野戦病院?NDAについてのメモ

November 24, 2013

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2014年 1月号 [雑誌]



既に2014年、と書かれた号が来るというのも…。
ともあれ、例によって、気になった記事についての感想を順不同で。

法務機能強化のためのアプローチについての連載((1)とあるから、何回かの連載になると思われる)については期待。他所の会社でどういうことをしているかというのも興味深い。なかなか取材とかも大変なのではないかと思うけど。双日の人材育成シートの発想は興味深いものの、分野は商社ならではという形になっている(メーカーだとおそらくPLなどの製品に起因した分野が独立した分野として入るのではなかろうか)のが面白いし、法務という職域の中では全部の分野について一通りのことができるジェネラリストが、ひとつのキャリアゴールとして想定されていることがわかるのも興味深い。また、案件のサマリーを担当者が作ってプレゼンするというのも、似たようなことを担当役員相手にしたことが過去にあるが、やってみると振り返りという意味では有用(役員相手という意味では冷や汗)と感じたのを思い出した。

翻訳法令用語の来歴の記事は、現実と理念の相互作用がもたらすダイナミズムが欧州語には内在しているものの、日本語に翻訳する際にその双方を丁寧に訳し分けたことで、そのダイナミズムまでは定着させられず、理念を希求する思考を生活中に定着させられなかったという指摘は、感覚的には頷けるところ。

時効管理の記事は、あまりこの点について厳密に検討する必要が生じたことがないということもあってか、自分の理解が曖昧なのを思い知る。再読のうえ、十分理解しておきたいと思う。

契約書審査の記事については、一点気になったことがある。危険負担の移転の時期について、目的物の現実の支配が納入時点で移転しているので、売主の立場では、検査期間の定めがあろうとなかろうと納入時に危険負担を買主に移すべきなのではないかという気がするのだが…記事の記載を見ると検査期間の定めがあるときに限って、危険負担を納入時点で移すべき、というコメントのようにも読めたのだが、検査期間の有無で分ける必然性が良くわからなかった。




名ばかり管理職・メンタルヘルス労災の記事は、労務の紛争の特殊性(つまり、ひとつ紛争が起きたら、同種のものが引き続く可能性があるというところ)を踏まえた問題点、中でも、それぞれの類型ごとに訴訟に対する考え方についての差異が個人的には興味深かった。


特集については、座談会が個人的には一番興味深かった。この分野において、未解決の問題がいろいろあって一筋縄でいかないというところがあるということを感じる次第。個人的には次の2つの発言が印象深い。
開発がうまくいかなくなると議事録にこだわり始める傾向はありますが、議事録のための打ち合わせをする時間があるならシステム開発をしっかりやるべきですよね。本末転倒です。
契約書の記載を手厚くすればプロジェクトが成功しやすくなるわけではありません。それよりも、ユーザとベンダが一枚岩で協力し合う体制を作ることや不慣れなユーザを上手に教育することなどに力をかけたほうが開発はうまくゆきます。

伊藤先生の記事は、開発の各段階ごとに、ユーザ、ベンタ双方が分析されているのが有用そう。開発契約におけるチェックリストとしても使えそうなので。両者の共同作業であるとの認識をしっかりとしたうえで、それぞれの役割分担をきっちりと洗い出すことが、最初の一歩ということになるのだろう。

北岡先生の記事については、責任限定条項についての指摘は興味深いものの、指摘に基づく条項例を出していただけると、よりわかりやすかったのではなかろうか。

統合報告についての記事は、統合報告という発想自体、面白いと思うものの、報告に関する現状の実務を変えることにもなるので、そう簡単ではないだろうと思う。また、この記事では、統合報告のもたらす便益の説明はあるものの、もたらすリスクや欠点についての記載はないので、その辺に何があるのか(重要性のある内容にしぼって記載するとなると、重要性がないとして、本来報告すべき内容が抜け落ちる可能性とかありそうな気がするが…)というところが気になった。

独禁法の道標については、現在または過去の職歴において、取り上げられているようなケースに行き当たったことがないこともあり、頭の体操として興味深く読んだ次第。最後にあるメーカーの方のコメントには納得。








最後に本家より目次の引用。

[特集] システム開発 二大判決後の実務
      「スルガ銀行 対 日本IBM」「みずほ証券 対 東京証券取引所」
スルガ銀行 対 日本IBM事件 東京高裁判決の分析

吉田正夫 弁護士

[座談会]スルガ銀行 対 日本IBM / みずほ証券 対 東京証券取引所
判決内容から実務への影響を探る

大谷和子 日本総合研究所 法務部長
竹内 規 日本ヒューレット・パッカード コーポレートリーガル部 部長
野々垣典男 JTB情報システム 常務取締役 経営企画部長
松島淳也 弁護士

プロジェクト推進のポイントは変わるか ─現場がとるべき対策─

伊藤雅浩 弁護士

多段階契約・個別条項に与える影響

北岡弘章 弁護士・弁理士

 

法務機能強化のためのアプローチ(1)
人財育成に役立つ スキルシートとアーカイブ

双日 法務部

グローバル人材をいかに育成するか

宮本啓之 
ウォルマート・ジャパン・ホールディングス バイス・プレジデント チーフ・コンプライアンス・オフィサー

 

OPINION
企業内教育だけで事足りるか

平野温郎 東京大学大学院法学政治学研究科教授

 

company
5年前から人員を増強し予防法務を強化

森永製菓 人事総務部 総務グループ
藤井大右 マネジャー / 井上秀俊 総務法務担当リーダー

櫻田 賢 知的財産担当リーダー / 吉田英一 総務法務担当

 

法令関連情報Basics
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」平成25年改訂のポイント

髙木篤夫 弁護士 / 宮澤俊昭 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授

森岡 誠 弁護士 / 上沼紫野 弁護士 / 稲益みつこ 弁護士 / 山内貴博 弁護士

 

リスク判断のための紛争解決コスト分析
名ばかり管理職、メンタルヘルス労災

向井 蘭 弁護士

 

実務解説
近年および今後の著作権法改正と実務への影響

貝塚光啓 弁護士

 

契約書審査 差がつくポイント
売買契約

丸野登紀子 弁護士

 

ビジネスを促進する 独禁法の道標
消耗品(アフターサービス)ビジネスに関する注意点

籔内俊輔 弁護士

 

裁判例から学ぶ 対症法務と予防法務
時効管理のポイント(1)

滝澤孝臣 日本大学法科大学院教授・弁護士

 

Global Business Law Seminar
「統合報告」と今後の着眼点

ジャパン・ビジネス・アシュアランス 経営企画本部
渡辺樹一 マネジャー、米国公認会計士・公認内部監査人・公認不正検査士
舌歯昌洋 マネジャー、公認会計士

 

連載
弁護士・税理士が教える 税務の勘所

岩品信明 弁護士・税理士 / 遠藤元基 社員税理士

企業会計法Current Topics

弥永真生 筑波大学大学院教授

源流からたどる 翻訳法令用語の来歴

古田裕清 中央大学法学部教授

米国法ではこう考える

渡邊健樹 米国弁護士

牛島信のローヤー進化論

牛島 信 弁護士

Information

国際訴訟および規制当局調査におけるeディスカバリ

Pick up! セミナー情報
Movie/Art/Book
編集後記・次号予告
 

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