December 22, 2013

つまるところ…

#予約投稿機能に基づき事前の仕込みですいません。

いくつかの事例*1を見て思ったことをメモ。





契約書で想定すべきことを想定し、曖昧さをすべて排除すべき、というのは、これだけを見ると、法務担当者としては望ましいあり方であるかのようにも見えなくもない。

とはいえ、それが常に正当化される命題かと訊かれると、素直にYesとは言いにくい。単に、素直になれないお年頃だから、ではないはず*2。単に、契約書について、そのようなことをすることのプラスとマイナスを検討して、総合してプラスならばそうしたほうがいいけれども、マイナスならばしないほうがいい、ということに過ぎない。

契約書の内容を詰めることがマイナスというようなことがあるのか、というと、自分の経験から見ると、存在しないとは言い切れず、むしろ時として存在し得る、というのが正直なところ。マイナスにも、色々あり得ると感じているが、少なくとも次の3つの観点から考えることができるような気がしている。

一つ目は、契約書締結が遅れることで生じるリスク。そもそも取引が成り立たなくなるという可能性。モノの納入契約などでつくるのに時間がかかり、かつ、納期は特定の日で、そこが動かせない、というような場合には、その種のリスクが見えやすいのではなかろうか。契約締結前に先に仕事を始めてしまうというのは、それ自体別のリスクを生むので、常に取り得る選択肢ではあるまい。

二つ目は、詰めた結果、交渉力如何によっては、不利な形で決着するリスク。この辺は力関係にもよるので、こちらとあちらの力関係如何を見極める必要がある。そういうときはあえて曖昧さを残し、棚上げする、ということも考える必要があると思う。また、継続的な取引関係においては、ある契約で有利に妥結したら、その時の経験から学習した相手方が行動パターンを変えてきて、爾後の契約交渉がより不利になるケースも想定できなくはない*3。「倍返し」まではいかなくても、何らかの形で「復讐」されるリスクがあることは頭の片隅にとどめておく必要があるように思われる。

三つ目は、そもそも曖昧さを排除したことにより、曖昧さを自分に有利に使いうる可能性を排除するリスク。単発で、1年かそこらで終わるようなプロジェクトに関する契約であれば、そのような事態が起こることは、想定しやすくないけど、取引基本契約のように10年以上の長期にわたり使うような契約では、締結時点では想定しえないようなことも、法令変更であれ、なんであれ*4生じうると思う。全力を尽くしても、神ならぬ人間に想定できることにはたかが知れているというのも一面の真実ではないだろうか。曖昧さを排除したことで、意図に反して結果的に後世の人を不利に拘束する結果にもなりかねないとも思うのである。

契約書の内容にあいまいさが残ったとしても、その契約書を使って取引をする事業部門側が、そのあいまいさをコントロールしきれると判断にしているのであれば*5、彼らの責任と判断で、契約書を締結して、取引を進める、ということも選択肢から排除すべきではないだろうし、そういうことをしたことがないではない。つまるところ、二つのリスクを天秤の上に載せて、検討した結果、片方のリスクを取ったということでしかない。排除可能なはずのあいまいさを漫然と放置するのは問題かもしれないが、状況によっては、曖昧さを残すということも重要になってくると思う。その辺のコントロールも法務の「芸」のうちではないかと思うのである。

*1:なお、以下、ネット上で見たもの及び、いままでの職歴において見聞した、複数の事例を念頭においた記載であることを申し添えるものである。 
*2:そうだとしたら、それはそれで面白いのかもしれないが 。イイトシをして何を言っているんだと自分でも思うのはいうまでもない。
*3:そういう事例も見たことがないではない。
*4:政権交代だって、以前は想定されていなかったと思う。
*5:だからといって、それで何か起きたときに法務がサポートをしない、という意味になるとは限らない。一方で、そうなる可能性だってあるかもしれないけど。


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dtk1970 at 00:00│Comments(0)契約法務 

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