February 19, 2014

改訂版 契約実務と法-リスク分析を通して- /河村寛治 (著)



はっしーさんが以前褒めていた本。僕自身にとっては、なんだか相性が悪いというか、理由はよくわからないものの、どうも読み通せずにいて、気になっていた。今回改訂版が出たということで買って、一気に読んでみた。 一通り読んでみると、僕自身の印象としては、もともとの用途*1もあって、法学部なり法科大学院を出た人が契約法務、特にドメスティックな契約法務*2の業務に就くに際して最初に紐解くべき一冊、のうちの一つ、として有用、というところ。

単に理論的なこと、文言についてのみ書かれているわけではなく、その背後にある考え方、不可抗力とか契約解除のような契約書の一般条項について、なぜこのような条項が要るのか、条項を書く際に、どういうことを考えて書かないといけないのか、などを丁寧に説明してあるうえに、文言以外に気を付けるべきところについての記載もあるので、OJTツールとしても使いやすいのではないだろうか。契約実務総論、という感じでこの本を読み、その後、それぞれの契約分野の詳細については、それぞれの分野ごとにもっと詳しく書かれた書物をこの後に紐解くなどしてゆけばよいのではなかろうかと思う。*3

今回、債権法改正の状況を受けてのコメントや反社排除条項についての記載も追加されたので、特に前者については、契約書の見直し等を考えるうえで、件の改正(昨年末時点での話ではあるが…)がどういう影響を及ぼし得るのか、考えるうえでは有用なのではなかろうか。*4



最後に、ここに書くべきことではないのかもしれないが、気になった点を2つメモ。
  • 印紙税についての言及があって、税額の表まであるのだが、税額まで載せるなら、請負と不動産の特例措置についても記載すべきではなかったか。平成30年までは続くようだし…。
  • 書式例で疑問に思ったのは、商標ライセンス契約の書式。許諾のところで、サブライセンスの可否についてあまり明確に書かれていないように感じた。その一方で後ろで「サブライセンシー」という表現が出てくるので、サブライセンス可能ということが前提なのだろうか。こちらが誤解している可能性もあるので軽々にあげつらう意図ではないが、ライセンス契約の場合、許諾のところで、その辺まで含めて記載することが多いのではないかと思ったので、気になった。

*1:最初見落としていたのだが、法科大学院などでのテキストとして用意されたものが基になっている模様。
*2:渉外系の契約との関係では、多少触れてはいるものの、この内容だけでは正直力不足感がある。準拠法についての言及がないとか、紛争解決についての話 の中でいわゆるニューヨーク条約に基づく執行の容易さへの言及がないとか、が気になった。とはいえ、著者の経歴からすれば、書けるけど、書いていないとい うだけに過ぎないとみるべきであり、その辺はもともとの用途や分量との兼ね合いなのだろう。
*3:著者の経歴もあってか、全般的に商社視線での記載もあり、メーカーの立場だと、異なることを考える必要もあると思うし、それは別の何かで補充が必要だろうと思う。
*4:後者については記載はあるものの、後半で出てく書式例の中には、記載を受けた内容が反映されているようには見られないのだが…これは特段の意図があ るのだろうか(謎)。



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dtk1970 at 00:15│Comments(0)書籍 | 契約法務

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