October 20, 2014

不正リスク管理・有事対応--経営戦略に活かすリスクマネジメント / 山口 利昭 (著)



ビジネス法務の部屋、の山口先生の著書。読み始めたら、ご病気ということで、blogも一時更新が止まっていたのだけど、ご快癒されたようで何よりです。

本書の意図するところについては、「はしがき」に次のとおり書かれている。
 
本書は、経営者がアクセルを目いっぱい踏んで事業経営を行うことを念頭に置いている。経営者が全速力で走るなかで、走りながら考えるべき不正リスク管理について、「不祥事は御社でも起きる」という発想を基に、平時の対応および有事の対応について検討した。また、経営者の方だけでなく、経営者を支える幹部の方々、リスク管理に携わる社員の方々にも参考になるように、なるべく平易な文章を心がけて書いたつもりである。

一通り読んだ感想としてはこの意図通りの本になっていて、上記記載の方々にお薦めできる本になっていると思う。特に、
「100点満点のコンプライアンス経営というよりも、会社にとって大きな損失が生じることを防ぐためのコンプライアンス、つまり、合格最低点(60点)を目指すために経営者ができることを中心に述べている」

という点が好ましく感じられた。コンプライアンス(法令遵守にとどまらず、「社会の要請への適切な対応」まで含むものとしての)が「お題目」に終わらないよう、中身のあるものとするために、経営者が持つべき視座というものを提示しているように思う。最近の情勢や法改正、海外動向(独禁法、FCPAとかの話も含め)まで含めて、配慮すべき事柄全てに配慮が行き届いているのは面目躍如というところであろうか。

経営者向きなので、細かな現場レベルでどうするかは記載していないが、本を読みやすい分量に留めて、経営者に読んでもらうには(これでも分量が多いということはあるかもしれないけど)必要なことなのだろう。





…と、まあ全体的な評価は悪くないのだが、細かいところで気になるところをいくつか。
・山口先生というと、blogで有名なのだけど、そのことについての直接の言及がどこにもないことにまず違和感。
・編集を念入りにした所為なのかもしれないけど、blogや従前の著書よりも、なんだかよそ行き感が高い。あまり山口先生らしさを感じない。
・お立場及び昨今の会社法改正を踏まえて、のことかもしれないが、社外取締役についてのスタンスにもやや疑問。設置したところで直ちに機能するわけではないのだから、経営者向きということからすれば、単に社外取締役を設置するだけではなく、それを如何に機能させるか、そのための仕組みづくりということについても、もうちょっと言及があってもよかったのではないかと思う。 


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dtk1970 at 18:42│Comments(0)書籍 | リスク管理

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