漢字使用などについてBUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2014年 7月号 [雑誌]

May 23, 2014

債権法改正の研修

たまにはこういうこともエントリにしないと(謎)。

商事法務のMLとかで出ていた弁護士会の研修会に、素人ですが、出てみました、ということで、以下若干の感想などを交えつつメモ。素人なので(汗)、内容については期待しないように。

研修会のお題としては、重要論点4つのみについて取り上げたもので、どれもまだ、審議過程にあり、今後については、確実なものではないものの、メーカー法務の立場から重要そうなのは、次のあたりかなと感じた。
  • 約款規制:約款規制がB2Bの約款に適用されるのか、というところから論点でしたが、それについては、現状の方向性としては、「約款」という用語の代替として適用対象を示す「定型条項」という用語を定義する際に、「定型条項とは、契約の内容が画一的であることが通常である取引において、当事者の一方により準備された契約条項の総体であって、相手方がその変更を求めずに契約を締結することが取引通念に照らして合理的であるものをいう。ただし、当事者が異なる内容の合意をした契約条項を除く。」とあり、「相手方がその変更を求めずに契約を締結することが取引通念に照らして合理的であるもの」という縛りをかけることで、内容を交渉しないことが合理的ではない、B2Bの約款を対象外とするという提案が出ているとのことでした。仮にそれで決まるならば、ある程度はこちらの懸念は払拭されるのかもしれない。
  • 債権の消滅時効の規定の見直しにより、時効管理の在り方についても影響が生じるものと考えるけど、どういう影響かは、正直良くわからない。きちんと年一回残高確認取っているなら関係ないという話もあるかもしれないし…。
  • 債権譲渡の扱いについても、譲渡禁止特約については、債権の流動化による資金調達の道を開くということから、譲渡制限特約として、弁済の相手方を固定化する限りで効力を認めつつ、かつ、支払先がわからなくなるリスクを債務者に負わせるのをさける意味で、債務者に供託の権利を明文化すること、及び譲渡人破産の場面で、債務者に供託をさせる権利を譲受人に付与する、というのも、サプライヤーの破産前後の場面では影響が一定程度出るのは確か…なんだけど、そもそも譲渡禁止特約を設けている趣旨が、支払先の固定だけなのか、というとそうとも限らず、サプライヤーのモニタリング・コントロールツールという側面もあると思うので、そういう手当だけでいいのか、債務者企業の法務の立場からは疑問。民法上債権譲渡は可能としても、約款などで、それやったら、関係切るからね、とか書かれたら結局意味がないのではないという気もするし(セミナーレジュメ上でもその種の指摘はあったと思うけど)、一方で、コントロールが効きにくくなる相手であるとすれば、債権譲渡を解除権の発動要件にするように契約で規定するような気がする。まあ、書こうと書くまいと、そもそも仕事を発注しないという話にするにすれば関係ないのかもしれないけど。






あと、その他に気になったところをいくつか。
  • 約款規制については、とりあえず入れることに意味があるという理解のようだけど、約款規制を通さないのは経団連が悪い、というニュアンスの発言が続いたことに違和感が残った。あれじゃ、経団連が悪の結社みたいじゃないか、という感じすらした。そういう考えがあってもいいけど、そういう先生方だけで、この種の催しを一般にも公開で行うことは、弁護士会というある種の公的立場での催しとしては疑問*1。まあ、企業法務の先生方は興味がなくて協力してもらえなかったという意味なのかもしれないけど、仮にそうならば、それは別の意味で問題なのかもしれないのだけど。
  • 個人的には「約款規制」については、規制が必要だとしても、それを民法でする話なのか、消費者保護法とか競争法の枠内ですべきなのではないかという点で、まだ違和感がある。
  • 道垣内教授が、内田参与・大村教授からは野望を達成できなかった恨み節が多かったように聞こえたのに反し、超然としていたという印象で、それに加えて、用語の使い方がまずくて論争をややこしくした、例えば「約款規制」という用語を使った点とか、という指摘をされていたのが、個人的には印象的。紛争処理一般としても、ラベルのつけ方には気を付けないとね、という意味でも示唆的かと。  

*1:面子自体失当とまでいうと怒られそうだけど






*本エントリのタイトルとして、うっちーと遊ぼう、大お遊戯会(違)というのを思いついたのだが、迂闊に書くと怒られそうなので、一応自粛しつつ、でも悔しいので、ここにこっそり書いておくことにする。


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