January 27, 2014

準拠法とかについて考えてみた。

BGMはこちらで(謎)。

それはさておき、いつもキャッチーな内容が素晴らしいはっしーさんのエントリーにコメントをしようと思ったら、字数が長すぎて一つのコメントにできなかったのでこちらでメモしてみる。








「準拠法で譲るか譲らないかの交渉結果は、その取引自体どちらが優位に立っているかの現れ」「契約は部分ではなく全体をみて考え交渉せよ」というのはまっ たくその通りだと思うし、もめるのは、強制適用される現地法規の余地が多くなく、かつ、当該取引における自社の力が弱いとき(自社が強ければそもそも揉めないはず)だと思う のですが…、その一方でいくつか個人的に気になった点を雑駁ながらメモ。

1.準拠法条項と裁判管轄・紛争解決条項の分割
BLJの座談会にも あったのですが、準拠法条項と裁判管轄・紛争解決条項を分けて交渉材料するのは、問題ありではないかと個人的には思っています。裁判官によその国の法律を適用 してもらおうとしても、どこまでできるのか未知数で、結局は資料を用意したところでも、その裁判官の国の法律に引きずられるのではないかという懸念を持つ からです。個人的な経験では、アメリカ人に日本法に基づく議論をきちんとしてもらうのは難しいと感じていて、そこからの類推でそのように思うのですが。

2.準拠法・裁判管轄についての二分法?
ま た、仮にこの両者を一括で交渉材料としたとしても、日本以外はすべて許容できない、というほど強硬にする必然性はないのではないかとも思います。いきなり中東の知らない国とか言われると、ちょっと勘弁してくれと思うのは当然としても、NYとかCAとかであれば、日本人の有資格者もそれなりにいて、日本語で 相談もできるという事情などから、たとえ自分に土地勘がなくても、裁判例も蓄積されていることもあれば、予測可能性も一定程度確保されているということから、ある程度は許容するという選択肢もあるのではなかろうかと(この辺は、事業分野自体が新しかったり、自社にとって未知の領域の分野だと狭くなるでしょうし、逆に経験のある分野だと広くなったりするのかもしれません)思います。それに、ライセンス契約のような分野では、日本法での扱いも明確ではなかったりするので、日本だけに拘らなくても良いのではないかと思います。

3.交渉後の時間軸との関係
交渉については、以前のエントリで も書いたけど、交渉が長引くことのリスクも留意する必要があって、準拠法について争っているうちに、肝心の契約を履行するための時間がとれなくなるリスク があると思われます。midnight clauseとかいわれるくらいに、最後の方で議論になりやすい条項なわけですし。そこのリスクをとってまで争うことについて、おそらく内部的な承認が下りないのではないかと思います。この辺は内部での交渉の進め方についての合意の取り方、かもしれませんが。

4.価格への転嫁?
交渉の中では、優先順位が高い項目から交渉されるでしょうし、準拠法と かの優先順位が高いということはあまりないのではないのではないかと思います。一方で価格というのは、大概の場合優先順位が高く、準拠法について交渉するころには、決着がついていることも多いのではないかと思うし、仮にそうであったとすると、準拠法をめぐるやり取りの中で価格への転嫁をもたらすとなると、 ある種ちゃぶ台返しになり、そういう戦略は、相手方に提示する以前に内部で受け入れられないのではなかろうかと思います。
それと、リスクを価格に転嫁する際に、どういう方法で評価するのか、簡単ではないのではないか。また、自社が物品または役務の提供をして、相手方の主な義務は対価の支払のみのよ うな場合に、その種のリスクについて価格に転嫁することを受け入れるかどうか、そもそもその種のリスクを生じさせないように履行するのが筋だろう、というような批判にどういう対応をするか、難しいような気がします。



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dtk1970 at 19:43│Comments(0)契約法務 

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