こちらの記事を発端として、先般、twitter上で興味深いやり取りがあったところ。togetterとかでまとめようかとも思ったけど、面倒なうえ、他人様のつぶやき等を勝手にまとめるのもなんだか躊躇われたのと、補足をしたほうが良さそうなところもあるような気がしたので、自分の言葉でエントリにしようかと。
#2017/6/11ちょっと加筆した。

サプライチェーンの途中にいる業者の立場で、自社のサプライヤーからの供給が、当該サプライヤー起因の何らかのトラブルにより遅れる、止まる、または、供給内容に欠陥などが生じた場合にどうするか。そういう事態にいたる理由は様々でありうるとしても、自社としてはどうすべきか。そういった辺りに、ついて、ざっくりとメモにしてみようかと思う。







1.当座の措置

まず考えるべきは、自社の供給義務への影響であろう。自社側での対応のみで吸収できる話であれば、そもそもそんなに大騒ぎをする必要はないのかもしれないが、自社の供給義務に影響が出る場合、つまり、自社の供給義務の履行に遅延、中断、欠陥(瑕疵)などが生じる場合には、それに対する対応が必要となる。

そもそも、自社の顧客との契約上、顧客に対する通知義務がある場合がある。顧客側でもその先に対する対応の要否が問題になり得る以上、当然のことかもしれない。その場合、通知をしないことが、自社の契約上の債務不履行となるので、契約上所定の事項についての通知が必要となる。その場合、契約上規定されている、いないにかかわらず、善後策も含めての通知が出来たほうが良いが、善後策の策定の遅れにより、通知が遅れる場合は、それが契約上許容されるかを考えることになるのだろう。許容されなければ、まず知る限りの事態につき、通知することとなろうか。
その意味で、まずは法務としては契約上の規定に照らして、何をすべきか確認すべきなのだろう。その際には、事後的な求償問題が生じることも想定して、起こりうるシナリオを想定して、その時点で可能な対策を検討することをしたほうがよいのではなかろうか。

また、通知と並行して、実務的な当座の対応などを考える必要がある。その際、当該事態に至った原因次第では、契約上の不可抗力条項の適用の余地があるかもしれない。この点の確認を怠らないのが法務としては重要かもしれない。対応としては、自社の生産計画上での調整や、別のサプライヤーから代替品を調達により、対応可能であれば、そういう対応をすることもあるだろう。

さらに、場合によっては、行政への届出義務が生じるようなことがあるかもしれない(消安法の問題が生じる場合とか)。その場合はそちらの対応も遺漏なきようにする必要がある。この辺の要否の判断及び必要と判断された場合のケア(適時に十分な報告等がなされるようにする)は法務の役割となろうか。
 
2.その後の措置

不具合事象の場合の原因究明とかはこちらになるのだろう。原因究明とかは、当のサプライヤー自身が、行うのだろうが、場合によっては、自社からの支援が必要になるかもしれない。自社の顧客への報告などの関係で、サプライヤー任せにできない場合もあるだろうし、少なくともサプライヤーでの調査の進捗などについては、モニタリングが必要になるのだろう。

ここまでの一連の措置を遺漏なく、適時に行うには、問題のサプライヤー自身の努力及びこちらとの協力が必要となる。技術面(知財的な側面も含め)や資源面などで、自社では対応できず、問題となったサプライヤーでなければできないことが、存在する可能性があることは、ある程度仕事をした経験があれば想像に難くないはず。
こうしたことを考えれば、まず問題のあるサプライヤーを「切る」というのは、およそありえない、ということになるように思う。
また、1.の部分の前提として、自社とサプライヤーとの契約約款上、この種の事態が生じうる場合に、通知義務を課しておくことが望ましいのだろう。

3.求償関係など
一通りのことが終わったところで、対応に要した費用などの問題となる。このあたりは最後の最後、という感じになろうか。まずは契約に基づく対応ということになるのだろう。
とはいえ、冒頭にリンクを張ったエントリにあるように、そんなに簡単な話ではない。複数の製品の供給などにつき、継続的な関係を持っている相手については、「切る」場合のインパクト及び代替措置が遺漏なく行えるようfeasibility studyをする必要があるし、契約上、4M変更に当たる場合は自社の供給先(またはその先)の承認なしに「切る」ことが出来ない場合も生じうる。また、「切った」場合でも、事後的に既に供給した製品についての情報提供・技術協力(不良解析等)につき、協力を求めたい場合が出てくるかもしれない。そこで、求償云々について検討する場合には、その辺りのことすべてを視野に入れて動く必要があるのだろう。

なお、求償等については、知財側面からの次の2つのエントリをご覧あれ
  • 供給元にどうやって要求するか|Indemnificationの実際

…と、疲れたのでこの辺で終わり。まあ、書こうと思ったことは書いたのでいいか。