BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2017年2月号 [雑誌]最近のチラ見(2016年12月末)

December 30, 2016

和訳のチェックポイント

以下没ネタってやつですな。#legalACの。せっかくなので、upしておきます…。

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こちらの現職は米系企業の日本法人なので、好むと好まざるとにかかわらず、翻訳作業はついて回ります。日本語から英語、英語から日本語、どちらもです。対象文書も契約書に限らず、社内方針とか、マニュアル、単なるレターとかまで内容によってはチェックの依頼が来ます。

最近長めの和訳のチェックがあったこともあり、英語から日本語にする際に注意している点について、いくつかメモ。あんまり法務っぽくなくてすいません。自分で訳す以外にも、分量が多いと、外注に出して、そのチェックをするとか、内製でもほかの人の翻訳のチェックとかも相応にあるので、その辺のことをしていてメモしたことというところです。

翻訳対象の文書の中身について、ビジネス的な背景も含めてきちんと理解しているとか、文書全体のトーンを統一する(敬体と常体とか)いうのは、別に翻訳に限らず文書としての基本でしょうから、その辺は当然の前提として、細かいところで、ミスを防ぐうえで有用と感じる形式的なチェックポイント、のメモ、というところで、訳文だけ見てもわかるチェックポイントが主になっているような感じです。

で、前置きが長くなったので、本題は「続き」へ… 


  • 最初のポイントくらいは法務的なことを書くと(この点は@Tnatz2010さんに別のところでご指摘いただいたのでした。ありがとうございました)、特定の法域での議論をそのまま持ってきて訳した結果、翻訳自体に間違いはないとしても、日本で意味のない規定になっていないか、という点。まあ、これは翻訳の問題ではないのですが、法務でチェックしないと他のところではチェックしようがないですしね。
  • 専門用語について定訳がある用語はそれを使っているかどうかも。定訳にこだわらなくてもいいのかもしれないけど…。それと日常用語だけど法律用語として特別な意味のある単語とかは、うっかりすると見落としそうなので、注意が必要かも(fileとかactionとかが一例でしょうか)。
  • 定義語と一般用語の訳し分けとかは、文書によっては注意が必要かも。NDAとかで、義務を課す対象として定義した語としての「秘密情報」 と、一般的な秘密情報との区別、というあたりがわかりやすい例でしょうか。訳文上「」を付けるというのは勘弁してもらうとしても、定義語について、本***とするかどうか。
  • それとは別に文章を通じての用語の統一は重要だけど、忘れがち。
  • 主語と述語の対応。長い文章だと、整合性が取れていないことがよくある。あと、英文が長くて、翻訳上文章を分けるときに、主語を補足し忘れたりすることもあるので、注意が必要。
  • 受動態と能動態の区別。
  • 断定をしているのかしていないのか、他の可能性をどの程度排除しているのか、というあたり。
  • 相手の権利を規定しているのか、義務を規定しているのか。はたまたこちらが許可する話か。前の点も含めて、この辺りは助動詞の取り扱いで気になるところ。
  • 時間・量については、境界値の扱い。境界値を含むのか含まないのか。受験英語レベルだけど気を抜くと間違えかねないので、注意するに越したことはない。
・・・元の文書に起因する問題もあるかもしれないけど、和訳のチェックのときには僕はこういうあたりを気にしているということで、ご参考になれば幸甚です。



 


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