4年と3ヶ月最近読んだ雑誌(2015年6月)

June 12, 2015

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2015年 7月号 [雑誌]



完全に出遅れ&そもそもまだ読むべきと判断したところを読めていないのだが、とりあえずメモしたものだけ貼っておく。後で追記が前提(後記:追記した。)。

本号については、まずは債権法改正の記事なんだろう。と、いいつつまだ全部目が通せていないけど。 まず、執筆者の選び方が良いのではないかと。きちんとフォローしている人に存分に書いてもらっているのが良いと思う。
  • 阿部さんの記事は、経団連サイドからの見方が興味深い。こういうのがきちんと記事になることは、今後を踏まえても意義のあることではないかと。 
  • 小林さんの記事は、なるほど確かにこういう見方もあるだろうなと思う。氏独自の見解という側面もあるような気がするし、ここまで綺麗に総括できるのかという点には疑問が残るにしても。
  • サービス業の方の記事は、約款規制の企業法務の実務にもたらし得るインパクトを審議過程も踏まえて丁寧に説明してくださっているので、いつぞや戦士さんにコメント頂いたような上っ面だけの理解になるのを避ける意味でも必読かもしれない。個人的には要再読。
  • 吉元さんの記事は、金融分野に関する話で、事業会社にいる身には、なかなかイメージし辛かった…。
  • Y社の方の記事は、ポジショントーク臭がするのはさておき、インターネットビジネス以外への配慮が感じられないようにも思われた。この辺は業界の特質ゆえなのだろうか。
  • 請負の話については、ソフトウエアの開発側に立って契約書を検討したことがないので、イメージしにくいところがあったが、思って以上に開発する側にとっては大きなインパクトのある話だなと思ったところ。
  • 望月さんの記事は、不動産取引実務への影響の分析もさることながら、末尾に書かれた、経過措置としてどういうことが生じるか、という点についての記載が個人的には興味深かった。



 
付録。IP系の事務所…でこれ?って感じだが、まあその辺は突っ込まないのが大人の嗜みでしょう(謎)。とりあえず某事務所で某元アナウンサーの方が出ていたのは、何だか微妙(著作権とかの案件をしているという意味であれば、理屈は立つのだろうが…)。


ハーレム先生の記事。案件の種類によって仲裁条項の考え方が異なるとか、関係者の安全確保の可能性が仲裁条項の選定に関してどういう影響を持ちうるかというあたりの話はなるほどというところだけど、仲裁の前に相互協議を置く、というような規定の例文については、違和感があった。そういう規定を置くと、その規定の要件が満たされていないから仲裁はできないはずだ、とかなんとか言われて、仲裁を引き伸ばされる可能性があるように思う。なので、その種の規定を仮に置くのであれば、おそらくは時間的制限を設けるべきなのではないかと思うし、その辺について、かの先生が認識していないはずもないのだが...。

ベネッセの情報漏洩の分析。全体のトーンが、「上から目線」風で、後知恵での分析ということもあり、違和感を覚えたのは確かなんだけど、分析の内容については、なるほどなあというところ。煎じ詰めると問題の有り様は、傍系事業で、専門性もあったところ特有のリスクだったり、子会社に業務を振ると、振られた側が、振った側と同程度の責任感を保つのは難しい、というところのようなので、別にどの会社でも有り得る話だよな、と思う次第。

水野先生の記事は、最先端の話がわかりやすく、問題点についての説明も含め、読みやすいレベルでまとまっていて相変わらず面白いのだけど、徐々に、そういう分野(ってどこだ)に縁遠い衆中にも縁のある分野についての話になってきていて、益々面白い。

消費生活用品のリコール対応の記事は、コンパクトに要諦がまとめられている感じで、有用に思われる。こちらはこういう対応をした会社から求償を受けるB2Bの部品メーカーなので、こういう求償への対応の仕方についての記事がほしいところではあるが…。

独禁法の道標。今回はこれはまた悩ましい話題すぎる…。監査と法務の距離感とか、研修の形骸化の問題とかいろいろ考えてしまう。個人的には、代表訴訟事例の判決例があれば、説明しやすいというメーカー法務の方のご指摘に納得。

ライセンス契約の話はライセンスとnon assertionの違いが、当然対抗制度の適用にどういう差異をもたらし得るかというあたりが個人的には興味深かった。

SNSのリスクマネジメントの件は、内発的動機付けという発想は理解できるのだけど、この辺は迂闊にやると宗教じみてきそうで、その辺にはやや警戒すべきものを感じないでもない。

消費税の軽減税率の記事は、法務部のポジショントークめいた部分がありそうなのはさておき(ただ、営業とかにこの種の事案をさせるとカルテルリスクも出てきそうな気もしないでもない)、ロビイングとかの話が興味深い。


最後に例によって本家から、目次の引用。

特集] 民法改正の評価・影響・対応
改正民法の評価  経済界の視点から

阿部泰久 日本経済団体連合会 常務理事

民法改正が映し出す企業の契約観

小林一郎 三菱商事 法務部

民法の総則的規定の改正に企業実務はどう対応すべきか  定型約款を中心に

サービス業 法務担当者

民法改正がリテール取引に与える影響

吉元利行 オリエント総合研究所 取締役 兼 専務執行役員

定型約款がインターネットビジネスに与える影響

畠 良 ヤフー 社長室 コーポレート政策企画本部 政策企画室 総合企画リーダー

民法改正と請負契約  ソフトウェア開発との関連から

大谷和子 日本総合研究所 法務部長

民法改正が不動産取引実務に与える影響

望月治彦 三井不動産 総務部 法務グループ長

 

実務解説
消費生活用製品のリコール対応・費用求償におけるポイント

原 雅宣 弁護士

消費税軽減税率導入に向けた法務部の対応

市川佐知子 弁護士

[短期連載]ソーシャルメディア・リスクマネジメント 社内の重要情報のリスクマネジメント

増田英次 弁護士 / 朝倉 誠 弁護士

ライセンス契約法 取引実務と法的理論の橋渡し
ライセンシーの権利とその保護(2) ─残されている問題

松田俊治 弁護士


シチュエーション別 フランチャイズ契約のトラブル防止・対応策
フランチャイザーを対象会社とするM&Aに際して、どのような点に注意すべきか?

淵邊善彦 弁護士 / 戸澤晃広 弁護士 / 田中健太郎 弁護士

 

ビジネスを促進する 独禁法の道標
株主代表訴訟から考える独禁法コンプライアンス

古家和典 弁護士


英文契約書 応用講座
紛争解決条項(仲裁と裁判)

山本孝夫 明治大学法学部元専任教授

 

米国における 特許権制限の動きが及ぼす影響
特許権制限対策の総括およびその影響

一色太郎 米国弁護士

 

Global Business Law Seminar
中華人民共和国食品安全法の改正草案から考える食の安全

黒瀧 晶 明治学院大学非常勤講師

連載
Opinion

後藤 昭 青山学院大学大学院法務研究科教授

INSIGHT

小林健一 日本経済新聞社

法のデザイン

水野 祐 弁護士

企業会計法Current Topics

弥永真生 筑波大学大学院教授

不祥事の解剖学

樋口晴彦 警察大学校警察政策研究センター 教授

源流からたどる 翻訳法令用語の来歴

古田裕清 中央大学法学部教授

牛島信のローヤー進化論

牛島 信 弁護士

Information

フォレンジックと弁護士の活用で営業秘密防御を
米国弁護士資格 法務パーソンが取得するメリット、活かし方、将来性

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編集後記・次号予告
 

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