法学の誕生:近代日本にとって「法」とは何であったか / 内田 貴 (著)そのわけは?

May 10, 2018

はやさの意味

修習絡みのネタは迂闊に書きづらいし,時事ネタには反応しないのを旨としているので,購入した書籍類の紹介・そのうちの読んだものの感想のエントリが多くなりがちだが,某件については,色々感じるところがあったので,若干のメモを。

(以下については,業界によって事情が異なるところがあるかもしれないので,こちらの経験した範囲に基づく感想であることをあらかじめ断っておく)









萬鯖氏*1周辺主導の某企画*2を見て,思ったこと…。

契約書の締結を急がされるというのは,法務担当者としては誰でも経験するところだろうと思う。なので,急いで出来るものなら急げたほうがいい,ような気もしないでもない。

しかし,常にそうなの?,とも思わないでもない。

  • まず,急ぎでする理由とは?と思う。理由は色々あるのだろう。お偉いさん出席の調印式があるようなケースはさすがに急がないとマズイのだろう。とはいえ,保証とかのような類型の契約を除き,諾成契約であれば,契約内容の書面化はあくまでも立証の問題に過ぎないはず。ならば,書面化していないことにより合意内容が事後的に明確にならないかもしれないというリスクを甘受すれば,口頭レベルでの合意があるのならば,無理に急がなくても当該契約に基づき事業部門がやりたいことを始めるということは考えられないのだろうか?合意している内容をメールでやり取りしておくことでも一定程度の証拠たり得るのだから,契約書という形で書面化していない限り何も出来ない,という姿勢があるのならば,そちらのほうが寧ろ問題ではないのか。仮に,内部統制とかが理由というのであれば,その統制のルールの方の調整をすべきなのではないか。
  • 人間のすることなので,急ぎにすると,どうしても,アラが出る可能性も残る。事業部門のペースに乗せられて,本来であれば確認すべきものが確認できないままに,締結してしまう可能性も排除しきれない。時間制約がキツすぎて,不十分な内容になるよりも,時間を十分にかけて(もちろん,だらけてよいという意味ではない),充分な内容の書面にすることを選ぶべきではないのか。
  • 急ぐことだけが自社の立場を有利にするのか,ということも疑問。時間を人質に取るような交渉戦略も時として考えられるのに,急ぐことのみに焦点が当たりすぎるのも,理解の仕方として歪なのではなかろうか。この辺は,現物のロジスティックとかの絡む度合いの少ない業種とそうでない業種とで感度が分かれるところかもしれないが。
  • かの企画について,某所で実戦でホームランが打てればバッティングセンターでも打てる,という趣旨の呟きをみたけど,その例えに倣えば,ブルペンエースであることを唱導しているかのような動きにも感じて,懸念を覚える次第。
  • NDAについて競争というのもどうなの,という気がしないでもないが,業種問わず聴衆を集めてとなると,業種問わず接点のある契約類型のほうが望ましいだろうから,ここは仕方がないのかも知れない。あと,NDAよりもさらに複雑なものだと準備が大変だろうし…。


…メディア等の方々とは異なり,熱狂とは距離を置くのが,法務としての本分ではないかとも感じたので,老害とか言われそうだけど,疑問に思ったことをメモしておく次第。






*1 そういえば,氏は,結局予備試験は受けている(準備中も含め)のだろうか?それとも,結局は「逃げた」の?という素朴な疑問も感じるところ。まあ,どうしても,やらなきゃいかんという感じもしないけど。
*2 所詮某企業の集客イベントなんだから,目くじらを立てるのは大人気ないという気もしないではない。企画力には敬意を示すべきだろうと思うので,イベント自体をdisる気はあまりないことを付言しておく。


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dtk1970 at 00:00│Comments(0)契約法務 

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