そろそろと仕事はじめはじめてのアメリカ法 /樋口 範雄 (著)

January 08, 2013

セミナーで考えたこと

何だかアメリカ法関係ばかりのエントリが続くのは本意では無いので…

本日、商事法務研究会の新春懇談会?で法務省の担当参事官の方が債権法改正の状況について講演されるということで、出かけてみた。

2月の2度めのパブコメに向けて作業をしておられるところの現状報告ということで、法務省としての力の入り具合が伝わってくる感じでした。この前の中間論点整理のときには、パブコメを書けたらいいな、と思いつつも、資料の分量にあっさり挫折したけど、今度は論点が整理されている分、量で挫折することはないのではないか、何も言えないにしても、少なくとも資料を全部見るくらいはしたいな、と思うのだが…。
(いつぞやの、企業法務戦士の雑感での記載(どこの記載だったか見つけられなかった…)ではないが、企業法務の担当者である以上、エアリプみたいな陰口を言うのではなく、一言くらいは正面から何か言っても良いのではないか、とは思うので)





ともあれ、今回の改正が判例法理の条文化(ホントにそれしかしていないのか、というところは、恥ずかしい話だが分かっていない)だとしたうえで、そうすることのメリットとして、
  1. 学習のしやすさ
  2. 消費者相談の現場でのわかりやすさ
  3. 海外に向けて日本法を使ってもらいやすくする手段の一つ
と いうようなことをコメントされていたのだが、3番目については、正直引っかかった。渉外取引について日本法を準拠法にしてもらいやすくするということ、と のことだが、確かに民法がわかりにくいのは、そういう目的に照らすと問題なんだろう。もちろん、民法だけ何とかすればOKというようなオメデタイ話ではな いことはさすがに理解されているようなのだが、その他の点についてどうするのか、という点について、今回の講演に限らず、今までのところ見えてこないのが 気になっている。

前にも書いたかもしれないが、本気でそういうことを目指すのであれば、最低限法文の英訳の発信(改訂の都度タイムリーに 発信する。施行までの間に英訳も作るくらいは必要だろう)や、判例についての英語での情報の発信だけでもやらないといけないだろうし、その他にもやるべき ことがあるだろう。この目標に対して、実効性のある施策が準備出来ないにも拘わらず、改正のメリットとしてこれらの点を強調するのは、違和感を禁じ得ない。有り体にいえば詐術を弄しているかのようにも見えてしまうのだ。

・・・この点については、別に資料を読まなくてもコメントとして言えるので、これくらいは言ってみようかと思っている。もちろん、もっと内容についてのコメントができると良いのだが。


余談だけど、会場のビルの作りが複雑で慌てていたら、地図を持っているにも拘わらず、迷子になってしまい、ようやく着いたら既に講演が始まっていた。慌てて席に着いたら、そのさらにあとに入って来て隣に座ったのが2社目の勤務先の上司で、講演後に近況報告ができたのはよいのだけれど、変な汗をかいてしまった。


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