キャリアアップのための 知財実務のセオリー ―技術を権利化する戦略と実行― Practice of IP for career Dev. (ビジネスセオリー) / 岩永 利彦 (著)遅れ馳せのお返事をー司法試験・商法H29,30について

March 24, 2019

Business Law Journal 5月号



BLJの記事の感想を幾つかメモ。下書きモードでつぶやいたことやこちらの呟きへのレスポンスを基に。レスポンスをいただいた方にはお礼を申し上げる次第(なお,以下の内容の文責はこちらのみにあるのはいうまでもない)。

特集は債権法改正を踏まえた契約雛形の見直し。
大事務所の先生方の解説は,施行が近づいてきたからか,経過措置への言及が目立った印象。あと,契約不適合の扱いについての規定案が複数の記事で言及されていて,先生ごとの規定ぶりの差異も興味深い。
仕様書の精緻化が重要という指摘をされている先生が起案された条項案において,仕様書との合致について言及がないというのは?というところは疑問が残った。別の先生の案では言及があったので気になった。あと,仕様書の精緻化って何をするの?というところも疑問。この辺りは企業内で対応だろうから,外の事務所の先生には解説が難しいのかもしれない。この点,企業担当者の座談会でも,仕様書の記載の充実についての言及があるのは,上記とも符合していて,なるほどと思うところ。
とはいえ,それを企業内で誰がどのようにやるのか,ということを考え始めると簡単ではない(だからTLでレスポンスをいただいたのかもしれないけど)。商品役務やそれに関する技術についての知識が法務担当の持っているものでは足りない可能性もあり得るだろう。特に最近の流動化もあって,生え抜きでなく,かつ,法務部門しか経験のない法務担当者では,覚束ないというのが正直なところではないか。また,そもそも商品役務等が多く,仕様書の種類も多ければ,人的資源の面で対応しきれないというところもあろう。
そういう意味では,仕様書の内容の詳細について知見のある部署(品質管理などの部門になろうか)が法務部門とともにチェックする前提で,当該商品役務について,事業上での責任を負う事業部門が起案する,法務部門や品質管理部門は,研修や雛形の準備などにより,事業部門(所謂現場という範囲で考えるべきか,というと個人的には事業部門の上まで含めて考えるべきと思うが)が起案できるように,サポートする,というような役割分担が相応なのかもしれない。社内の役割分担は外部からはわかりにくく言葉にしにくいように思うが,上記の限度のことくらいは言えるような気がする。


長くなったので,残りについては箇条書きで,順不同でメモ
  • BLJ独禁法の道標。私的なenforcementの側面のまとめとして個人的には有益だった。このあたり,司法試験の選択科目として勉強したときには,スルー気味だったので。特に証拠収集の手段のあたりは,証拠の偏在に対して,どこまでのことができるのか,という辺りが興味深かった。
  • DeNAの一連の事件についての記事は,今回は,当該会社をdisるだけになっている感もあるが,次回以降に話が続くみたいなので,様子見かと。
  • 成年年齢の引き下げの記事は,そういう改正があること自体忘れていたので,内容の詳細に初めて接し,単純な年齢の引き下げではないことに気づく(汗)とともに,実務対応上のポイントの指摘になるほどと頷く。消費者契約法H30年改正も知らなかった(汗)。
  • ハーレム教授の英文契約書応用講座。映画輸出ライセンス契約の話は興味深いけど,その種の契約を見る機会のある人ってどれくらいいるんだろうという疑問は感じないではない。
  • リコール対策のオーストラリア編は制度紹介それ自体興味深い(時間制限が厳格なのは大変そう)けど,運用実態も踏まえた相場観とかがないと,過剰対応になりそう。その辺りは,今が連載第1部だけど,第2部で対応されるのだろうか?
  • SNSについての人事労務/リスク管理の記事は,公式アカウントの運用については,ここまでやればそりゃ安全にはなるかもしれんけど,きっと面白くもなんともないアカウントにしかならんよなという感想。著者のお二方は,あまりSNSを利用したことなく,特に発信側に回ったことはないんだろうなと感じた。


このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 21:30│Comments(0)雑誌 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
キャリアアップのための 知財実務のセオリー ―技術を権利化する戦略と実行― Practice of IP for career Dev. (ビジネスセオリー) / 岩永 利彦 (著)遅れ馳せのお返事をー司法試験・商法H29,30について