最近読んだ雑誌(2015年7月)BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2015年 9月号 [雑誌]

July 18, 2015

「スタイルガイド」についての若干のコメント

例によって、新しいことを始めるのが得意なkataxさんの試みの尻馬に乗ってみることにする。

契約書ドラフティングスタイルガイド

まあ、この表題については、某無双さん方面とかから違和感の表明があったけど、それはそれとして(*)、 コメントを数点メモ。

いずれも細かい話で恐縮なのと、こちらのダメ法務ぶりを露呈しそうだが、まあ、その辺はご容赦あれ。
  • 当事者の略記として、甲とか乙はやめておけという指摘については、同意なんだけど、理由について、補足めいたことを。
    当事者間で義務の押し付け合いの交渉をしているようなケースでそういう表記をしていると、いじくり回しているうちに、混乱して取り違えて、結果的に辻褄の合わない契約書が出来上がって、しかもそれにお互い気づかないという事態を招く可能性がある。内容を理解しているという頭で読むとその辺気づきにくくなりやすいこともあるように思う。僕自身はそういうことで自分のミスで青くなる経験はないが、以前、取り違えたのに気付かずに締結後数年近く経過したのちに、そのミスに気付いて修正したという例を見たことがあるので…。そういうことは起こりうるということから、氏名の略記(X株式会社であればX)または主な役割(売買契約では、売主とか買主とか)とかのほうがまだ安全ではないかと思う。
  • 定義条項を設ける場合には、定義の条項の中には当事者の権利義務に関する話は入れないこと。姑息な手としてそういうことを交渉相手にされることがあっても、自分はしないほうがいい。理由は簡単で、権利義務の検討をする際に、定義条項をみると、長い契約書では、面倒でメンテナンスしにくくなるし、端的に見落すリスクもあると思う。
  • 条文に( )書きで見出しを付す場合、条文の内容の変動に応じて、見出しが内容を適切に反映したものとなっているか、都度検討する必要が生じる。見出しだけ直し忘れという事態が生じうるし、それによって、後から誤解するリスクも有るということ。そういうことが生じうるから、英語の契約書では、見出しについては参照用に過ぎない、というような条項が入ったりするということを理解しておくべきだろう。条項の変更、削除、追加とかしていると時に見落とす危険があるように思う。



*:スタイルガイドというからには、個人的には、そのスタイルを取る理由について、もうちょっと理由の説明がほしいなと思う。初心者とかにはわかりにくいから。 

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dtk1970 at 00:36│Comments(0)契約法務 

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