年明け最初の法律ネタということで、吉例に従い他人様に絡んでみようかと(謎)。勉強熱心さに頭の下がるCeongsuさんエントリを読んで感じたことをメモ*1



「弁護士や法務担当者として努めるべきことの大枠は、日米間でも大差がない」という指摘については、一応純ドメ企業と米系企業の日本法人と双方一応経験した者としても、違和感は特に感じない。ただ、違いとしてあげられている陪審制度の有無と同じくらい重要なのがdiscovery制度の存在という気がしている。個人的な感度という意味では、こちらの方が日常業務レベルでは差異が目に付きやすいのではなかろうかと感じている。

陪審裁判に関するCeongsuさんの指摘の事情はあると思うものの、そもそも、アメリカで紛争になったとしても、陪審裁判は一定程度回避可能と考えるからで、具体的には、契約に基づく訴訟については、当該契約野中で訴訟についてはjury trialを放棄するという合意が可能であったり、紛争解決手段を仲裁にすることでそもそも訴訟になりにくくするという手段が可能な部分もある*2

一方で、discoveryそれ自体については、訴訟が始まったら、原則(例外もいくつかあるけど、企業法務エリアで重要なのはattorney-client privilege)関連のある情報はすべて開示が必要で、かつ、その前には訴訟が合理的に予見可能となった時点で保管義務がある。また、attorney-client privilegeについても、弁護士とのやり取りであれば認められるというものではなく、争われたら否定される可能性もある。その辺りから、文書を作る際には常に、この文書が訴訟に出たら、どうなるか、ということについては、より慎重という気がするし、コミュニケーションの取り方についてもprivilegeのwaiverのリスク*3も考える必要がある。

このあたりの注意は、訴訟とか紛争とは関係なく、日常業務に直結するというか、紛争になってから気にしていたのでは遅いともいえるので、日々の注意が重要となる*4。日本でも、文書を作るときに、それが後日法廷に出されたらどうなるかというのは意識するけど、そもそも出ない可能性があるのと、原則は出すことになっている、というのとではやはり違いがあるような気がしている。



 *1:Ceongsuさんのエントリのきっかけになったはっしーさんのエントリについてはここではコメントしない。
*2:加えて、jury trialはtrial前に和解することで回避も可能…というかjury trialがイヤなら、trial手前で和解してしまうという手もあるわけで…。それゆえに和解になるケースも一定程度多そう…。
*3:attorney-clientのprivilegeの要件の中には依頼者と弁護し菅野秘密のコミュニケーションということも含まれていて、依頼者以外に送られた場合には、訴訟になったときにwaiverと受け取られるリスクがあることになるはず。 
*4:もっとも、だからといって、アメリカ人lawyerがすべて常に注意深いかというとそうでもないような気がする。Litigatorのバックグラウンドがある人はさておき、それ以外についてはそうでもないような気がしないでもない。