したか、というのと、書面上のサイン日とは必ずしも一致しなくてもよい。ただし、一致していないと、ややこしくなる可能性があるので、日付をあまりずらせるのは避けたほうが良い。具体的には次のようなものが考えられる
    • そもそもサインの締結過程が争われるケース(署名の捏造とかを含めて)
    • サイナー、肩書き、組織などについて、実際にサインした日と書面上のサイン日との間に変更が生じるケース
    • 法令変更(特に税法)が生じるケース
    • 決算日との関係で売り上げ計上のタイミング(何をもって売り上げを認識するか、とも関係するが)との整合性
  • サイン日と効力発生日を同じにしているから話がややこしくなるので、話をややこしくするのを防ぐには、サイン日とは別に契約の効力発生日を定めることがよいのだろう。締結式をやらずに、書面を物理的にやり取りするだけのケースでは、輸送の関係で双方がいつサインするかはっきりしないので、そうしておくほうがわかりやすい。
  • 契約書の発効日または締結日はその契約書を事後的に特定するとき(変更契約とかを作るとき)に、当事者名などとならんで、使う材料なので(2012年**月**日に甲乙間で締結した「」という表題の契約書について、というような形で対象文書を特定する)、不明確なまま放置しておくのはそういう点からもこのましくない。



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November 23, 2012

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2013年 01月号 [雑誌]


やや出遅れたが、いつものごとく感想をば。いつもより短めですいません。最初に書いておくと、本号の特集については、ネタだしとかで編集部さんのお手伝いをさせてもらったこともあり、公平を期す観点(謎)から、今回はスルーさせていただく。個人的にはこの特集には、興味深い記事も多かったのだが…。

それはさておき、上記を別にすると、やはり注目は(鈴木正朝先生との共著とはいえ)ひろみちゅせんせ光臨だろう。経緯などについては、仕事のはやいはっしーさんがエントリにされているとおり。あのなんとも言いがたいTL上のやり取りがこういう記事になるとは…。最後にしっかりT ポイントツールーバーに話を向けているのも、執念深いというか念入りと言うか…。こうなったら、反論対象の某先生に再反論の記事を書いていただき、もうしばらく誌面上で、炎上、もとい論争を継続していただけると、読者にとっては面白いのかもしれない(編集部にとっては、エライコトになりそうだけど)。
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November 22, 2012

ハードルをあげすぎない

何でこのカテゴリーかはさておき、いつもお世話になっているはっしーさんのエントリにまた絡んでみる。誤解のないように先に書くけど、はっしーさんをdisる意図はないからね。不愉快になったらごめんなさい>はっしーさん
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November 21, 2012

五大事務所のグローバル化?

川井先生のつぶやきを見て、以前のこちらのエントリのupdateのようなものをしてみようかと思い至ったのでメモ。現職では正直あまり用事がなさそうな話なので簡単なメモで失礼します。
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November 19, 2012

BLJのセミナー(H24著作権法改正で何が変わったか)

例によって(?)BLJの定期購読者向けのセミナーに行ってきた。文化庁の立法担当の課長補佐さんが講師で、法律の概要や立法過程の裏話などについて、本音も交えて解説というもの(質疑応答のところでは、某元映画会社の方が聞き手兼コーディネーターになって質疑応答という形式だった)。官庁の立法担当者の方が説明、というと、どうしても、オカタイ感じになるのではないかと懸念していたけど、さすがBLJというか、単にご本人のキャラクターの問題なのか、あまりそういう感じはなく、個人的には非常に面白かった。

(余談をいえば、外部の会場での開催だったので、前回のセミナーに比べると、ややフォーマルな感じで、そういう意味でのらしさは、なかったが、まあ、内容が上記のとおりで、そういう内容が現出されたところにらしさがあったという気がした。)
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November 17, 2012

ここまで知っておきたい債権回収の実務―信用調査から税務問題まで /永石 一郎 (著), 渡邉 敦子 (著), 大坪 和敏 (著)


長らく積読だったのだが、ようやく一通り目を通したので感想をメモ。

版を重ねた債権回収に関する実務書。債権回収系では「債権回収基本のき」「現場目線の債権回収」あたり最初に読むべき本として有名なのかもしれないが、この本は、関連する実務を行うのであれば、手元においておくべき実務の要となるべき一冊ということになるのではなかろうか。
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November 15, 2012

FCPAについてのメモ

ホントにメモだけ。内容はサワリのところを斜め読みしかしておらず、詳細はこれからというか明日以降見る予定(予定は未定だけど...)。

ネタ元はこちら。DOJとSECが前にあったLay Person's Guide to the FCPAの改訂版ともいうべきものを出したということらしい(Fact Sheetによる)。

A Resource Guide to the U.S. Foreign Corrupt Practice Act

題名も変わって120p超の内容になって、相当詳しくなっているみたい(読んでないけど)。
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実例解説 企業不祥事対応―これだけは知っておきたい法律実務 /西村あさひ法律事務所危機管理グループ (著)


西村あさひからというのと、その中でも、某所でお世話になっている某先生が執筆されているということで購入してみた。

種々様々な不祥事やリスク要因を幅広く集め(そのあたりに事務所としての持っている情報量の多さを感じてしまった)、それぞれについてQ&A方式で対応策のポイントを解説してくれている。それぞれについての解説は詳細というよりも、一定の部分より後は適宜弁護士に相談することを薦める形(間接的に事務所のプロモーションにもなっているのだろう)になっているが、実際問題としておそらくはそういう形をとることになるだろうから、そう割り切った分、全体をコンパクトに纏めることができ、それはそれでアリ、なのだろう。何か事が起きた時に、あたってみて、対応の方向性と大所で抑えるべきポイントを把握する、という形で使うことになるのだろう。そういう意味ではコンパクトで有用なのではないか。この分量だと通読もしやすいし。
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November 13, 2012

違法ダウンロードで逮捕されないための改正著作権法 / 鳥飼総合法律事務所 (著), 鳥飼重和 (監修)


著作権法の今回の改正について、理解が不十分なこともあり、来週BLJの定期購読者向けセミナーもあるので、その予習も兼ねて買ってみた。と、いいつつ、買った一番の動機は「鳥飼総合法律事務所が知財の本?」と思ったから、なのだが。有名な事務所なんだけど、税務や会社法系がメインとなんとなく認識していたので、知財業務をしているとは知らなかったので。まあ、それなりの大きな事務所だからやっていても不思議はないのだろうが。
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November 12, 2012

最近の何だか(2012/11/12ごろ)

定期ポスト(謎)。
  • 相談の来るタイミングが相変わらず変というか、来るときに一度に数件来るというのは変わらない。まあ、いいのだけど。
  • 秋はセミナーシーズンということなのか、あちこちでセミナーのお知らせ。情報収集とかの役に立ちそうなものとかを見繕って出かけてみる。
  • いくつかの案件で節目を迎えて、まあ、色々思うところがあったりするが、それは当然ここでは書けない。
  • 感謝祭の頃の休暇の有無の問い合わせとかがアメリカから来たりして、そういうものなのか、とか思ったりする。



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November 04, 2012

裁判と社会―司法の「常識」再考 (日本の“現代”) / Daniel H. Foote (原著), 溜箭 将之 (翻訳)


図書館で借りてみた(最近これが多くてすいません)。今の職場だと、アメリカ人の法律家にとって日本の法律がどう見えるか、ということは、押さえておくと良さそうな気がしたので読んでみた。読んでみて面白かった。

特定の社会における法を理解する上では、文化的な側面に限らず、制度面(法律だけではなく)や、自己利益の最大化についての考慮、も必要というところは、なるほど、という感じ。その3者の相互作用の実例がふんだんに示されているし。
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November 03, 2012

誰がために...

009じゃないんですがね...(挨拶)

毎度お世話になっている(ご迷惑をかけている、というべきか)、@takijihashizumeさんのところでのエントリを見て(判決は読んでない)、思ったことをメモ。コメント欄でも良いのかもしれないが、長くなったのとエントリの内容から逸れるような気もするので、こちらで失礼します(トラックバックはさせてもらいます...)。
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November 02, 2012

素朴な疑問?:永遠の誓い??

なんだよそれ(>自分)。

唐突に思い出したので、忘れないうちにメモしておこう。最初に転職して、はじめてメーカーの法務に勤務することになったときに、感じた疑問ということで。今でも疑問なのは変わらないのだが...。

製品などの販売基本契約などにある文言の中に、瑕疵担保に関する条項があり、それによると一定期間内については、瑕疵について返金などに応じるというのだが、それとともに、例外的に期間制限なしに対応する旨の記載があることがある。有名な「取引基本契約書の作成と審査の実務」(そういえば四版が出たらしい...三版も手元にあるが読んでいない)にもその種の記載がある。手元にないので、先日読んだこちらの書籍に出ているものを引用すると次のとおり。

乙は、前項(dtk注:瑕疵担保責任についての権利行使の期間)の経過後であっても、商品又は乙の製品の品質・機能に重大な影響を及ぼし、かつ甲の責に帰すべき不良品により損害を被った場合には、甲に対し補償を請求できる。


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October 31, 2012

濫用的会社分割ねえ…

たまには判例も読まないとね、ということで(謎)、会社法改正の際にも話題に出てくる、この判例を読んでみたうえでの感想をメモしてみる(単なる感想でしかないのでその前提でお読みいただきたく)。
ちなみに、最高裁のサイトに出ている判例要旨は次のとおり。

株式会社を設立する新設分割がされた場合において,新設分割設立株式会社にその債権に係る債務が承継されず,新設分割について異議を述べることもできない新設分割株式会社の債権者は,詐害行為取消権を行使して新設分割を取り消すことができる


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October 30, 2012

契約書作成の基礎と実践―紛争予防のために / 植草 宏一 (著), 松嶋 隆弘 (著)


最近何故か、契約書関係の本が新しく出ているけど、さすがに食傷気味ということで、図書館で借りてみた。良かった点をいくつかあげてみる。
  • 新刊なので当然かもしれないが、CISGや債権法改正の現状も含め、判例や条文へのレファレンスが豊富。
  • 基本的なところから、理論的なところまで、詳しく説明しているという印象。説明については、権利保全に関する部分が類書に比してよりページを割いている印象。
  • 要件事実も視野に入っている(ようだ…そもそも要件事実がよくわかっていないので…)。
  • この種の本には珍しく?、簡単ではあるが、印紙税法以外の税法への目配りがなされている(印紙税法の話は、他のところでも見られるので、そこはもっと端折って、その他の税法の話をしてもらったほうが良かったかもしれない)。
  • 個人的には完全合意条項や表明保証といった英米法由来の条項について、日本法の下でどういう扱いになるのかという分析は有用だと感じた。

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October 29, 2012

メモをいくつか

bookmark代わりのメモを若干。
  • 企業法務の漫画を書いてみるのだ!(序章)  bizlaw_styleでの連載開始(?)。司法戦隊ローレンジャーの続きも「大きなお友達」としては気になっていますが、こちらからも目が離せません。弁護士さんが業界ネタで漫画というかイラストを描くとなると、つい、中村弁護士のWebLOGを思い出してしまいました。
  • 【やる夫で学ぶ】 やる夫法務部 こんなにシリーズ化していたのに、知らなかったのを反省。公益通報者保護法のシリーズは読んでいたのですが、その後こんなに出ているとは...。ぼちぼち読みます。



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dtk1970 at 22:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

October 27, 2012

痴漢えん罪にまきこまれた憲法学者 /飯島 滋明 (著)

図書館で借りてみた。

表題にあるとおりの事件に巻き込まれた憲法学者さんが、体験記などを中心に書かれた本。

体験記の部分については、有能な弁護士さんについてもらったこともあって、運良く起訴されずに済んだようなのだが、何がその決め手になったのかわかりにくかった。個別事案についての話は、いろいろと差しさわりがあるのかもしれないが(ご自身にとってはトラウマだろうし)、個別の事実関係に即してどこの部分について、どういう弁護活動をして、起訴に持ち込まれるのを防いだのか、もっと詳しく書いてほしかったように思う。ご本人の知らないところについては担当弁護士さんからのコメントでも良かったのではなかろうか。

個人的に怖いなと思ったのは、専門の憲法なども含め法律面について十分な知識があるはずの著者のような方でも、「自白」を考えたというところだった。つまり、状況がわかっている人間でもそう思うくらいに追い込まれるわけで、追い込む側に相当な根深い問題がある(解決策についての著者の提言は個人的には頷けるところ。特に、匿名報道は強制化するのと警察・検察の担当者個人への責任追及も認めるべきなのではないか)のは否定できないだろうが、それが解消されず現存する以上、そういう目にあう可能性はあることは十分理解しないといけない。

企業の法務の立場では、自社が何らかの事件(たとえばカルテルの容疑をかけられる)に巻き込まれたような場合、役職員などに対しての事情聴取がなされる場合(自分が受ける可能性だってある)に、ともかく弁護士さんに対応をお願いするのは必須としても、そのほかに、この本に出てくるように追い込まれてやってもいない「自白」をさせられる可能性があるから、そういうことにならないよう、法律上許容される範囲でサポートしていくことが必要なのだろうと、改めて実感した。それが企業を守ることにもつながるはずなので。


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anticipation of litigation

もうちょっと調べてから、と思って、結果的に放置し続けたしまったので、調べたところまでのメモであげておく。
先日のセミナー及びこちらの本で出てきていた、アメリカにおけるDiscoveryの例外(開示義務の対象にならない:厳密な意味ではこういう言い方は適切ではないのかもしれない。「追記」を参照のこと)のanticipation of litigationについて、知らなかったのでちょっと調べてみた(googleで調べただけだけど)。

セミナーの中では、NYで認められるというコメントがあった。僕も少なくとも紙の上では、一応NY州弁護士のはずだが、知らないものは知らないわけで…(汗)。
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October 22, 2012

買い手の都合

なんだよそれ(>自分)。

さて、先日のこちらのエントリの続きではないけど、関連して思いついたことを手短にメモ。

所有権留保付きで相手に動産を売るといっても、日本法上では即時取得の問題とかがあるけど、即時取得みたいな制度がない国とかどうするのか、とか考えたところ、販売する物品について、買主側が権利について制約のない「きれいな」権利の状態で売ることを求めるような(ざっくりとした言い方ですいません)規定があったのを見たことあったを今更思い出した。そこで、googleで確かめてみた。大企業の購買約款を探せばいいはずなので、例えば「適当な企業名 procurement terms」でgoogleで検索してみたりしたわけです。
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October 21, 2012

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2012年 12月号 [雑誌]


例によって例のごとくBLJの感想。いつものごとく、気になった記事についてのみ。

個人的な一番のヒットは前号の続きの仲裁機関の選び方についての記事。ICC、AAA/ICDR、LCIAといった仲裁機関について、数値を交えた比較はあまり見たことがなかったので、特に興味深い。ICCは費用が高いという話は以前聴いたことがあったが、この記事を見ると、そう言われることに一定程度理由がある(一定の同条件で試算すると他の2機関の倍近い費用になっている)とともに、ICCは仲裁人報酬が固定のため、他の2機関がhourly rateで計算するので、案件の内容によっては必ずしもそうならないというところは、押さえておく必要がある事がわかる。結局安易に決め打ちせずに、紛争の内容等に応じてよく検討するしかないというところなのだろう。
この調子で、弁護士さんによる仲裁人の選び方についての記事、企業側の仲裁手続の経験談というあたりを希望したいところ。仲裁機関側の人でない中立的な立場からの記事で読んでみたい。
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October 20, 2012

その効果は?

拝読している総務&法務担当の部屋さんのなかなか興味深いエントリについて、ちょっと考えたことのメモ。当該エントリの内容とは離れるが…。

元のエントリのお題は所有権留保条項ということで、自社が買主でサプライヤーさんから購入する際の売買契約について、ということらしい。

売買契約においては、売主側は、債権保全の観点から、代金の完済までの所有権留保を入れておきたいと考えることがよくある。ただ、それって売主にとってどこまで有効なのか、と考えると、疑問に思えることがある。いくつか箇条書きにしてみる。
  • 所有権留保されても、取り戻して転売などができないと、取り戻す意味は半減するのではないか。取り戻すまでの間に劣化する可能性がある製品では、売ったままの梱包状態のまま取り戻したとしても意味が無いし、買主側で受取後加工するとか、材料として自社工程に投入するようなケースでは、所有権自体がなくなっている可能性もあり、そもそも取り戻せないだろう(もちろんその分不当利得請求権とか損害賠償請求権に転じているのだろうが)、仮にモノを取り戻せても、スクラップなどの有価物などとして安価にて転売可能というケースを別にすれば、一旦手をつけていると転売はし難いだろう。また、カスタムメイドで転用不可能な製品だと、手付かずの状態であっても、有価物扱いとかを別にすれば(その場合価値は半減以下だろう)、そもそも転売自体ほぼ不可能ということになる。
  • 商社が買主の場合(件のエントリでの条項例では、買主は転売することが前提のようなので、機能としては商社なのだろう)、契約上は商社経由の売買であっても、実態としては商社の売り先にメーカーから直送というケースもありうる(売主ー商社、商社ー買主の2本の契約があっても、モノの流れは売主→買主というケース)。買主側が、購買側の作業を減らす(購買に来る請求書の枚数が減る、など)ために、事務手続き上、間に商社をかませるというケースなどが考えられる。売主と商社との間で所有権留保があっても、売主から買主に直送されると、買主側は即時取得の主張が可能なはずで、そもそも所有権留保の及ぼしようがないのではないか。
そういうことを考えると、契約相手の倉庫に手付かずの状態で製品が在庫されている状態のときくらいしか、所有権留保が及ぶことはないのではないか、という気がしないでもない。もっとも、そういう間に買主が倒産などした場合には、損害賠償請求等は意味がなくなるので、現物を押さえて換価することに意味が出てくるので、倉庫に乗り込んで自社の製品を押さえてという取り付け騒ぎめいたことになって、その際の法的な根拠として、これらの条項は、契約の解除などと併用しつつ使われるのだろうし、その限りで、売主にとっては意味があるということになるのだろうか。


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October 19, 2012

カリフォルニアのサプライチェーン透明化法についてのメモ

最近調べるはめ(といっても極めてざっくりとした内容しか調べただけだが)になったので、調べたものをメモで貼っておきつつ…。

こちらとかに条文がある。

概要としては、こちらの記載によれば次のとおり(改行位置と空白を編集した)。

具体的には、カリフォルニア州で事業を行う全世界での売上高が年間1億ドルを超える小売業・製造業が適用対象となり、当該企業は、以下についての実施状況を自社のウェブサイトに掲載することが要求されている。(ウェブサイトがない企業は、消費者からの要求後30 日以内に書面にて開示が必要)
(1)サプライチェーンにおける、人身売買及び奴隷のリスクに関する評価と取り組みの審査(Verification)状況と、それが第3者によって行われたものかどうか
(2)サプライヤーの順守状況に関する監査(Audit)の実施状況と、それが独立した第3者による抜き打ちのものかどうか
(3)直接サプライヤー(Direct suppliers)への、順守状況に関する証明(Certify)の要求
(4)違反のあったサプライヤーや従業員に対する、内部基準や手続きの維持
(5)サプライチェーンマネジメントに直接かかわる社員や役員への教育


前にネタにした紛争鉱物についての件と同様な発想で規制を強化しようとしているものなのだろう。事実、こちらでは、サステナビリティに関する規制強化の一貫として、この両者を英国の贈収賄禁止法などととも取り上げている。
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October 17, 2012

BLJセミナー

何故かPHSからupできなかったので書きなおす。

愛読しているBLJの定期購読者限定セミナーに出かけた。運良く申し込めたものの、相当早期に定員に達し、あぶれた方々が近所で呑んだくれるぐらい。

ネタは企業間紛争解決の鉄則20を出された高取先生が、同書の内容を元に、書籍に書きにくいオフレコ話も含めて講演され、質疑応答の時間も含めて有意義なひとときだった。追加講演(既に定員に達したようだ)もあるのでネタバレは避けるが、契約書に限らず、内外のすべてのコミュニケーションについて、discoveryの有無に拘わらず、証拠として採用される可能性があること、は、改めて気をつけないと行けないと思った(だからすぐに何かできるとは限らないけど)。

また、BLJの定期購読者限定のセミナーは今後も継続的に行われるとのこと。次回の内容についても話があったが(書くのは避けておく)、そちらにも期待。
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October 14, 2012

ソフトウェア取引の契約ハンドブック /吉田 正夫 (著)


1989年初版1刷で、2010年初版刷というロングセラーというか古典。法律分野の本は、古典とか成り立ちにくいのではないかと思っているが、この本は例外のようだ。技術革新の動きの速いIT系の分野に関する法律書籍がここまで長寿なのには驚かされる。技術は変わっても法律上の基本的な枠組みについては変更はないという意味なのだろうか??(識者のコメントを求む)
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October 13, 2012

とりあえず

ビールじゃないぞ(意味不明)。

契約書の審査でも法律相談でも訴訟でも、とりあえず案件が来たら、キーになりそうな用語、人物については、とりあえずgoogleで検索をかけてみている。単なる興味本意なのだが、時折有用な情報が拾えたりする。このご時世それくらいのことをするのに大した手間でもないので、やってみて損はない。

検索の際に結果が多くなりそうなら、キーワードを複数、スペースを入れて検索すれば、更に絞り込みができる。正規表現とか駆使してできなくても、この程度でもそこそこ役に立っている。

もちろん、出てきた結果をそのまま鵜呑みにはできないので、精査は必要。記載が書かれた時期と、ドメイン(役所がgo.jpのドメインで出しているものは、やはり一定(それでもなお、100%ではないかもしれないが)の信頼性はあると思う)、筆者がわかればその素性(記載内容に対する習熟度合い)、という辺りを最低限押さえるようにはしている。


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October 11, 2012

ルールの費用対効果

今日は、例によって例のごとく、いつもの某勉強会で、例によって「濃い」内容で、いろんな意味で示唆に富んでいたのですが、その中の一つの点に関連して思うことをメモ。いつもに増して抽象度が高い書き方ですいません。

上記の勉強会で出た内容に限らないのですが、最近あちこちで、ルールを守るため、というかあるべきルールから逸脱した状態を是正するための費用対効果ということを考えます。極端な例を挙げると、100円払うべきルールになっているところ、95円しか払ってないから、ルールからすれば違反は違反だけど、違反を是正するために5円+α(遅延利息とか)を払うのに、仮にアルファが2円だったとして、それを受け取る側の事務手間に25円かかると、違反の被害者はそもそももらえない上に、更に実害が出る、みたいな議論になりかねないわけでそんなルールの執行の仕方でいいのか、ということ。

ここでいうルールとは、典型は取締法規なんだろうけど、それに限る意図ではない。

ルールの執行だけに限った話ではなく、ルールそれ自体についてもその種の議論はあり得るはずで、例えば、ごく一部の不心得者のために、規制を厳しくするのはいいけど、それによる負担増を規制を守っている人たちに強いることになるのは、どうなんだろうというところ。

きっとローエコな方々からすれば、ルールそれ自体についても、執行の面についても、あっさり「答え」が出るのかもしれないけど、その辺について無知なので、とりあえず今のところは割り切れない気分が残る。


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October 05, 2012

労働事件 使用者のための“反論”マニュアル―紛争類型別/弁護士法人Martial Arts (著)


本屋で見かけて、弁護士法人Martial Artsって、何か武闘派っぽいよね...と思いつつ購入。

多種多様な労務トラブルに際して、それぞれの紛争類型ごとに、企業の担当者が法的知識が十分でない可能性も踏まえて、まず法的な議論を整理したうえで、労働者側から出てくるであろう主張に対して、反論手段としてどういうものがあり得て、その反論を裏付けるための証拠として何を用意すべきか、表にしてまとめている。

企業側では労働審判では特に迅速な対応が要求されるところ(申し立てから40日以内に第1回審判があり、実質そこでの一発勝負になる)、この種の本があると、First-Aid kitとして、取り急ぎまず用意すべき資料について、迅速に準備ができ、かつ、準備の抜け・漏れを防ぐことができるようになるので、よいのではないかと思う。何かあった時に備えて、手元においておく価値はある、というところだろう。


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October 04, 2012

企業間紛争解決の鉄則20 /高取芳宏 (著)


国をまたいだ取引紛争に関わって来られた経験豊富な訴訟弁護士・仲裁人の著者が、経験則に基づく「思い切った独断」を「鉄則」としてまとめたもの。紛争予防、紛争解決手段の選択、紛争遂行の3つの段階に分けて論じている。架空の(それでいて、紛争前の対応の中途半端さも含めて、ありそうな)設例に対して、「鉄則」を当てはめた場合の帰結についても論じられているので、「鉄則」が上滑りする感じもなくて、興味深く読むことができた。企業の法務の方々なら一度は読んでおいて損はないと思う。
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September 30, 2012

最近の何だか(2012/9月終わり)

1/2というか3/4が終わったというところで箇条書きで。
  • 社内で顔が売れてきたのか、種々雑多なご相談をいただくようになってきた。面白くなってきたとも言えなくもない。
  • 某案件で某大手弁護士事務所に相談に行く。土地勘のない案件だったので、相談に行ったのだけど、蓋を開けてみれば、特別法上の議論はあまり関係なく(その辺がよくわからなかった)、フツーに民法上の議論で対応可能というアドバイスだった。まあ、土地勘のないエリアだったのでしかたがないのだが、何か悔しい。
  • 某案件でのメールのやりとりで、苛立ったこともあり、ついキツ目の口調でメールを返してしまって反省。それぞれに制約要因があるなかでやっているということを忘れてはならない。
  • 来年度に向けての準備があちこちで始まる。はじめてのことなので興味深い。



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September 29, 2012

もし最高裁が民法900条4号ただし書の違憲判決を出したら(東大ローレビュー)

東京大学法科大学院ローレビューの第7巻が出た。で、その中の論文の一つがこれ。著者は、現役判事にして、同校で客員准教授ということで、講義もされている。

タイトルを見た時点で、個人的には、判事の方が、実際の事件ではないとしても、判決について、「もし」という形で記事を書かれている点で、こういうことをしても、裁判所の中で問題にならないのだろうか、と、変なところがまず気になったが、個別の事案に関する話ではないので、大丈夫ということなのだろう。

内容自体は、表題のような事態が起きた場合に、判決(厳密には決定だろうとのことだが)対象の事案以外において何が起こるか、違憲判決が出た後の他の事件(過去のものも含め)に対する影響、処理の仕方について検討されている。まあ、相続という生々しくドロドロした分野に直結する条文が対象になっているから特に、なのかもしれないけど、裁判官の視点を垣間見ることができたような気がして、興味深かった。自分が関与している事案以外についてまで、関心は持たないのが通常なので、何だか新鮮な気分。


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