January 25, 2014
BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2014年 3月号 [雑誌]
毎度おなじみBLJの感想をば、いつものとおりに順不同でメモ。
法務の重要課題の中で、グローバル化への対応が出ていて、まあそうなんだろうな、と思う一方で、グローバル企業とやらの現地法人に身をおく立場としては、その際に現地事情を十分に把握せずに、本社が方針を振りかざすと現地は大変だよな、と思ったりする。
(関連して、オムロンの法務の体制はすごいといえばすごいのだけど、今の親会社の体制と比べると、まあ、これくらいはするのだろうな、というところなのが何とも。ただ、まあ、「笛吹けど踊らず」とか「上に政策あれば下に対策あり」ともいうわけで(以下略))
重要課題の中では個人的には債権法改正と個人情報保護に関心を持たざるを得ない状況だが、感度としてはアンケート結果に納得。アンケートは勤務先にも来ていましたが、諸事にかまけて答えませんでした。すいません。
育成については、結局特効薬はないということで、これまた「笛吹けど踊らず」という面があるので、まずは意識付けからなのではないかと、育成経験がない立場でいうのはアレだが、思ったのであった。まあ本人が必要性を自覚しないと効果はでにくいのではないかと。
採用系のお話しについては、なんとなくさもありなんという感じ。
経営層の視点から見た法務の課題、は、北島さんにお話をお伺いするのもいいけど、General Counsel視点になるので、法務の外の経営層からどう見えるか、も聞きたかったような気がした。
経団連の方の債権法改正への対応のなかで、情報提供義務にも反対というのは知らなかった。
座談会については、企画自体が興味深いし、内容も興味深く読めた。後編にも期待。
個人的には次の諸点が特に印象に残った。
- 危険負担と不可抗力の関係(危険負担前における取扱)についての議論
- 裁判管轄と準拠法との間の齟齬は避けるべきとの指摘
- 債権法改正のグローバル化の中でのインパクトのうち、海外の事務所が日本法についてメモをどこまで作る能力があるか、という観点からの指摘。
- pre-litigation条項のある意味について
法令の要点解説も、それぞれ簡潔にまとめられていて読みやすい。消費者裁判手続特例法のところは、所轄省庁のコメントによる部分が多いのが、心もとなく感じるが、やむを得ないのだろうか。
独禁法の道標の記事は、ケーススタディも興味深いというか悩ましい話であるうえに、「メーカー法務担当者」の視点及び白石教授の視点には、頷かされるばかり。読んでいるときには勉強になると思って読んでいても、いざ実際に事案がくると、学んだことをどこまで活かせるのか心もとないのが何とも…。
契約書審査の記事は今回は業務委託契約、ということで、もめるのは瑕疵担保や検収のあたりという気がするので、業務の内容によっては、検収方法を丁寧に記載する(その仕様書を別添することも含め)というのもいちあんなのではないかと思った。あと、支払条件との関係では、当然のことながら、下請法適用事案では支払期間の長さに注意が必要というコメントもあってもよかったかもしれない。
雇用型執行役員の記事。執行役員がいても、その役員との間の契約関係についてあまり考えたことがなかった(そういうことが必要な状況になったことがなかった)ので、読んで、なるほど、というところ。
知財ライセンス契約の実務上の工夫、については、その種の契約は定型的な特定のものしか見ないので、こういう記事をみると、「なるほどなあ」と関心するばかり。
債権者取消権の記事については、取消権の相対効の説明は、ここまで書いてあると、なるほどという感じがした。
CIETACの内紛の件は、日々、リーガルプラクティス。さんで報じられていたものだけど、こうして読むと、さすがに仲裁機関の選定でもめるのは避けたいから、上海近辺の案件については、香港仲裁とかになるのだろうな、と感じた。いずれにしてもどうなることやら。
MAC条項についての記事は、実はM&Aの契約でこのあたりの条項について真剣に議論したことがなかったのだが、確かに、指摘のように、法務以外のDDの内容も把握しておかないと、契約書のドラフトも、締結後の運用についても、十分にサポートできないよな、と納得。
抵当権と賭けの関係には、なるほど、と思いつつ、そこからリーマンショックにつなげたのには、ちょっと無理があるような気がした。
オリンパスの件の記事は、このまとめ方だと、内部統制の限界、ということになり、処方箋としては独立の社外取締役ということになるのだろうか。ただ、絶対かつ独裁的な権力者がいるのであれば、候補者選定のレベルで、事務方が、その意を汲み取って「無難な」候補者を選んで、権力者が何もいわずとも独裁が固定化する可能性もあるのではないか、という気がちょっとした。
知財ライセンス契約の実務上の工夫、については、その種の契約は定型的な特定のものしか見ないので、こういう記事をみると、「なるほどなあ」と関心するばかり。
債権者取消権の記事については、取消権の相対効の説明は、ここまで書いてあると、なるほどという感じがした。
CIETACの内紛の件は、日々、リーガルプラクティス。さんで報じられていたものだけど、こうして読むと、さすがに仲裁機関の選定でもめるのは避けたいから、上海近辺の案件については、香港仲裁とかになるのだろうな、と感じた。いずれにしてもどうなることやら。
MAC条項についての記事は、実はM&Aの契約でこのあたりの条項について真剣に議論したことがなかったのだが、確かに、指摘のように、法務以外のDDの内容も把握しておかないと、契約書のドラフトも、締結後の運用についても、十分にサポートできないよな、と納得。
抵当権と賭けの関係には、なるほど、と思いつつ、そこからリーマンショックにつなげたのには、ちょっと無理があるような気がした。
オリンパスの件の記事は、このまとめ方だと、内部統制の限界、ということになり、処方箋としては独立の社外取締役ということになるのだろうか。ただ、絶対かつ独裁的な権力者がいるのであれば、候補者選定のレベルで、事務方が、その意を汲み取って「無難な」候補者を選んで、権力者が何もいわずとも独裁が固定化する可能性もあるのではないか、という気がちょっとした。
例によって最後は本家から目次の引用。
[第1特集] 2014 法務の重要課題
法務部門の管理職に聞く 自社の課題2014
Section1 2014年注目トピック
Section2 組織マネジメントの課題
Section3 外部弁護士との関係
Section4 経営層の視点から見た法務の課題
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 代表取締役 ジェネラルカウンセル
注目すべき国内企業法制の動向
阿部泰久 一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長
[第2特集] 注目法令の要点解説
会社法改正法案の読み方
柴田堅太郎 弁護士
消費者裁判手続特例法のポイント
森 大樹 弁護士
平成25年独占禁止法改正の実務上の意義
池田 毅 弁護士
BLJ Discussion
実務において一般条項はどのように役立っているか[前編]
~不可抗力/準拠法/仲裁 ほか~
[ファシリテーター]竹井大輔 外資系メーカー法務マネージャー ニューヨーク州弁護士
[参加者]法務担当者 3名
OPINION
パーソナルデータの利活用に関する制度の見直し
宇賀克也 東京大学大学院法学政治学研究科教授
INSIGHT
転んでもただでは…
門口正人 弁護士(元名古屋高裁長官)
法務部門 CLOSEUP
オムロン 法務センタ
玉置秀司 法務センタ長 / 西川真司 法務グループ長
実務解説
平成25年裁判例に学ぶ 知財ライセンス契約の実務上の工夫
藤川義人 弁護士
実務解説
いわゆる雇用型の執行役員をめぐる問題点
薄井琢磨 弁護士
契約書審査 差がつくポイント
業務委託契約(請負)
丸野登紀子 弁護士
ビジネスを促進する 独禁法の道標
排他的取引 顧客や仕入先を囲い込む取引は、どのような場合に違法になるか
木村智彦 弁護士
裁判例から学ぶ 対症法務と予防法務
責任財産の保全策 ─債権者取消権(1)
滝澤孝臣 日本大学法科大学院教授・弁護士
Global Business Law Seminar
国際商事仲裁に関する最近の動向(上) ―中国仲裁機関(CIETAC)の分裂の影響
河村寛治 明治学院大学法科大学院教授
連載
企業会計法Current Topics
弥永真生 筑波大学大学院教授
不祥事の解剖学
樋口晴彦 警察大学校警察政策研究センター教授
源流からたどる 翻訳法令用語の来歴
古田裕清 中央大学法学部教授
米国法ではこう考える
渡邊健樹 米国弁護士
牛島信のローヤー進化論
牛島 信 弁護士
Information
eディスカバリーとテクノロジーの新パートナーシップ
情報の管理と弁護士・依頼者間の秘匿特権の戦略的活用
米国独占禁止法規制の落とし穴[前半]
Pick up! セミナー情報
Movie/Art/Book
編集後記・次号予告
dtk1970 at 00:32│Comments(0)│雑誌