憲法で読むアメリカ史
の著者によるアメリカの改憲史についての著書。同書とともに読むと、USLLMで、アメリカ法入門のような講義につなげる意味では有用と思う。一般向けということもあって、憲法の難しい話に過度に深入りせず*1に、改憲についての通史的な解説を読みやすい形で提供してくれている。
なお、同書以降の現代史部分については、こちらに連載がある(書籍化はされないのだろうか…)。

もちろん、こういう時期に出された(2016年5月発行)ということからも推測可能なように、昨今の日本での改憲議論にも資するようにという意図はあるが、最終章以外にはその点に明示的に触れてはいないので、そういう問題に特に用事がなくても、そのほかのところは安心して読めると思う。最終章には今までの章の要約もついているので、極端に言えば、この章だけ読むのもアリかもしれない。





 

改憲についての記載については、著者のようなバックグラウンドの方であれば、こういうコメントになるだろうな、というのが正直な印象。裁判官も個人的な意見表明をすべきでは、という指摘については、頷けるところもなくはないけど、反面、日本とUSとでは裁判官の社会での位置づけが異なると思うので*2、USでこうだから、という議論にはいろんな意味で、俄かには与しがたく感じるところ。

個人的に印象的なのは、何のかんの言いつつも、為政者側が、憲法をきちんと理解したうえで、尊重していて、憲法に由来する価値を根底から踏みにじるようなことは、何とか避けているという点か(一例はウォーターゲートの時のニクソンの退陣劇とか)。ある種の節度という表現が適切か不明だけど、そういうものを感じた。反面、そういうものが、かの国と比べて、希薄にも見受けられるところで、不用意なことは避けた方がいいのではないか、という気がしてならなかった。


*1:面倒な話は触れるとしても、註において触れている感じであるが、個人的には巻末に註が全部まとまっているのが、読みにくかった。章ごとに章末においておいてくれた方がよかったように思った。

*2:この辺りは、某ブリーフ判事の例の一件(あれはあれで極端な事例なので、あれを引き合いに出すことの当否それ自体議論の余地があるとしても)とかを考えても、差異は無視できないだろうと思うのであった。