1年と9ヶ月最近の何だか(2012年12月半ば)

December 11, 2012

英文契約書の法実務-ドラフティング技法と解説- /杉浦 保友 (著), 菅原 貴与志 (著), 松嶋 隆弘 (著)


勤務先の近所の図書館で借りてみた。ページの見た目(版組み)が読みにくいような気がするものの、僭越ながら良い本だと思いました。CISGやユニドロワ国際商事契約原則まで視野にいれて、英文で契約書を取り交わす際に(別に英語圏とは限らず)気をつける点について、典型的な契約類型ごとに実務的な解説、特にそれぞれの契約や個々の条項の機能についての実務的な解説があるのと、解説対象の英文契約書それ自体も、いかにも教室設例的ではなく、実際に使われそうなものになっているのが良いところではないかと思う。


ただ、解説自体が英文を網羅的に解説しているわけではなく、重要そうと判断されたところに絞っているようなので、解説だけ読むとそうかなと思っても、英文をよく見ると、解説されていないけど実務的に意味のありそうな配慮がなされているところがちらほらあった。だから、英文をもっと細かく、それこそ英文をしゃぶりつくすかのように細かく解説してくれる本であっても良かったのではないかと思ってしまった。つまり、ここの英語の文言について、この箇所にこのwordingが挿入されているのはなぜなのか、どういう事態を想定したうえで入れているのか、それを削除したらどうなるのか、というところのレベルで解説するわけだけど、そういうものを書ける人はものすごく限られているとは思うし、ついでにいうと、そういう本はきっと読み手も選ぶ(ある程度読めればそもそも英語で解説すれば済むというかもしれないし)だろうから、需要がどこまであるかは一方で疑問が残る。

ともあれ、この本は、個人的には、見た範囲で英文契約書実務書で、一番優れている部類だとは思ったものの、それゆえに、この種のフォーマットのある種の限界を見せてくれているような気もした(気がした、だけだが)。


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