February 26, 2014

私家版 国際契約を学ぶためのブックリスト

BUのLLMで一緒だった、某弁護士さんから、概略次のような質問をいただいた。
 
「法務部員が国際取引を学ぶ入門書的なものとしておすすめはありますが?それと法務部員として英文ドラフトを勉強するのにお勧めの勉強法とか」

で、コメントはさせていただいたのだが、ついでなので、適宜加筆しながらエントリにしてみる。洋書については、それほど知らないので、和書で自分で勉強しようというところを前提としてご紹介してみる。紹介した本について、こちらのblogで、ご紹介したものは、そのエントリを、そうでないものは、アマゾンまたはその他にリンクも張っておく。どこかのタイミングでこの手のエントリを書いてみようかと思っていたので、渡りに船、というところ。

なお、以下は、現時点での私見なので、そのつもりでお読みいただきたく。さらに、今まで書いたことの繰り返しなので、長らくご愛顧いただいておられる方々にとっては退屈かもしれません。
*現時点の私見なので、過去に書いたエントリの内容とは必ずしも整合していないかもしれません。あしからず。

 






まずは、国をまたいだ取引全般について、リスク管理という側面から法務として何をするか、というところを学ぶところから、ではないかと思われます。単に契約書の文字に書いてあるだけのことだけ考えていればよいわけではないというか、契約書で手当てする以外のこと(たとえば保険を付保するとか)も考える必要があると思うからです。個人的にはこのあたりはOJTでしたが、その辺を網羅的に(その分、個別事項についてのカバーは浅いですが)解説している本という意味では、僕が読んだ範囲では、やや古いですが、「Q&A「国際取引のリスク管理」ハンドブック」 / 富澤 敏勝 (著), 伏見 和史 (著)、が定番かどうかはさておき、良いのではないかと思います。

次に、英文契約について学ぶということについてですが、2つに分けて考えてみてはどうかと思います。背後にある契約法(一応アメリカ法を前提にします。イギリス系とは異なる部分があるものの、アメリカ法ほどには知らないので)の理解と、それを踏まえての英文契約書の読み書きについて学ぶというところです。

前者についてですが、定番は樋口範雄東大教授の「アメリカ契約法」(弘文堂)でしょうが、USのLLMで契約法を学ぶだけなら足りますが(個人的には、これに加えて、所謂バーゲン理論の部分は、内田貴「契約の再生」の前半で補足したほうがいいと思います。僕はLLMのときにそうしていました)、英文契約についての実務を学ぶ意味では不十分でしょう。むしろ、それらを読んだ上で平野晋「体系アメリカ契約法」を読むのがお薦めです。平野さんの本は(次のものもそうですが)読みにくいし、割高ですが、他に比較する本がないですし。

後者については、同じく平野先生の「国際契約の"起案学"」が、英文契約を書く際の文法的な事柄についても、詳細なのでお薦めです。この他に、日立の法務の方々が訳した「米国人弁護士が教える 英文契約書作成の作法」も悪くないですが、原著者が金融系なので、内容面でそっちに少し偏っている気がするのと、もともと米国人の1年目のlawyer向けなので、日本人の法務担当者が最初に読む本としては実は適さないのではないかと思います。また、仮に読むにしても、原書の”Working on contracts”を英語の勉強もかねて読むほうがいいのかもしれません。

この他、定番という意味では中村秀雄先生の「英文契約のキーポイント」及び「英文契約書修正のキーポイント」も、抑えておくとよい本と思います。前者は、やや敷居が高いように感じましたが、文字通りの定番ですし、後者は、相手から出てきたドラフトに対してどう修正するか、という実務的な観点からの検討が有益と思います。英文契約という観点では著名な長谷川俊明先生の「条項対訳英文契約リーディング」は、契約書の条項単位での検討が有益と思います。

逆にもっと、とっつきやすい本はないのか、というと、上記の中村秀雄先生の「英文契約書取扱説明書ー国際取引入門」も、面白いですし、その他、僕自身が一番最初に使った「英文契約書の基礎知識」も良い本では仲と思います。

加えて、個々の言葉についての話については、原明彦先生@日比谷パークの「ビジネス法務英文用語集」「ビジネス法務基本用語和英辞典」(ともに商事法務)、文例については、値段的に厳しいですが山本孝夫先生の「英文ビジネス契約書大辞典」あたりが、手元にあるとよいと思います。
(あと、基本的な法律用語については、英米法辞典@東大出版会も)

ちなみに、英文ビジネス契約書大辞典以外はすべて手元にあります(出たばかりなのでまだ買ってない)。
 

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dtk1970 at 00:40│Comments(0)契約法務 | 書籍

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