今更ながら、感想をメモ。

後半部分はBLJでの連載が基になっていて、当該連載を楽しみに読んでいた一人としては、書籍化は慶賀すべきところ。個別分野については、それぞれの分野の「中の人」の目から見ればいろいろありそうだし、事実、僕がかつて属していた業界に関するところは、?があったので、そこは直にコメントさせていただいたけど、こうやって、一定の視点から横ざしで書かれていること自体が有益と思う。特定時点のスナップショットを改変しにくい紙の形で固定化しておくことには意味があると思うので。 後半からみの活動の中から出てきたと思われる前半部分は、これも興味深く、総じて読んでおいて損のない一冊だと思う。そういう意味で、マンサパ砲をはじめとして、各所での称賛に価する一冊と思うのも事実。






とはいえ、他方で、あちこちで微妙な違和感を感じたのも確か。以下五月雨式に拾ってメモしてみる。まあ、それがあるからこそ、今更ながらメモしてみるのだけど。
  • 最初にこの本の情報に接したのは、著者のつぶやきで、書籍の写真つきだったのだけど、それをみて、ビニールカバーに最初の違和感を感じた。ビニールカバーは、劣化してほかのものに張り付いて悲惨な結果になった記憶しかないから。装丁は確かにきれいなんだが、その点で、一点ものの美術品としてはさておき、他の本と一緒に書棚に並べる本として大丈夫かと不安を覚えた。それなら外せばいいという反論はありそうだが、外せばいい、というようなものは、そもそもつけるなよ、と思うので。そこで、古本屋(b**koffとかでない伝統的なやつ)で見るようなパラフィン紙で包装と相成った次第。 
  • 横文字が多いのに、縦書きというのも、どうなんだろう。殊更に読みにくくしていないかという印象。あと、注釈の文字が小さすぎて老眼の年代(汗)には読みづらい。 
  • ネット周りの「光」の部分をどううまく活用していくか、というところには目配りをしているけど、その「光」のもたらす「影」の部分(特にネットの外の人に対しての(IoT周りのところで、作られた製品で事故に巻き込まれる被害者の視点があまりないような印象だったのが一例か))に十分自覚的なのかは疑問に感じた。便利なものを進めていくことに積極的でも、それで割を食う側や副作用で不利益を被る側への配慮というところが十分なのか疑問に感じた。 
  • もちろん、著者が、弁護士として、主に「光」の部分を推し進めることで利益を受ける方々が主な依頼人であれば、そちらに意識が向きがちなのは理解不可能ではない。ある意味当然だろう。でも、普段の業務がそうであることと、こういう本でそうであることとは等価ではないし、ましてや、何かを唱道しているかのような書き方で、書くのは公平さを欠きやしないかという違和感が残った。 
  • 「このような日本型のコンプライアンスは、社会が激変するなかで法令が予測もしていない事態を前にすると無力であることは、昨今日本からイノベーション企業が生まれていないことや、福島第一原発やさまざまな行政官庁、大企業の不祥事によっても明らかであろう」という一節にも、違和感。後半部分については、確かに、あまりうまく機能していないとは思うけど、無力まで言えるのか、一定程度機能したからあの程度で済んだのではないか、という気もしないでもないし、後知恵なら何とでも言えるし、その場で、制約条件の中で可能な限り力を尽くした方々に対する敬意を欠いているようにも見えた。 
  • 某先輩が書かれていたところとも重なるが、インターネット前の世代(僕もこっちに含まれる:Win95が出たときには働いていたし)にも広く読まれるべきところ、十分読まれていないのではないか、とも感じた。絶賛されてしかるべきところもある反面、異論反論が出そうなところ、それがないというのは、実も蓋もない言い方をすれば、絶賛しそうな人しか読んでないのではないか?真に届くべき相手に届いていないのではないかという点、装丁とか文字組とががそれを阻害したのではないかという気すらした。製品としての美しさが、期待すべき効果との点で整合的だったのだろうか、という疑問につながるわけだが。