February 02, 2013

スキルアップのための 企業法務のセオリー /瀧川 英雄 (著)


企業法務のOJTのテキストに有用な一冊。企業法務の実務を行ううえで必要な知識面ではなく、法務担当者としての頭と身体の動かし方についての部分に重点を置いているところが、新味というべきなんだろう。知識面とかでの本(それだって有用だけど)というなら、滝川先生の本や、日経文庫のやつ、さらには、一般には出回っていないが経営法友会のテキストとか、既に一定の本が出ているので。 また、最後に出ている典型案件への対応の仕方のセオリーも、当事者の利害という法的な観点を離れたところにも目配りをしつつ対応の仕方を解説をしていて、実務的でよいと思う。

図表の使い方やレイアウトの仕方で読みやすさが増しているけど、その辺はlexisの編集部のお手柄であろうか。



企業法務の実務に関わるうえで、最初に手を取るべき一冊、という意味でよい本だとは思うのだが、実務に入る際に留意しておくべきという観点で付け加えるべき点があるとすれば、次の点だろうか。

特に、最近の若い方向け、ということで内容を考えるならば、おそらく、時間と予算の許す範囲で、という限定はつくものの、「現場に行くこと」、「直に会って話を聴くこと」の重要性がもっと説かれるべきなのではないかという気がした。メールとか電話でコミュニケーションをとったり、イントラネット上の資料を見ていても、ある程度以上のことはできるけれども、現場を見ないと分からないというか、見落としてしまいがちなことはあるし、そういう間接的なコミュニケーションだけでは相手の本音が引き出せないことが往々にしてあるし、ほうっておくとそういうものに依存しがちなので、チャンスを逃さず直に見てみること、話をすること、を心がけるべきだと思う(これは自戒を込めて、だけど)。この点は最初のうちから徹底しておくに越したことはないと思う。

 また、社内のほかの部署との連携の取り方についての記載もあるべきなのではないか。契約書のレビューに際しては、税務・会計の観点からのレビューが必要になることはよくあるし、仮にそういう依頼が出ていない場合には、法務から依頼をかけることもあるだろうし、その辺りのレビューのプロセスの確保、つまりそれぞれの社内の専門部署が十分に審査をしたうえで締結に至るようにすることも、法務の実務としては重要と考える。他にも大きな案件においては、適時開示との関係やプレスリリースとの整合性という意味でIR・広報の部署との連携が必要だし、労務系の話は人事との連携が必要なので、法務が単体で業務をしているわけではなく、案件に応じて適宜それらの部署との連携が必要なことは意識しておくべきだと思う。

このエントリーをはてなブックマークに追加
dtk1970 at 17:39│Comments(0)書籍 | 研修実施

コメントする

名前
URL
 
  絵文字