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January 19, 2013

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2013年 03月号 [雑誌]


例によって(?)BLJについて、気になった記事の感想を書いてみる。個人的には第2特集は要保存だと思うし、第1特集のセクション2は弁護士さん(特に事務所の経営に関わる方)にとっては、企業の法務側の本音満載なので必読ではないかと思います。

  1. 第2特集(回収額に差がつく 債権保全のノウハウ)

    個人的には要保存版という気がした第2特集。ユニリーバの北島さんが中心になって、(おそらくご自分の中でも一番得意と思われているのではないかと思う)債権保全について書かれており、ご自身の記事の他に弁護士さんお二人が書かれた記事にも末尾に実務面からのコメントを付されている。
    なんとなく、ではあるが、ご本人が「乗って」書いているようで、熱意が行間からも伝わってくる気がする。手書きのメモを写真にして挿入しているのが、僭越ながら、何だか「らしい」(BLJの読者懇談会でのLTの時もそうされていたから)気がした。

    この記事がこのタイミングになったのは、金融円滑化法期限到来によるこの種の案件の頻発を想定してのことで、タイムリーな対応ということになろうか。今回の記事は、今度出る書籍(確かTMIの淵辺弁護士との共著の筈)の一部の内容の先行紹介という形らしいが、個人的にはそちらの書籍にも期待している。
    内容については、今更僕ごときがとやかく言うべきものではなく、数々の例文も含め歴戦の勇士が語る戦場(債権者平等の原則が信用出来ない様な場所なのだから、戦場と評するのもあながち過剰な表現ではあるまい)で使えるノウハウ(*)に満ちており、繰り返し読んで身体に叩きこんでおくべき内容だろうと思う。
    一番印象に残ったのは、「効率的な債権回収のためには、債務者といかに深い信頼関係を築くかがポイントになる」というところ。頭でっかちではイカンということか。
    *一部は元ネタが某絶版書籍だと思うのだが、絶版になって久しいし、こういう形でノウハウが継承されるのは重要なことだと思う。

    ただ、熟読するだけでは、書かれている内容をタイムリーに実行できるようになるかどうかは疑問。瞬間瞬間で即座に動けるように身体で覚えていないと難しそうな気がする。その意味で場数を踏まないと難しそう。もっとも、そんなに場数があるということ、それ自体が自社にとって良いこととは言えないのが難しいところか。与信管理とかきちんとしているとそもそも非常時に至らないうちにケアがされてしまうので。むしろこういうのこそ生の資料のコピーを使ってのロールプレイングとかで学ぶのが適しているのかもしれない。

    逆に、気になったのは、弁護士さんたちの差し押さえに関する記事の中で、企業で法務が債権管理をするという記載。素朴な疑問として、平素入出金の流れをおいかけているのは寧ろ経理財務系の部署なので、そちらの部署が主管するという業務の振り分け(もちろん必要に応じて法務も手伝うのだけど)の方が自然ではないのかというところ。特に経理のシステム化が進んで、未収もすぐに集計可能というような形になっているときは、そのシステムへのアクセス権は少ないほうがリスク管理上は好ましいはずだから、経理財務側で一括して管理を行うという方が、業務全体で視た場合には好ましい業務のバランスということになるのではないかと感じるのだが。


  2. 第1特集(2013 法務の重要課題)

    こちらは、特にセクション2(弁護士への満足度と改善要望)が、如何にもBLJらしく、企業の法務の方々の「生の声」を集めており、弁護士さんは読まれることを強く推奨。いちいち頷くことが多いけど(コスト削減努力と無縁との指摘は特に…)、フィーの仕組みについてはもっと柔軟にできないかなと思ったりする。加えて、弁護士の資格更新制度は確かに考えてもいいと思う。

    セクション1との関連では、グローバル化対応は、こちらの勤務先では、本国からの指示に従う形にしかならないので、とりあえず僕の立場では気にするべきは会社法改正と債権法改正…なんだろう。企業における弁護士の採用に関するコメントはさもありなん、という感じ(特に最後の製造業の方のコメント)。

    国内企業法制の動向。個人的には、会社法改正、債権法改正に加えて独禁法改正(特に審判制度の廃止と弁護士秘匿特権、調査時の弁護士立会い、供述記録コピー)も気になるところ。・・・かなり著者ご本人の主観の入った記事なのに、個人としての意見云々といういつものアレが最後の方に書いてあるのは、いいのかなという気がした。

  3. その他の記事について順不同で感想を。

    高取先生のセミナーについては、初回に参加したし、コラムになっている無資格者の法務部員とのコミュニケーションの扱いについては、個人的に気になっている点でもあり、質問をさせていただいた。こうして記事になったのを見ると良い復習になる。

    早期紛争アセスメントについては、なるほどという所はあるが、記事の中にあるように、規模の大きな案件でないと費用対効果的に使えない手法ということは認識しておくべき。でも、その境界線がどの辺りにあるのかよくわからない気がした。
    Decision treeを使った分析は、ざっくりと言えば、起こりうるシナリオそれぞれに対してそれが生じる確率とインパクトを掛けあわせて期待値を出して積み上げるイメージだと理解したけど、インパクトはさておき、確率のところ評価をどうやってするのか、その評価の妥当性はどうやって担保するのか(それがないと、単に鉛筆を舐めて適当に数字遊びしたのと大差ない)よくわからない。起こりうる確率を事前に予測するよう依頼されても弁護士さん(特に日本の弁護士さんは)も困るのではないか。

    FCPAのガイドラインの記事は、なるほどと思う一方で、リスク評価に基づきメリハリをつけたコンプライアンス制度の重要性を説くものの、その評価をどうやってするのか、その評価の妥当性が問われたらどうするのかよくわからない…(まあ、今の勤務先の場合はUSから指示が来てそれにしたがっていれば一応良 いのだろうが…)。

    税務の勘所の記事は、パワハラの被害者が退職する際に慰謝料を上乗せして退職金を払う際の取り扱い、という有りそうな(あって良いようなものではないが)話の解説で興味深い。従業員側としては損害賠償分はその分であることを和解契約で明記することが重要というのは納得。会社側の損金処理の可否についての判断基準 がなるほど、というところ。

    ハブ法務の記事は、次回に期待、かな。制度の説明は寧ろ表形式のほうがわかりやすくないか?という気がした。独禁法関係で実務的に問題になりそうな秘匿特権の扱い(国に よってインハウスへの適用の可否が異なるとか)とか、立ち会いの可否、資料のコピーの可否とかその辺りを書いてくれることを期待。

  最後は例によって本家から目次の引用
[第1特集] 2013 法務の重要課題
REPORT 法務部管理職はここに注目 2013 Topics & Issues

[Section1] 各社が抱える実務・組織の課題
[Section2] 弁護士への満足度と改善要望
[Comment1] 子会社の取締役にいっそうの注意喚起を  メーカー 法務部長
[Comment2] フィーの納得性を高めてほしい  IT・通信 法務部長
[Comment3] 弁護士資格にも更新制度を  不動産 法務部長

注目すべき 国内企業法制の動向

阿部泰久 一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長


[第2特集] 回収額に差がつく 債権保全のノウハウ
債権回収前の作法① 回収を確実にするための先行アクション

北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 代表取締役

債権回収前の作法② 費用をかけずに債権を減らせ!

北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 代表取締役

緊急時に検討すべき 仮差押えまでのプロセス

大島正照 弁護士 / 吉田真実 弁護士

 

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dtk1970 at 17:02│Comments(0)雑誌 

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