2年と3ヶ月お疲れ

June 12, 2013

NDAをめぐるエトセトラ

ダンスはうまく踊れない(謎)。

独特のノリで、楽しませていただいている企業法務アシスタントサバイバルさん(この題名はやはり…なんでしょうか?)で、募集されていたので、ちょっと考えてみた。 

募集内容は次のとおり。   
みなさんどうやって秘密保持契約書作成されているのか教えて下さい。 気を付けてることとか!どうやって仕事してきたかとか! 
現職では、自分でNDAの審査とか、あまりしなくなっているので、いまいち記憶が曖昧ですが、頭にあることをいくつかメモしてみることにしようかと。

僕の意見だけではあれなので(滝汗)、もっとマトモなプロの方のご意見という意味では、猪木先生のこちらをご覧あれ。

 


で、NDAについて、気にすべきことと理解している(実際に自分がきちんとできているかどうかは別として…)こととかをいくつかメモ。仕事自体は怒られたり、冷や汗かいたりしながら、今までそれなりに(いい意味でも悪い意味でも)やってきたというところか。
以下は、NDAに限らず契約全般について当てはまる話もあると思うし、前に書いたことがあるかもしれないが、その辺はご容赦を(苦笑)。
まあ、書いているやつがこういう奴なので、どこまで信用できるかは不明ということで、ご理解ください(汗)。

まずは、個別の契約に向かう前段階でのお話というところで…。
  • NDAは紙でしかない(当たり前だ)。NDAを取り交わせば情報が自動的に管理されるものではないから、自社が義務を負う場合には、負担可能な義務なのか、NDAの内容が実現可能なのかどうか、管理体制に留意が必要…最初の勤務先で、海外法務になってNDAのチェックを最初にするようになったころに当時の課長から、こんな感じのことを言われた。NDAに限らず、自社が守れないような義務は、そもそも負担すべきではない、というのはある意味当たり前なのだろうが、大事なことには違いないと思う。逆に、自社情報を開示する場合であれば、相手が守れそうかということは考えて置いて損はない。守れないような相手なら、そもそもNDA以前の問題ということになるだろう。
  • 情報漏洩を防ぐ観点からすれば、不要な情報は与えない、もらわない、ということは重要という気がする。その意味で、ホントにその秘密情報のやり取りをしないといけないのか、ということも検討に値する。場合によっては、non-confidentialの情報のやり取りを先にして、その先のステップに進むに値するかどうか検討して、それでOkということになったら、confidentialな情報のやり取りをする、というやり方だって考えられるし、こちらの情報を出すタイミングを出来るだけ遅くすることで、リスク軽減を考えるというアプローチもあるかもしれない。
  • 誰と誰が何のためにどういう秘密情報をやり取りするのか、お互いのどの範囲で共有するのか、やり取りした後どうするのか・どうなるのか、というような辺りは押さえていないとNDAの後のステップとの整合性が取れなくなったり、その他にも何らかの不都合がありそう。プロジェクトの取っ掛かりでNDAを取り交わすことが多いわけで、プロジェクトの全体像を抑えておくことが大事、ということになろうか。情報共有の目的自体に問題があることもあるのでその辺も注意が必要(この辺については、経済法ガールのこちらも参照のこと。事例としてはアレな気もするけど…)。
  • 仮に秘密情報のやり取りが必要だとして、それがどれくらい重要なのか、というところも大事。秘密にしておきたいといっても、重要度には差異があるだろうし、重要度に応じた保護策を考える必要があるだろうから。重要度には時間の要素もある(陳腐化するスピードとの兼ね合いでもあるが)ので、そこも抑えておくほうがよいのだろう。
  • あと、何か問題が起きたときに何ができそうか、ということも考えておくべき。仮処分とかするのか、するとしてもどうやって執行かけるのか、とか。あまり何もできないというケースであれば、情報の出し方を考えるほうが実際的なのかもしれないし。
  • NDAという名前の文書であっても、内容として何を含むか、個々の状況如何による。単に守秘義務について定めるだけではなく、共同開発みたいな内容を定めるようなことも(それがよいことかどうかはさておき)ありうるので、社内のクライアントと話をするときに、相手がどこまでのものを求めているかは考えたほうがいいのかもしれない。個人的には、自社の工場内に相手が来るときに備えて、構内の安全指示にはしたがってください、というようなことをNDAに入れたこともある(相手に複数の文書にサインしてもらうのもためらわれるようなときにはそういうこともすることがある)。
で、実際のNDAの文案を見る時には何を考えるかというと…
  • 契約の当事者と情報共有の当事者は誰か。契約の当事者が再開示するようなケースではその範囲に漏れがないかどうか。自社側で、親会社とか関連会社とかと秘密情報を共有するのであれば、その情報共有が規定に違反しないよう手当てが必要だろう。情報を受領して再開示する当事者に責任を持ってもらうことにはなるのだろうけど。重要度の特に高い秘密情報を扱う場合、個人単位で秘密情報の開示を受ける人を特定しその全員から誓約書を取ったというケースも見たことがある。
    また、自社側の作業の関係で下請けとかとも情報共有するようなケースではそういう外部の第三者との情報共有への手当ても忘れずに。
  • やり取りする秘密情報は何か?有体物については、その旨の表示をすることが重要。後で、特定の情報が秘密情報かどうかわからなくなるのを防ぐため。その意味で自社が秘密情報の受領者の場合は、開示する側に秘密情報とわかるように表示させる義務を課すべきだろう。形のないもの(会議の議論の内容とか、工場の配管の様子とか、においとか音、味とかも場合によっては秘密情報足りうる)については、何らかの形で特定するよう手続きを定めておくべきだろう。開示後一定期間内に書面で特定するというのがよくあるが、その一定期間が長すぎたりすると忘れるし、短すぎると間に合わないので注意が必要かと。
  • 何のために?開示の目的は、出来るだけ特定したほうがよいだろう。情報漏洩という形での契約上の義務違反もありうるが、目的外使用という形で違反を問う余地も残すべきではないかと思う。
  • 開示後に何があるのか、それについて、共同開発の前提となるようなfeasibility studyのための情報開示であれば、studyの結果について協議する会議を義務付けておくべきだろう。共同開発の枠組みについても決めておいたほうがいいということもありうるだろう。
  • 契約終了後の措置についても忘れずに定めておくべき。有体物については、返してもらうかどうかとか。書類の量が多く、内容的に陳腐化して、いまさらもらっても、というのであれば相手の責任で廃棄してもらうべきだろう。文書について複製可能とする場合は、その複製物をどうするかも考えておくべきか。
  • 違反時の処理。情報の特性、ビジネスの文脈によって、何らかの問題が生じたときに、対抗措置としてどういうことが可能かということも変わってくると思われるので、その辺について必要な手当をしておくべき。損害賠償が何らかの意味で機能するのであれば(個人的にはそういう状況に出会ったことがないが)、それを定めておくべきだろう。その際は、裁判所などを通じての執行が時間的な意味も含めて実際的かどうかまで考えたほうがいいのだろう(特に国をまたいだ話の時には)。
  • 準拠法と紛争解決方法。特に国をまたぐ話の時には注意が必要か。紛争解決方法については、訴訟がいいのか、仲裁が良いのかは要検討ではないか。仲裁の場合、裁判の公開との関係では問題は少ないかもしれないが、仮処分の類は時間的に機能しない可能性もあるわけで、その辺りも考えないといけないのだろう。
  • 細かい話では輸出管理関係の法令のコンプライアンスも、時として注意が必要。情報のやりとりだけでも規制対象になりうるので注意が必要。
・・・ぱっと思いつく範囲はこのくらいかな。散漫ですいません。


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dtk1970 at 00:13│Comments(0)契約法務 

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