大田黒公園の紅葉リアクション芸人風のポエムのようなもの,その2(謎)ーその先はどこへ?

December 09, 2017

リアクション芸人風のポエムのようなもの(謎)ーそれって必携?

何だかよくわからんタイトルですいません。

さて,先般のこちらの某エントリについては,思いの外反響があって,やや驚きました。ポエム扱いされたのは,ポエムというのがどういう意味かはさておき,やや心外(どっちかというとアジビラだなとは思っていたのですが…)だったし,途中で表現を穏やか目に変えたところは,逆効果だったところもあって,これまた微妙な感じでしたが…

と,いうようなことを言いたいのではなく,昨今見聞きしたものの中で,リアクションをしておくべきかと思ったものがあったので,エントリにする次第。今回のエントリについては,まあ,ポエム扱いされてもあえて文句は言いませんけどね(謎)。

#up後に文章を少しいじった。


一つ目は,マンサバ氏のこちらのエントリについて。この種の情報はなかなか書き難く,それを敢えて書かれた氏に敬意を表するとともに,他方で,必携本に関する記載及び関連する呟きについては,意見を異にするので,その旨表明しようかと思った次第。

特に,潮見森,については,何より気軽に買える値段でもなく,この値段で必携というのは無理ゲー感があるように感じます。そして,債権総論のみの本であるし,それのみを必携というところにも違和感を覚えるところ。それより先に契約法全般についての書籍が手元にあるべきでは?と感じるわけです。総論以外はコンメンタール(これだって気軽に買える値段ではないので,前述と同じ感想を抱くところ)で,というのは,議論として乱暴すぎないかと思うのです。

また,潮見森については,まえがきの著者の言葉に次のようにある(コピペできなかったので手打ちで失礼)。
もとより,本書においては,新法を平板に解説するのではなく,みずからの見方を前面に押し出している。
とすると,潮見説全開なわけで,それに依拠していいのかという疑問も抱くところ。所詮一学説なわけですからね。

確かに,新法について,かなり詳細な説明がなされているところは,頼るべき書籍と理解するのも,理解できなくはない。しかし,上記のように問題もあるし,何より,そもそも新法についてそこまで紐解かないと判断ができない問題がどこまであるのかというと,これも分野によるだろうが,それほど多くないのではないかと感じます。そう考えると,この森を必携とするのは,バランスの悪い選択ではないか,という気がするわけです。寧ろ中田契約法あたりの方が無難ではないかと感じるところです(僕自身は,まだ買っても読んでもいないが,書店でパラパラ見た限りでは無難そうという印象)。

さらに,マンサバ氏の呟きで,中田契約法との比較もされていますが,カバーする範囲も,用途も異なるし,紙幅も異なるのに,ことさらに引用とかの量や内容(学習用ということが視野に入っているのと,そもそも視野に入っていないのとでは,引用のありようも異なるわけで…)を比較して論じるのは,両者に対して不当な結果にならないかという気もします。

そんなこんなで,こちらとしては,必携とすべきは,森よりも,寧ろ,契約法全般をカバーする中田契約法ではないかと感じる次第です。

その他の書籍についても,コンメンタールはあるには越したことはないが,値段を考えると,必携とまでいうのは無理があるのではないかと感じます(こちらも持ってません)。
また,典型的な契約類型についての書式に関しては,やはり何らかの書式集が一冊手元にあるべきかと思う。今手に入るものとしては,日本法ベースで考えると,阿部・井窪・片山本あたりが無難なのだろう。こちらは,僕の手元にあるのものの,通読などはしていないが,堅実な印象。
ドラフティングについては,田中本は,契約書以外の記載もあるし,難易度も高いので,契約書により特化した,「ビジネス契約書の起案・検討のしかた―リスク・マネージメントの道具としての」/原秋彦という方が,とっつきやすくて良いのではないかと感じる。
要件事実については,特にゼロから独学するという意味では,岡口Jの入門くらいしか適切な本がないように思う。ただ,岡口説については,その理由はよくわからないけど,批判が強いことにも留意は必要かもしれない(修習でも言われました…)。
訴訟との関係で中村先生の本というのは,あの本自体はいい本だと思うけど,そういう用途で読んでも,指摘されている効用が得られるかどうかは疑問。
基礎的な部分については,我妻先生の本というのは,読んでないのでなんとも言えないけど,我妻本は必ずしも悪くはないのだろう。


・・・他にもリアクションすべき点はあるが,長くなったので,エントリを別にしようと思う。

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dtk1970 at 12:00│Comments(10)法務その他 

この記事へのコメント

1. Posted by はっしー   December 10, 2017 07:50
当方ブログエントリへの言及ありがとうございました。
当該エントリの趣旨は、田中本を中心とし、その前後周囲にどのような本を配置して契約法務を学ぶべきか、という趣旨のエントリであることはご理解いただけていると思います(ヘタにナンバリングしてしまったのでそう見えなかったとおっしゃられるかもしれませんが、どの順番で読むかも慎重に検討した結果です)なので、バランスのちょうどいい本はどれか、といったことは念頭に置いておりませんでした。(つづく)
2. Posted by はっしー   December 10, 2017 07:51
その前提で、田中本の引用部を再度ご覧いただきたいのですが、

「法律問題には「成熟度」があります。一つの紛争に複数の法律問題が含まれていることはよくあります。(中略)法律問題の成熟度を知るための最もオーソドックスな方法は、その解釈適用が争点となっている制定法のコンメンタール(注釈民法、注釈刑法、注解民事訴訟法等)に当たることです。コンメンタールは、法律実務家のする文献調査の起点であるといってよいでしょう。」
「筆者も、毎日の実務の中で体系書と呼ばれる教科書を随時ひもとくばかりか、時には準備書面、法律意見書等に引用することすらあります。しかし、紛争において解決を要請される法律問題が先端性、専門性、国際性を帯びれば帯びるほど、法律実務家のする文献調査がこれで終点になることはありません。コンメンタールを文献調査の起点であるとしますと、教科書又は参考書は起点以前というべきであるのかもしれません。」(つづく)
3. Posted by はっしー   December 10, 2017 07:52
つまり、コンメンタールをひもとくことが基本、と田中先生はおっしゃっています。そこで(あまりに非現実的な『注釈民法』の代替として)我妻有泉コンメを推奨しているわけですが、新法コンメがない今、「我妻有泉コンメのレベルで文献調査の起点となりうる新法書籍はどれか」が選定条件となります。
この点、ご指摘の中田『契約法』は、田中先生のいう「体系書と呼ばれる教科書」の部類に属するもので(田中先生の「教科書」の詳細定義は同書に記載ありますのでご確認いただければと)はありますが、部会資料や中間試案へのリファレンスが一部にしかなく、その他引用文献の少なさも相まって、田中先生のいう「文献調査の起点」とはならないと考えました。そこで、コンメの補充としてその“リファレンス充実要件”を充たしている潮見森を推薦した次第です。(つづく)
4. Posted by はっしー   December 10, 2017 07:52
なお、「債権総論のみの本であるし,それのみを必携というところにも違和感」のご指摘については、潮見森の「契約各論」が未発売であるため、発売されれば購入すべき、とのエントリ記載のとおりです。新法に対応している潮見イエローこと「債権各論Ⅰ」の推薦も検討しましたが、こちらはリファレンスが不足しており、田中先生の条件を充たしていませんでしたので。

田中本頼みの稚拙なエントリといわれればそのとおりなのですが(すみません)、契約法務を深めたいと思っている若い人達にそれなりの信頼性のある書籍をベースに何か具体案提案したいと思い、このようなエントリとしました。

以上、長くなりましたが小生検討経緯を補足説明させていただきました。引き続きご指導よろしくお願いいたします。
5. Posted by dtk   December 10, 2017 17:41
丁寧な補足説明ありがとうございます。

 なるほど,リサーチ前提に書籍を揃えるということと理解するのですが,そもそもご指摘のようなリサーチを自前で行う必要が生じる蓋然性はどの程度でしょう?仮に,立法経緯にいたるまでの詳細な調査を要するとしても,それを内製でする必然性は?そこまで手間のかかる作業を法務スタッフ側が自力で行い,かつ,行える体制を維持する必然性が高いのかどうかも正直疑問に思います。そこまでの費用負担が費用対効果の面で正当化されるのでしょうか。必要の都度外注するほうが費用対効果の面で優れていないでしょうか?個人的な経験の範囲では,そこまでのリサーチを業務上行う必然性はそこまで高くないというところです(この辺は業界によるところがあるでしょう。ちなみに,僕自身はそこまでのことはやったことはないです)。
 そして,仮にリサーチを行うとしても,ご指摘の田中本での記載にも,教科書,基本書も紐解く,とある以上,まずは,教科書,基本書が手元にあるべきでしょう。その点,元のエントリでは,教科書,基本書が手元にあることが前提になっているのか,必ずしも明瞭でなく,前提となっていないようにも見受けます。なので,その辺を抜きにして,いきなり,森とかコンメンタールを必携とするのであれば,それについては,優先順位の付けたがいびつではないかという違和感が拭いきれないところです。
 さらにリサーチ用途に,教科書,基本書を超えて詳細な体系書を手元に置くとしても,潮見説の森のみに依拠することについて,疑義があることについては先に述べたとおりです。
 以上からすれば,ご説明に拘らず,必携,の名の下にリストアップした書籍としては,当初感じたバランスが良くないという違和感は,なお残るように思います。

ではまた。
6. Posted by はっしー   December 10, 2017 19:54
ご質問をいただいた部分について、

>ご指摘のようなリサーチを自前で行う必要が生じる蓋然性はどの程度でしょう?

なにぜ新法の施行がこれからですので、今すぐ・頻度高く、ということではもちろんないと思います。

しかしながら、早速ではありますが、先日も(準)委任契約を検討する際、まさにそのリサーチの機会がありました。(準)委任契約ですから善管注意義務を規定するわけですが、そこで「そういえば新法で条文変わったんだよな」とひもといたところ、ご存知の「契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」の文言が追加されていることを確認し、この文言の立法経緯と解釈を自身で調査する必要を感じました(さすがに善管注意義務という基本的なワードについてのリサーチを外部に委託する発想はありませんでした)。他書ではこの点について詳細な言及はありませんでしたが、潮見森には(dtkさんご懸念のとおり潮見先生の個人的感情は多分に込められていましたが苦笑)、立法経緯とあわせ、旧法・新法での善管注意義務の対比および解釈上の注意点が述べられています。検討の結果、当該契約のワーディングを変えるまでの必要はないと判断したものの、新法における善管注意義務の文言の取り扱いについて、問題意識を新たにもつことになりました。(つづく)
7. Posted by はっしー   December 10, 2017 19:54
なお、私も正直なところ潮見森までいるのかな?と思っていた一人だったのですが、BLJ2017年7月でのronnor先生のコメント「改正民法を正確に理解しようとする場合(略)には、最低でも部会資料を参照しながら、適宜、議事録等の資料を参照して検討することが求められる。そして、これらを読み解くには、指針となる書籍が欠かせない。この観点でいえば、「潮見 3 部作」と私が勝手に呼んでいる潮見佳男『新債権総論Ⅰ』、同『新債権総論Ⅱ』そして同『基本講義債権各論Ⅰ』を使わなければならないと思われる」、のコメントにも感化された点は否めません。

とはいえ、たしかに、我妻・有泉のようなハンディなコンメンタールの定番本が出た後はそれでほとんどのリサーチや確認は済むと思われ、潮見森までを参照する頻度は低くなると思います。出版社いわく我妻有泉の新版が来年4月ごろに出るようですので、その出来次第で参照頻度は下がる可能性は高いと思います。(つづく)
8. Posted by はっしー   December 10, 2017 19:57
>元のエントリでは,教科書,基本書が手元にあることが前提になっているのか,必ずしも明瞭でなく,前提となっていないようにも見受けます。

この点のご指摘はその通りです。もちろんあったほうがベターという考えですが、田中本を読めて、契約法務を深めたいと考えている経験3年程度の法務パーソンのレベル感に合わせていました。その意味では、ronnor先生の受け売りになってしまいますがやはり基本講義『債権各論Ⅰ』が手ごろな書籍と考えています。ただし中田同様総則部分がカバーされていない問題はあります。

>潮見説の森のみに依拠することについて,疑義がある

この点は、業界によってはそうなのかもしれませんが(苦笑)、私が潮見森を拝読している限りは、他説にまったく言及なく自説のみを述べるというほどの乱暴さは見られません。ただ、学説をすべて網羅して理解しているものではないので、必要に応じ他書も参照するなどして気を付けます。
9. Posted by 経文緯武   December 10, 2017 23:24
横から失礼します。
現時点で簡単な概説を超えて、改正法の趣旨を調べようというのであれば、まずは法制審の部会資料(あるいは第3ステージでそれほど変更がないのであれば中間試案補足説明)を参照し、それで分からなかければ部会議事録を参照する、というのが望ましいリサーチではないでしょうか。そのうえで、潮見本が、法制審の議論を客観的に要約しているのか、あるいは自説を中心に述べているのか(少なくとも潮見先生は、議論を踏まえ自説を展開されるという趣旨で執筆されていることは前書きに明らか)読者が判断すれば良いことだと思います。
引用されているronnor氏の趣旨も、部会資料、議事録の理解のために潮見三部作を活用するということであって、実務上のリサーチに潮見本(のみ)を参照するということではないと思います。
10. Posted by dtk   December 11, 2017 00:29
お二方,コメントありがとうございます。
確かに経文緯武さんのおっしゃるように,部会資料等が公開されている以上,まずは,そちらを当たるべきですよね。この辺,こちらが司法試験とかでキャッチアップが十分できていなかったので,失念しておりました。ご指摘ありがとうございます。
そのうえで,リサーチツールとして経文緯武さんのおっしゃる用途で潮見本を使うとしても,リサーチの頻度と潮見本の値段に鑑みれば,基本書などよりも優先して,必携と扱うのは,優先順位の付け方として適切ではないのではないのではないかと感じるところです。基本書などを必携とした上で,上記のような意味でのリサーチの頻度・必要性が高い人のみ揃えれば足りると思うからです。そういう人がそうそう居るのかどうか,むしろ,無料で公開している会議録等まであたれば足りるという人が大半なのではないかと思うからです。必携というからには,バランスとか,全体としてのリーズナブルさ加減も無視できないと考えるから,ではありますが。

ではまた

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