歩いて帰ろう下北沢にて

July 04, 2013

変な前例を防ぐ?

例によってアレなタイトルですいません。

拝読しているこちらのblogこのエントリを拝見して、思いついたことをメモ。 

ドラフティングとか契約書の審査で、法務側の対応が過度にならないようにするよう考えるのはそれなりに重要と思っている。その意味で、エントリの中で、個別案件ごとに最適化したリスクマネジメントされた形になるのが望ましいというご指摘はそのとおりと思うのだが、一方で、一回限りの契約であれば、おそらくそれで問題ないものの、同種の契約を同じ相手と他の状況で締結するようなケースでは、そうとばかりも言っていられないのではないかという気もしているのである。要するに、一回特定の文言で妥協が成立したような場合、その文言が個別の取引の文脈から切り離された形で一人歩きして、爾後の取引において「前例」として機能して、そこからゆり戻しがしにくくなる可能性を懸念しているというわけ。

そういう「前例」の使い方というのは、ある意味契約交渉のテクニックとして、一概に否定すべきものでもない。ただ、有利にも不利にも作用しうるのが難しい。文脈がわかっていれば、このケースではこうだったが、今回のケースでは前提が異なるから、同じ文言は使えないという議論をして切り抜けることもできるだろうが、その辺の情報が常にあるとは限らない。グローバルな取引をしていると、日本法人とは関係ない契約の文言が「前例」として出てくることも想定しうる。親会社がOKしているのに、なぜ日本法人はできないのか、とか言われても、判断しにくい場合も出てくる。

そういうことが問題となるときには、往々にして、営業サイドのように、とにかく話をまとめることに重点を置く人たちから、そういう前例があるからいいのではないか、という批判めいたものが来ることもある。一概にそれを難じるべきではないものの、誰に向かって説得をしないといけないのかも怪しくなってくる。

そんなこんなを考えると、個別案件だけを考えていてよいのだろうかというところでも悩むし、そこまで考えた上での手加減というのは、いつも難しいと思ってしまうのであった。



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dtk1970 at 22:23│Comments(0)契約法務 

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