最近読んだ雑誌から(2013年10月下旬)距離と時間の使い方

October 22, 2013

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2013年 12月号 [雑誌]

これまた例によって例のごとく、印象に残った記事についての感想をば。
   

阿部大龍先生のインタビューには、裁判所(及び他の弁護士さん)への喧嘩の売り方に感銘を受ける。ご本人のwebでの書き方とかからすれば想像はつくにしても、この喧嘩の売り方は、いい意味でもともと学者さんだからできるんだろうなと。「中東の笛」というのも言い得て妙。 事務所の大きさには関係ないというあたりや、独自の専門性についての記載は依然山口利昭先生が書かれたいたことに通じると思われる。 また企業側の対応や業界団体の重要性についての記載も興味深い。
大龍先生の喧嘩の売り方に対して、相代理人の先生や企業側の担当者の発言でバランスが取れているのも、全体として好ましいのではなかろうか。 

インサイダーのの特集は、実務の肌感覚がわかる座談会(弁護士さん、企業の担当者に、加えて、東証の担当者が入っているのが良いと思うし、企業担当者の人選についても、企業の規模感とかも影響するので、そこを含めてバランスが取れているのではなかろうか。)の部分は有意義且つ興味深いのではなかろうか。僕自身は勤務している日本法人が米国の親会社の100%子会社で、この分野についてはUS側からのコントロールに服しているだけというところなので、あまりうかつなことは言いにくいが。
(改正点の解説は、時間の都合でパス)

TBSの法務の体制も興味深い。横串での統括というのもそうだし、それを踏まえての「TBSグループ法務セクション活用の手引き」というのも。法務部の取説みたいなものは、あってもいいのではないかと思うが(以前そんなエントリを書いたが)、実際作るとなると難しいと思うので、機会があれば見てみたいところ。 





類似商品の紛争のコスト分析については、特定のアクションを取ること、取らないこと双方のpros/consが丁寧に分析されていて、この種の紛争に立ち会ったことはないが有用そうに思われる。結論として開発チームへの研修が予防的な意味で重要、というのは、結論としては理解しやすいのではないか。

合同労組の対応は、前職で紛争があったので、なんとなく理解できるところ。もっとも設例は、当初から弁護士が関与する形になっていて、あまりこじれていないので、もっとこじれたケースへの対応の方が有意義だったのかもしれない。こじれているからこそ合同労組に行くというケースもあると思うので。

契約審査の記事。NDAで事業場内への立ち入り(ある種の監査権だろうか)を規定するのは一般的なのだろうか?何が一般的か判断できる立場にはないと思うが、個人的にはあまり見ない内容だし、そんなものがあれば、間違いなく削除を求めるのだが。

独禁法の道標。事業提携・共同事業の難しい部分についての解説は、解説としてはこんなものなんだろうなと。個別具体的な判断が難しいので、解説にしにくいような気がする。白石教授の「そのような問題一つひとつに是々非々で臨める理論武装が必要である」というところが大事なのだろう。

人証の扱いについての記事は、正直よくわからないけど次号の陳述書の扱いについての記事に期待。

事務と業務の話しは、なるほど、というところか。こういう語源に関する話は、普段目にしないので、興味深くてよい。

USの判例の記事は、USの会社法の授業を思い出した。ともあれ、BJR(Business Judgement Rule)の適用を受けるためのハードルの高さにあらためて驚く。

編集後記については、セミナーと懇親会は楽しみにしてます。

最後に本家から目次の引用を。

[特集] どこまで保守的にすべきか インサイダー取引防止の実務感覚
[座談会]インサイダー取引防止の実態 ~社内管理で問題となるポイントと落とし所~

ファシリテーター 柳田一宏 弁護士
参加者 木目田 裕 弁護士 / 鈴木淑彦 東京証券取引所自主規制法人 売買審査部長 / 法務担当者 3名

各社の傾向と対策 管理担当者の問題意識

規程は緩やかでも運用で違反を防ぐ メーカー 法務担当者

グループ全体に判断基準をどう行き渡らせるか メーカー持株会社 法務担当者

[REPORT]保守的運用を自覚する担当者たちの声 メーカー、IT等 法務担当者

改正されたインサイダー取引規制の留意点 ─平成24年・平成25年改正─

木目田 裕 弁護士 / 有松 晶 弁護士

 

SPECIAL INTERVIEW
企業が行政と訴訟をするということ

阿部泰隆 弁護士・神戸大学名誉教授 / 関 葉子 弁護士・公認会計士
[企業側担当者の視点] 土田綾子 ケンコーコム 管理本部 法務室長 兼 社長室長

 

OPINION
地球の上のタックス・コンプライアンス

川北 力 一橋大学大学院教授

 

company
経営戦略を支援する分散型法務

東京放送ホールディングス 成合正和 総務局 担当局長 法務部長

 

実務解説
インドネシア・タイ・ベトナムのM&Aにおける実務上の留意点(3)

安西明毅 弁護士 / 三木康史 弁護士 / 池田孝宏 弁護士

 

リスク判断のための紛争解決コスト分析
類似商品

中村勝彦 弁護士

 

実務解説
ある日突然、合同労組から団体交渉申入書が届いたら

~企業の対応はどうあるべきか~

海老沼英次 弁護士

 

契約書審査 差がつくポイント
秘密保持契約

丸野登紀子 弁護士

 

ビジネスを促進する 独禁法の道標
事業提携・共同事業のチェックポイント

内田清人 弁護士 / 笹野 司 弁護士

 

裁判例から学ぶ 対症法務と予防法務
人証の採用度とその注意点

滝澤孝臣 日本大学法科大学院教授・弁護士

 

Global Business Law Seminar
中国における関連会社間の法人格の混同

―指導性案例15号の売買契約紛争案を中心に

黒瀧 晶 明治学院大学法学部非常勤講師

 

連載
弁護士・税理士が教える 税務の勘所

岩品信明 弁護士・税理士 / 遠藤元基 社員税理士

企業会計法Current Topics

弥永真生 筑波大学大学院教授

ハブ法務思考で実践する 続 グローバル訴訟マネジメント

長谷川俊明 弁護士

源流からたどる 翻訳法令用語の来歴

古田裕清 中央大学法学部教授

米国法ではこう考える

渡邊健樹 米国弁護士

牛島信のローヤー進化論

牛島 信 弁護士

Information

アメリカにおける証拠開示(ディスカバリ)の最新事情と日本企業の国際訴訟対策

Special Tie-up

岩出 誠 弁護士

Pick up! セミナー情報
Movie/Art/Book
編集後記・次号予告
 

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