そう来るか。Boston市内の写真

February 07, 2010

育成??

hiroさんのところで、LLMに出願した時のエッセイと同じくらい、誰のことを言っているのか分からないほどのお褒めの言葉をいただいたので、調子に乗ってコメントも付けてみたのですが、どうも説明が不十分な気がしたので、補足でエントリをば。個人的な感想の類なので、どこまでアテになるか疑問が残りますが、そのつもりでお読みいただけると助かります。さらに言えば、他のアイデアがあれば、ご教示いただけると幸甚です(Deaconさんひまてんさん、如何でしょうか?)


外部の弁護士さんに相談をするうえで、時として難しいのが、自社のビジネスや社内の制度の説明という気がしている。当の自分の理解が怪しかったりするなら(そもそもそれじゃイカンのだろうが)、自分で勉強するなり、きちんと分かっている人を連れてきて説明するという対応になると思うのだけど、そもそも説明だけで分かってもらえるのか、という話もある。

そうなると生の現場(メーカーの場合は、工場なり、研究拠点ということになる)を見せるというのが良いのではないかという気がしてくる。実際、最初の勤務先で法務に配属になったときに、かなり大規模な訴訟の担当になったのだが、対応をお願いしていた事務所に新しく入ったイソ弁の方には、ビジネスをしている現場で様子を見てもらうということをやっていた。専門技術的なことを言葉や資料で説明するのも悪い話ではないが、それだけではなく、実際に現場で何が起こっているのかを、自分で見て、感じてもらうわけだ。製品についての問題が生じた際に現物を見せるというものの延長線上にあると考えても良いかもしれない。

直接用事があるわけでもないのに、弁護士さんを連れて行くとなると、時には、現場の人が慌てたりするから(どこまで本気で言っているのかわからないにしても、「俺悪いことしてない」とか言い出す人がいるから…)、何で行くのかは説明をしておく必要があるし、彼らに何を説明して欲しいのか、弁護士さん達に何を理解してほしいのかについてはすりあわせをしておく必要がある。


その際重要なのは、弁護士さんを拘束する以上、フィーを払うつもりで(実際はさておき)、依頼をすることではないかと思う。フィーを払う以上、こちらがそれなりの成果を求めるのは当然だし、それで対応が変わらないなら、別の事務所を探した方が早いかもしれない。

こういう話は、弁護士さん側から見ても、ひょっとすると悪い話ではないのかもしれない。クライアントについての知識が増えると、そのクライアントとの関係では、他の弁護士よりも優位に立てるから、クビにされにくくなるかもしれない、という発想もありうるから。

hiroさんがお困りのケースでは、直に事務所のトップと上同士で話をするという選択肢もあるかもしれないが、こういう手もあるかもしれないと、思った次第。あとは、その事務所のイソ弁であるから頼んでいるのではない、「あなた」だから頼んでいる、と思ってもらえるようにするのが重要なんだろうな、と思うのだが…。

今はもう更新されていない、LLM留学日誌~留学2年目NYLifeでの、インハウスロイヤーの憂鬱というエントリ(企業法務の担当者の方にとっては、必読のエントリではないかと勝手に思ってますが)で記されている「通訳」「問題発掘者」としての法務担当者としては、こういうことをするのは、通訳さんが、手持ちの辞書に情報を追加して、カスタマイズしてゆくのと似ているのかもしれません。

失礼な物言いで恐縮ですが、弁護士さんがOJTを通じて一人前になっていくのと並行するように、企業法務にとっては、自社にとって相談しやすい弁護士さんになってもらうよう、関係を育てて行くという発想が、内容・性質等に応じて相談できる弁護士さんを使い分けられるようにするのと同様に必要なことなのではないか、という気がしています。


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この記事へのコメント

1. Posted by hiro   February 07, 2010 19:30
dtkさんこんにちは。
愚痴のようなエントリーを書いたことを少し反省しながらも、おかげでいろいろとアドバイス頂けてありがたいなぁ、と思っております。
dtkさんのアドバイスはもちろん、リンク先の「インハウスロイヤーの憂鬱」というエントリーも、なるほどなあと、自分自身の甘さを痛感させられるものでした。
どうやら私は「幸せの青い弁護士」を探していたようですが、それには私自身の力と心をもっと磨かなきゃな、と気付いた次第です。
ではでは。
2. Posted by dtk   February 07, 2010 20:48
hiroさん、どうもです。いやネタ切れで困っていたのと、頭の中にあったもやもやとしたものを整理するいいキッカケになったのとで、助かりました。
青い鳥は、探したくなる一方で、探すというよりは、現状をどう改善するか、という視点が重要なのかもしれません。
それでは。

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