わかりやすい米国民事訴訟の実務 / 関戸 麦 (著), 高宮 雄介 (著), 森田 茉莉子 (著), 片桐 大 (著)2018年を振り返って

December 29, 2018

英文契約書レビューに役立つ アメリカ契約実務の基礎 /石原 坦 (編著)



買う・読む機会を逃していたのだが,先日ブックオフで見つけて捕獲して読んだもの。僕は,レクシスネクシス版を購入したが,今では第一法規で出版されているので,上記のリンクは第一法規の方に張ってある(なお,第一法規版との内容の差異は確認していない)。

英文契約書が,いわゆるグローバルスタンダードとなっているのは否定しがたいので,英文契約についての書籍が,その前提,つまり,特定の法域での法適用を必ずしも前提とせずに書かれることもあるが,本書はそれとは異なり,アメリカ法の下での英文契約の検討の実務に資する法律の解説をしている。USでLLMを修了された先生方のコラムも,実務の参考になるとともに,同様のコースを目指す方の参考になるだろう(個人的には,NY州の資格を取るためのプロセスの情報について,僕の頃よりも遥かに手間がかかる形になっている点が印象的だった)。

コンパクトな分量で,上記の範囲で,重要度の高い点を解説した本であり,網羅的ではないものの,出てくる頻度の多い点の解説になっているので,アメリカ法下での英文契約の検討をする上では,手元にあると有用と感じた。元はデータベース上の連載ということもあって,個々の章は読みやすくまとまっている。UCCの条文の摘示や,判例(裁判例)の摘示が細かくなされていて,必要に応じて原典まで辿りやすいことも有用度を上げていると思う。

個人的に一番印象に残ったのは,best efffortについてのNY州法下での規律についての解説。具体的基準がないと,best effort義務の違反を問えないことがある(むしろ問えるほうが例外的)というのを不勉強で知らなかったので(まあNY州法を準拠法とする契約を厳密にレビューした経験自体が多くないけど:勤めていたUS企業はNY州法ベースで雛形作っていなかったし(汗)),なるほど,と思った次第。
(解説の直接の題材はこちら,だが基準を明確に要求しているのは,こちらで,先の裁判例でも引かれてている)

もう一つ印象に残ったのは,FCPA違反防止のための契約上の手当てについての解説。FCPAの概要のまとめがコンパクトでわかりやすかったのと,手当として書かれているものが,勤めていたUSの企業で講じられていたのと方向性として同じだったので,なるほど,と思ったのだった。

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dtk1970 at 23:59│Comments(0)書籍 | 契約法務

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わかりやすい米国民事訴訟の実務 / 関戸 麦 (著), 高宮 雄介 (著), 森田 茉莉子 (著), 片桐 大 (著)2018年を振り返って