とりあえずここまでは、ということか下町M&A: 中小企業の生き残り戦略 (平凡社新書)/ 川原 愼一 (著)

February 15, 2015

最近読んだ雑誌(2015年2月分)

月一の雑誌の記事の感想(BLJは別)。





NBL 1043
景表法の特集。河上先生の対談はわかりやすくて読みごたえもある感じがした。中でも、消費者法の中にありながら、本質は競争法という景表法の立ち位置についての指摘は、なるほど、というところ。あと、軽微違反に対する「裾切り」については、下請法にも導入してくれと思うのだが、そう思う法務担当者が全国に相当数いると思う(謎)。

白石教授(そういえばtwitterのアカウントは…)の景表法の連載には、当然のことながら期待。今回の記載では、この法律が当初は公取所管であったといいつつも、当初から消費者行政を意識していたのであって「一般消費者による自主的かつ合理的な選択」の確保は、目的となっていたという指摘には、なるほど、と思ったのでありました(単にこちらの不勉強という気もするが)。

村上教授の記事は、今回は個人としての意見がはっきり出ているという印象。取り調べなんか役に立たたない、リニエンシーの方が役に立っているではないかという直截な指摘にはなるほど、というところ。弁護士立会いと秘匿特権と裁量型課徴金の導入というのは、コメントを読むと、確かに、そうなのかなという気がするのだけど、反面、それのすべてについて、懇談会の報告書の内容としてコンセンサスを得るまでには至らなかったのは、いったい誰がどういう理由で反対したのか、その辺が気になった。

山野目先生の連載。なるほど、と思うところもあるが、債権譲渡の制限のところは、第三債務者になる側としては違和感は残る。まあ、勤務先が購入する際の約款には、ガッツリ手当しますけどね。
 
原先生の連載。契約書のひな形などの読み方についての指摘や、レビュー能力を高めるために何をすべきか(この条項がなかったら、この条項で扱われている問題はどうなるか、を考える)というあたりは、基本的なことなのかもしれないけど、やはり重要と思う。くわえて、リスクの拾い出しにおわらず、その重要性の評価が欠かせないというところも、確かに忘れがちかも。

 
ビジ法3月
総会関連の特集は、海外企業の100%子会社の日本法人、というところにいるせいで、スルーしがち。川井先生のチェックリストの記事は便利そうだけど、適用される会社の要件がある項目については(大会社のみとか)その旨の記載があったほうが、読み手にとってわかりやすいのではないかという気がしました。

営業秘密の話は、高取先生の記事は、クロスボーダーの紛争における戦略性の指摘が興味深い。個人的には請求権の内容に応じて、競業避止とかの関係では、労働者保護の色の強い労働部に持ち込むか、営業秘密保護で知財部に持ち込むかという選択肢の指摘が特に興味深かった。

海外出張・派遣についての特集、は目の付け所が良いのではないかと思うけど、労働法がらみの話のウエイトが高いけど、最近だと現地でのコンプラ(特に贈収賄対策とか)についても、もっと言及があってよいのではないか。

いわゆるマイナンバー法対応についての記事は、なるほど、というところではあるが、予想とおり大変そうという印象。正直実効性については疑問があるが…。

贈収賄リスク対応の記事はその目的でのDDとその中でのリスクアプローチによるDDの範囲の絞り込み方・進め方についてが面白い。 

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dtk1970 at 00:00│Comments(0)雑誌 

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とりあえずここまでは、ということか下町M&A: 中小企業の生き残り戦略 (平凡社新書)/ 川原 愼一 (著)