February 24, 2019
Business Law Journal 4月号
BLJの感想を箇条書きでメモ。下書きモードでつぶやいたことを基に。
第1特集について:
- 冒頭の戦略参謀になれという記事は,反論しづらい位ご説ごもっともな感じ。特に事後に勉強会をやってというのは,素晴らしい。でも,他方で,会社全体がM&A慣れしているところでないと,いろんな意味で相当大変なことになるだろうし,法務側についても,M&A対応に割けるリソースがどこまであるのかを考えずにやろうとしても,大変なので,こういうことが言えるだけの前提条件の確認は必須だよな…と思うのでありました。
- 特集の題名から執筆を予想した人の多かった(僕もそうだけど)柴田先生の記事は,手堅いとは思うものの,新味に欠ける感もあって,先生もご多忙なんだろうなと謎の感慨を抱いたのでありました。
- 法務DDのメリハリの付け方については,なるほどというところ。個人的には,DDが限定的な場合には,いきなり合併せずに,一旦子会社化して,対象会社に問題がないか確認すべき,という指摘がよかった。その辺りで,困った経験がないではないので。
- PMIの進め方は,こちらが経験した範囲から考えると,総論としてはなるほど,というところ。もっとも各論レベルでは色々あるだろうけど。各論レベルではIT(システム統合とか)や労務(労働条件のすり合わせ)とかが大変な気がした。
- 企業の担当者のコメントも,大半は,外部弁護士としてM&Aの経験のあるインハウスの話で(第2特集の内容とも関係して,事務所からインハウスへという人の流れを受けてのことなのだろうけど),そういう方々は,それまでの知見でカバーできる部分がある反面,そういう経験のない人がやる場合にどうするかという話があまりないのは,寂しいところ。
第1特集以外の記事について:
- 第2特集は,まあTLとか某N先生とかの話を聴いたことがあれば,まあ,そんなもんだろうね,と思う。有資格者が事務所から企業に流れているという現状と,企業内での法務系の上の方のポストが少ないことからすれば。
- 毎度恒例の無双様のブックレビューは,「残業代請求に詳しくない人」の定義について,凡百の衆生とは異なる独自の定義に目眩を感じるのは,いつものこととして,俎上に上がっている書籍の有用性と限界,比較対象となった本といずれを手にすべきか,の検討が興味深い。残業代請求について何も知らない当方にとっては参考になる。
- ニトリの法務の話は,法務の中途採用でも現場経験を必須としているみたいなところが印象的。企業のビジネススタイルからすれば,さもありなんというところ。ただ,こういう方々を受け入れる現場側がどう思っているのかは訊いてみたいような気がする。
- ハーレム教授の英文契約書応用講座は,映画輸出ビジネスについての話が興味深いが,こっそり入っている商社disめいたやりとりをどう理解したものか,やや悩む。
- 独禁法の道標は,競争法の道標とすべきでは?独禁法の話ではないから。景表法などの原産地表示の話は,仕事で扱ったことがないので興味深い。景表法や関税法以外にも適用される法律が物によってはあるので,そこまでの注意が必要というのは留意すべき点なのだろう。
- ESGの話は,読んでいると,似たような発想でそれでいて微妙に異なる規制が,複数のレイヤーで重なることで,結果的に企業側の負担が増して誰得な結果(得するのは外部の弁護士等の士業だけ?)になるのではないかと懸念。
- 取引先・顧客からのセクハラ対応の記事は,まあ,法律論からすればそうなるんだろうなとは思うけど,法律論以外の部分の対応をどうするか,はきっと悩ましい。とはいえ,表に出てきづらいだろうけど。その点は,BLJならではの情報収集力で,匿名条件で実例を聞き出して欲しいところだけど…(こういうところに限らず,同誌らいしいエッジの効いた何かを久しく見た気がしないので,ぜひ見せて欲しいところではある)。
dtk1970 at 21:00│Comments(0)│雑誌