空振りというかなんというかヨコメシ

January 29, 2013

法務担当者のための民事訴訟対応マニュアル /田路 至弘 (著)



BLJのBookガイドでも推奨されていたのと、最近訴訟案件に関与していなかったこともあって、知識の確認の意味で会社にあったものを読んでみた。
Bookガイドにあったように、法務着任者に最初に読んでもらう、のにふさわしい一冊というところか。





書いてある内容については、見開きで別々のことが書いてあるのが個人的には今一つ見易く感じられないのを別にすれば、僕ごときがとやかくいうことはない。 一点個人的にメモしておこうと思ったのは、裁判所の作成した和解条項案については、登記実務や税務の実務との整合性がとれているとは限らないので、そこは 別途確認が必要というところか。

むしろ書いていないことが気になった。2点ほど挙げてみる。

まず、そもそも弁護士さんの書いた本なので、会社の中の人がカバーすべきことでたとえば、そもそも弁護士さんの選び方とかについての記載はない。日常の業 務について相談している先生が訴訟が得意とは限らないから、その辺は別途検討がいるはずと思うのだが…また、会社として訴訟遂行のうえで、一番大きなコ ストになるであろう、弁護士費用についての考え方についての記載がない。この辺りはベテランの「中の人」に訊いてみるのがよいのだろうけど。先日の利用規約ナイトでの発言ではないが、早めに遠慮せずに弁護士さんに相談するのが良いということにはなるのだろうが…。

さらに、記載の内容は、どちらかといえば自社が訴えられた場合の防衛的な対応が主眼だけれども、逆に攻めるときの対応で異なる考慮をする部分については記載がないのも、若干気になった。たとえばそもそも訴訟にするのか、何らかのADRにするのか、とか(今だったら労働審判の提起を受ける可能性もあるだろう)。

これらの点については、最初から押さえておくべき点とは言い切れないので、書いていないことがマイナスだとは思わないが、気になったのは事実。

それとは別に、書いてあることについて気になったのは、判決時の対応、特に、敗訴が予想される場合の対応のなかで、訴訟代理人の対場では、上訴する・しないの意思決定、及びそれに必要な手続きが重要に思われるのかもしれないが、企業の中の人としては、特に金銭の支払いを命じられる可能性のある場合には、むしろ、仮執行対応という ところの方が重要だと思われる点。上訴については、最低限の対応は代理人の先生がケアしてくれるはずだから、寧ろこっちのほうが、中の人でないとできないことなので、注意が必要かと思う。代金入金口座とかに仮差押えとかかかると、大変なので、その点についての対応、特に経理財務部門との連携および執行停止 の準備(担保の類を立てる際の小切手とかの準備も含む)なはず。訴訟進行中に情報共有とかできていればよいのだが、それが常に必要ともいえないので、ぎり ぎりになってあわてないように、注意が必要だと思う。
(なお、取引基本契約において、仮差押えを受けるなどの事態が契約解除事由に挙げられているケースもあり、実現可能性が高いかどうかは別として、一定の注意は必要かもしれない)


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dtk1970 at 23:45│Comments(0)書籍 | 紛争対応

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